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『ラスト・ディール 美術商と名前を失くした肖像』

2020年04月03日 | 映画(ら行)
『ラスト・ディール 美術商と名前を失くした肖像』(原題:Tumma Kristus)
監督:クラウス・ハロ
出演:ヘイッキ・ノウシアイネン,ピルヨ・ロンカ,アモス・ブロテルス,ステファン・サウク他
 
TOHOシネマズ西宮で3本観たあと、中之島のパン屋さんまで車を走らせました。
予約していたパンを受け取ったのが17時。
この日の晩ごはんは天満橋20時だったので、上手く行けば映画をもう1本観られそう。
急いでもう一度車に乗り込み、今度はシネ・リーブル梅田へ。
 
時間的に合いそうなのはこれぐらいだと事前にメモしていただけで、
観はじめるまではどこの国の作品かもわかっていませんでした。
ただ、画商名画がらみの話っていつもなんとなく惹かれるふしが私にはある。
絵心も鑑賞眼もないくせして。(^^;
 
フィンランド作品です。
監督は『こころに剣士を』(2015)のクラウス・ハロ。
 
美術商のオラヴィは長年営んできた店を畳もうかと考えている。
経営は上手く行っておらず、オークションで落札した美術品の代金を払えないこともあれば、
払えたとしても顧客に足下を見られて落札価格で引き渡すことになったりして、
これでは儲けなどいっさい出ない。
 
そんなある日、疎遠になっていた一人娘レアから連絡が入り、
彼女の息子、つまりオラヴィの孫オットーの職場体験を引き受けてほしいと言う。
オットーは学校で問題を起こし、素行不良のレッテルを貼られているため、
彼のことを受け入れてくれるところはどこにもない。
職場体験の評価シートがなければ進級できないらしく、オラヴィを頼ってきたのだ。
 
返事を待てずに押しかけてきたオットーのことを追い返したものの、
オラヴィは数日後にオークションにかかる予定の肖像画のことが気になっており、
図書館に行って調べたいのに店を空けられない。
致し方なくオットーに店番をさせたところ、意外にも彼は商才を発揮。
オラヴィの留守中に来た客に予定価格より高く絵を売ったではないか。
 
オットーを見る目が少し変わったオラヴィは、件の肖像画について一緒に調べ始める。
それはタイトルも作者も不明の絵だったが、
オラヴィは名画まちがいなしと見抜き、その証拠を得ようとして……。
 
偏屈な爺さんなんです、オラヴィって。
娘とどんな確執があったのか細かに描かれているわけではないけれど、
仕事一筋で家庭を顧みなかったことはあきらか。
娘が離婚したときも手を貸そうとはしなかった。
なのに連絡を取れるようになった娘に金の無心って、ん〜、ちょっと。
 
孫のオットーは留守番中も脚をテーブルの上に投げ出してゲームしているような奴。
でも好奇心旺盛で行動力がある。
爺ちゃんの確かな目を信じて敬意を抱き、なんとかしようと奔走します。
 
私はオラヴィのことを所詮金儲けしたいだけだと思っていました。
でもそうじゃなかった。彼の絵を愛する気持ちは本当でした。
終盤までなんとなくオラヴィのことを好きになれずにいたのに、
最後はオットーと同じような気持ちになって、お爺ちゃんにウルッ。
 
名画にもっと触れたくなる作品です。

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