夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『アドルフの画集』

2004年09月27日 | 映画(あ行)
『アドルフの画集』(原題:Max)
監督:メノ・メイエス
出演:ジョン・キューザック,ノア・テイラー他

「アドルフ」は、アドルフ・ヒトラーのこと。
この脚本にはスピルバーグも惚れ込んでいたものの、
あまりにタブー度が高すぎて、
さすがのスピルバーグも断念したようです。

タブー度最強の企画では資金集めも期待できず、
それでもこの脚本に惚れ込んだジョン・キューザック(大好き!)が、
自分はノーギャラで出演するからと実現。

1918年、ミュンヘン。
裕福なユダヤ人家庭で育ったマックス・ロスマン。
第一次世界大戦で右腕を失い、画家としての夢を絶ちきられた彼は、
画商としての人生を歩み始める。

画廊に富裕層の人びとが集うのに対し、
街では多くの復員兵が行き場をなくし、金もなく、自分を持て余し気味。

そんな復員兵らを冷ややかな目で見つめながら、
絵を描きつづける青年がいた。
それがアドルフ・ヒトラーだった。

画廊で華やかなパーティーがおこなわれた日、
ヒトラーがたまたま通りかかる。
シャンパンを中に運び入れようとするマックスにヒトラーは手を貸す。
ヒトラーのスケッチブックに気づいたマックスは、
ぜひ絵を見せにくるようにと誘う。

金をはたいて買ったスーツを着て、
ヒトラーはマックスを訪ねる。
ヒトラーの絵を見たマックスは言う。
心が揺さぶられない、もっと絵に自分をぶつけろと。

キャンバスに向かうヒトラーのもとへ、
ある日、陸軍将校がやってくる。
ヒトラーに演説の才能を見いだした将校は、
軍の宣伝活動のために演説をすれば、生活を保証するという。
金のために演説を引き受けたヒトラーだったが……。

原題は実はヒトラーではなく、“Max”です。
芸術家として生きる夢をマックスに託しつつ、
演説では反ユダヤ主義を叫ぶヒトラー。
政治家よりも画家になりたかった男が、
金のために引き受けた演説で独裁者となり、
彼の芸術家としての才能に賭けたユダヤ人が、
彼の演説をきっかけに命を落とします。←ネタバレ御免。

ヒトラーが画家志望だったというのは有名な話ですが、
以前見たニュースによれば、
彼が残したデッサンは芸術品としては評価できないとのことでした。

所詮、作り話だし、この作品からヒトラーを理解することは不可能。
彼の行為が正当化されることもない。
でも、誰しも何がきっかけで人生が変わるかわからない。
それは本当。

この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 『幸せになるためのイタリア... | トップ | 『悪い男』 »

映画(あ行)」カテゴリの最新記事