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『黒い司法 0%からの奇跡』

2020年03月08日 | 映画(か行)
『黒い司法 0%からの奇跡』(原題:Just Mercy)
監督:デスティン・ダニエル・クレットン
出演:マイケル・B・ジョーダン,ジェイミー・フォックス,ブリー・ラーソン,
   ロブ・モーガン,ティム・ブレイク・ネルソン,レイフ・スポール他
 
なんばパークスシネマにて、前述の『プレーム兄貴、王になる』とハシゴ。
 
原作は全米ベストセラーのノンフィクション『黒い司法 黒人死刑大国アメリカの冤罪と闘う』。
監督は『ガラスの城の約束』(2017)のデスティン・ダニエル・クレットン。
これもとてもよかった。
 
ハーバード大ロースクールにかようブライアン・スティーブンソンは、
インターンのときに「おつかい」でアラバマ州刑務所を訪ねた折、
たいした捜査もされないまま死刑囚にされた囚人が多いことに驚き、
弁護士となって彼らのために無償で働きはじめる。
 
南部アラバマ州は人種差別がはびこる土地。
自身も黒人のブライアンは、刑務所訪問のさいにも看守から侮蔑的な態度を取られる。
怒りを抑えて、複数の死刑囚と面会したところ、
大半が物的証拠なし、黒人だからという理由だけで犯人に仕立て上げられている。
 
特に、ウォルター・マクミリアンという男性は明かな冤罪
近隣の店で若い白人女性が殺害された事件で、
ウォルターを昔から知る前科者が偽証言をしたらしい。
 
過去に担当した弁護士からは裏切りに近い好意を受けているウォルターは、
ブライアンのことも信じようとしなかったが、
ウォルターの家族に会って丁寧に話を聞くブライアンの様子を知り、
再審請求に賭けてみようと考えるのだが……。
 
白人だけどブライアンをサポートする女性にブリー・ラーソン
 
こんな酷いことがあっていいのだろうかと憤りたくなる実話。
黒人を除く住民全員が差別主義者かと思うほど。
しかし住民たちにはその自覚がないのか、
この土地が『アラバマ物語』(1962)の舞台だと誇らしげに言う。
あんな差別に満ちた土地だと明らかにされた映画が自慢って、どうよ。
 
黒人を犯人に仕立て上げるためなら何だってやる。
法の番人すら公平な目では見てくれない。
それでも負けなかったブライアンが凄い。
 
いくら信じてみてもどうにもならないことは世の中にあるけれど、
絶望は正義の敵になる。
駄目だとあきらめたら終わっちゃうんですね。
 
良い映画でしたが、ウォルターを陥れた保安官が、
つい昨年まで6期に渡って再選されたという事実。
差別はちっともなくなっていないことの証しのようで悲しい。

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