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『きこえなかったあの日』

2021年04月28日 | 映画(か行)
『きこえなかったあの日』
監督:今村彩子

緊急事態宣言が発令されても、ミニシアターは営業可能だろうと思っていたのに。
大阪で営業している劇場は2館のみ。
九条のシネ・ヌーヴォ十三の第七藝術劇場です。
十三といえば、先週の“秘密のケンミンSHOW”に映っていましたね。
みたらし団子で有名な喜八洲本店があるのがまさにココ。

被災した聴覚障害者がどのように暮らしているのか。
宮城、熊本、広島など、地震や豪雨に見舞われた土地に足を運び、
コロナ禍の昨年まで10年に渡って取材したドキュメンタリー。
今村彩子監督自身が生まれつき耳が聞こえません。

今村監督が撮影中に揺れを感じるシーンから始まります。
東日本大震災直後の宮城。
聴覚を持たない今村監督は、地震が起きていることはわかる。
でも、警報は聞こえないから、津波の情報などはわからない。

被災者は避難場所に行っても戸惑う。
食糧などが支給されるときも、周囲の人々がざわめいて立ち上がる、
今から何があるのかわからないけれど、ついていくだけ。

東日本大震災のときの経験から、熊本では聴覚障害者であることを自ら示せるよう、
工夫が凝らされるようになりました。
また、手話ができるボランティアも多く集まり、
みんなの不安を少しでも払拭しようという動きが見て取れます。

逆に、聴覚障害者がボランティアを買って出ることも。
ある被災地では、自分が聴覚障害者であることを話すと困惑され、
ボランティアを断られたという人がいました。
でも、その後の被災地ではボランティア志望が快諾されたそうです。

耳の聞こえない人にボランティアは無理だと決めつけてしまう。
耳が聞こえる人のほうが上で、耳が聞こえない人を守る立場のようにも思ったりする。
でも耳の聞こえない人が下なんてことはなく、こちらが救われることも多い。

ろう学校で口話の教育に重きが置かれ、手話を禁じられた実態があったことに驚きました。
手話言語条例が広まればいいと思います。

いろんな気づきのある作品。

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