夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『LION/ライオン 25年目のただいま』

2017年04月21日 | 映画(ら行)
『LION/ライオン 25年目のただいま』(原題:Lion)
監督:ガース・デイヴィス
出演:デヴ・パテル,サニー・パワール,ルーニー・マーラ,デヴィッド・ウェンハム,
   ニコール・キッドマン,アビシェーク・バラト,ディヴィアン・ラドワ他

TOHOシネマズ梅田にて、わりと大きめのシアター3で『グレートウォール』を観たあとは、
あの悲惨な形状のシアター5
長く大阪にお住いの方ならご存じかと思いますが、
TOHOシネマズ梅田は、もともとは北野劇場、梅田スカラ座、梅田劇場という3つの映画館。
それをシネコンに仕立て上げ、3つだった劇場を無理くり8つに分けたもの。
もとの梅田劇場の1階部分がシアター3、2階部分がシアター5ですから、
今日の私のこのハシゴは、どちらもかつての梅田劇場ということになります。
当然のことながら、最後列ド真ん中の席を確保しました。

監督はこれが長編デビューとなるオーストラリアの新鋭でありながら、
役者には有名どころをそろえて結構な話題作に。
ニコール・キッドマンが出ているのは、オーストラリア出身のよしみなのか。


5歳のサルーは、大好きな母、兄、妹とインドの田舎町で暮らしている。
苦しい生活を支えるために仕事に出る兄グドゥにまとわりつき、自分も手伝うと言ってきかない。
ある日の晩もついていくと離れないサルーに根負けし、グドゥはサルーを連れていくが、
幼いサルーは眠ってしまい、目的地で下車してからも起き上がれない。
仕事を見つけて戻ってくるから、ここから動かないようにと言い残して去るグドゥ。

駅のベンチで夜中に目を覚ましたサルーは不安になり、
あれほど動かないようにと言い聞かされていたのに、
グドゥを探そうと停車中の回送列車に乗り込み、また眠ってしまう。
気がついたときには列車は走り出し、降りられないまま1,600km離れたコルカタへ。

これが1986年のこと。
ヒンドゥー語しかわからないサルーは、ベンガル語のコルカタに放り出され、
自分が住んでいた村の名前を道行く大人に伝えようとしても伝わらない。
声をかけてくれた優しそうな女性に食事とベッドを与えられるが、
翌日あやしげな男がやってきたことから身の危険を感じて逃げ出す。
その後、ホームレスとなってさまよっていたところを保護され、施設に収容される。

約1年後、オーストラリア人夫婦のジョンとスーに引き取られ、タスマニアへ。
同じく養子となった自閉症のマントッシュとの意思疎通に戸惑いながらも、
惜しみない愛情を注がれたサルーはすくすくと育ち、学業にも励む。
ホテル経営を専攻するさいに知り合った女性ルーシーと交際し、良い友だちにも恵まれる。

しかし、どうしても頭から離れない幼少時の記憶。
自分を探しつづけているにちがいない家族。
覚えている景色を頼りにGoogle Earthで故郷の家を見つける決意をするのだが……。

もとがいい話なのですから、よほど下手なことをしないかぎり、感動作になるのは当然。
そしてきっちり感動作に仕上がっています。

気になる点を挙げるとすれば、インド人の描かれ方がステレオタイプだということでしょうか。
これはやはりオーストラリア人、白人から見たインド人像なのでしょう。

幼少時代のサルーを演じるサニー・パワールの可愛いこと。
これが初の映画出演のようです。どんな俳優になるのか楽しみ。
大人になってからのサルー役、デヴ・パテルがホテル経営を専攻するという段で、
あ、そう、それでホテル経営なのねと、関係ないけど可笑しくてひとり笑い。
続編の『マリーゴールド・ホテル 幸せへの第二章』(2015)は去年の私のワーストですけれども。

それにしてもサルーが一時収容された施設がまるで『収容病棟』(2013)で怖かった。
年間そんなにも多くの子どもが行方不明になるなんて。

Google Earth、すごいです。
タイトルの意味がわかるのは最後。お楽しみに。

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