夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『タレンタイム 優しい歌』

2017年04月28日 | 映画(た行)
『タレンタイム 優しい歌』(原題:Talentime)
監督:ヤスミン・アフマド
出演:パメラ・チョン,マヘシュ・ジュガル・キショール,
   モハマド・シャフィー・ナスウィップ,ハワード・ホン・カーホウ他

なんばと心斎橋で4本ハシゴの3本目。
1本目にTOHOシネマズなんば別館で『3月のライオン 後編』を観て、
2本目になんばパークスシネマで『スウィート17モンスター』を観て、
3本目の本作はシネマート心斎橋にて。
以前パークスとシネマートを徒歩で移動して倒れそうになったことがあるので、
おとなしく地下鉄御堂筋線をひと駅だけ利用しました。
地下鉄を利用しても徒歩で向かっても所要時間は同じくらいなんですけれども。
こうしてパークスを出てから35分後に上映開始の本作を。

元同僚が強く推していたマレーシアの作品です。
本作のヤスミン・アフマド監督は2009年に51歳の若さで他界。
遺作となった2009年の本作がいま公開されています。

多民族、多宗教の人びとが暮らすマレーシア。
ある高校で音楽コンクール“タレンタイム”が開催されることに。
オーディションを受けた数多くの生徒のうち、
最終選考に残った7名が歌や踊りで競うことが決まる。

美しい歌声を持ち、ピアノが得意な女子学生ムルー。
ギターで自作の曲を弾き語りするのは、転校してきたばかりのハフィズ。
ハフィズに成績トップの座を奪われた優等生カーホウは二胡を演奏。

タレンタイム当日までは、会場で練習とリハーサルが重ねられる。
会場までの送迎についても主催する教師から指示があり、
ムルーの担当となったのは聴覚障害者のマヘシュ。

ムルーはイケメンのマヘシュに好感を抱くが、
耳が聞こえないとは知らないから、挨拶に返事もしない無礼者だと憤る。
誤解が解け、いつしかふたりは恋に落ちる。

宗教のちがいから、マヘシュの母親は交際に強く反対。
また、ハフィズの母親は闘病生活中。
カーホウは厳格な父親からたびたび殴られている。
それぞれに葛藤がありながら当日を迎えるのだが……。

複数の生徒の事情を映し出す群像劇であり、青春ドラマでもあります。
マレーシアという国の理解が浅い私には驚くことばかり。
家族で話していてもいろんな言葉が飛び交い、
宗教のちがいから起こるご近所さんトラブルは殺人に発展することも。

そんななかにあっても音楽は共通。
母親を亡くしたハフィズが上がる舞台のシーンでは涙がこぼれます。
かける言葉はわからなくても、一緒に演奏ができたなら。

監督のご冥福をお祈りいたします。
その思いも、きっと万国共通。

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