Qクレーンの揚重作業の作業計画書は必ず作成しなければならないのでしょうか?
A労働安全衛生法155条で「車両系建設機械は、作業方法・運行経路・機種・能力を定め、計画に基づき作業を行う」と決められています。作業計画書の作成は必ず必要です。
「安衛法第29条2」
「機械が転倒するおそれのある場所・労働省令で定める場所において、作業をおこなうときは、元方事業者として関係請負人に対して、関係請負人が危険防止措置が適切に講ぜられるよう、技術上の指導をするとともに、危険防止のための必要な資材の提供や関係請負人と共同して、危険防止の措置を講じなければいけない」
さらに、「安衛法第634条の2」において、
「法第29条の2の労働省令で定める場所とは、「機械が転倒する場所」であり、対象機械は、「移動式クレーン」「基礎工事用機械」である」とあります。
そして、「安衛法第30条の2の五項」にて、
「特定元方業者は、作業の工程、作業に使用する機械・設備等の計画を作成するとともに関係請負人が作成した作業計画が、特定元方の計画と適合しているか、確認と指導しなければならない」とあり、
「安衛法 第155条」において、
「車両系建設機械は、作業方法・運行経路・機種・能力を定め、計画に基づき作業を行う」と決められています。
車両建設機械作業計画書の一般的な記載項目
1.作業所長、元方管理者、担当者名
2.作業所名、会社名、作成者名
3.作業期間
4.機械名称、能力、台数、所有者、運転者
機械の種類としては、
□整地・運搬・積込機械
□掘削機械
□基礎工事用機械(杭打ち機含む)
□締固機械
□解体用機械
□コンクリート打設用機械
などがあります。
5.作業計画内容、作業主任者名、作業識者名、指揮者名、作業場所及び作業範囲と運行経路図
(機械位置、付随する機械設備、移動経路と移動位置、安全通路、立入禁止区域、制限速度、誘導者位置等を記入)
下図参照(クリック拡大↓)
6.合図の方法
・手 ・笛 ・旗 ・無線等を明記
7.危険範囲立入禁止措置
・監視人 ・バリケード ・トラロープ ・カラーコーン ・警報装置
8.地形
・平地 ・傾斜地( 度) ・段差地 ・作業面(広い)(狭い)
9.地質
・硬岩 ・軟岩 ・礫 ・砂礫 ・砂 ・シルト ・粘性土 ・泥炭
10.埋設物・架空線近接と防止措置
埋設物 ・無し ・有り(GL-m) 架空線 ・無し ・有り(離れ m)
防護方法( )
11.機械転倒危険場所と防護の方法
・無し ・有り
防護方法( )
12.作業方法・内容
(具体的、簡潔に記入)
13.安全対策
(予測危険に対する措置)
以上のような計画書を作成し、作業前及び作業中にも、確認しながら建設機械を使用しなければなりません。
参考
発注者が配慮すべき事項(安衛法3条3項)
発注者は、労働災害防止のために以下の事項に配慮しなければなりません。
■配慮すべき事項
※上記のうち、とくに発注後に実施・確認すべき事項について
・ 施工時の安全衛生の確保に配慮した工期の設定、設計の実施等 ・ 施工時の安全衛生を確保するために必要な経費の積算 ・ 施工時の安全衛生を確保する上で必要な場合における施工条件の明示 ・ 適切な施工業者の選定 ・ 分割発注等により工区が分割され複数の元方事業者が存在する工事の発注者にあっては、次の事項 イ.個別工事間の連絡及び調整 ロ.工事全体の災害防止協議会の設置
特定作業(移動式クレーン作業等)の注文者の連絡調整
2 以上の協力会社が、建設機械を用いて荷のつり上げ等の作業を行う場合には、その作 業全体を管理している注文者は、次の連絡調整を行わなければなりません。 (5)
■連絡調整を行うべき事項 項 目 要 旨 関連条文
特定作業の機械 機械の種類について規定 (なお、以下の各種機械が該当)
安衛則 662-2
機体重量 3 トン以上の パワーショベル ドラグショベル クラムショベル
<協力会社間で必要な連絡調整事項>
機械の運転、玉掛、誘導作業等に関する作 業内容、立入禁止区域、指揮系統、合図に 必要な連絡調整
安衛則 662-3
くい打機 くい抜機 アースドリル アースオーガー
<協力会社間で必要な連絡調整事項>
機械の運転、玉掛、くい、オーガーの接続、 誘導作業等に関する作業内容、立入禁止区 域、指揮系統、合図に必要な連絡調整
安衛則 662-4
つり上荷重 3t 以上の 移動式クレーン
<協力会社間で必要な連絡調整事項>
機械の運転、玉掛に関する立入禁止区域、 指揮系統、合図に必要な連絡調整
安衛則 662-5
元請等の違法な指示の禁止(安衛法)
注文者は、協力会社に対し、安衛法令に違法するような指示をしてはいけません。
(例) ・クレーン作業で、つり上げ能力を超える荷のつり上げを指示する。 ・建設機械作業で、その建設機械の目的以外の作業を指示する。 ・墜落防護作業を講じないで、高所での作業を指示する。等
(7)機械貸与(リース等)に関する特別規則(安衛法33条)
機械等の貸与に関わる者は、次の措置を行わなければなりません。 なお、対象となる機械は、以下のとおりです。 ・吊り上げ荷重が 0.5t以上の移動式クレーン ・車両系建設機械 (整地・運搬・積込み用、掘削用、基礎工事用、締固め用、コンクリート打設用、 解体用機械) ・不整地運搬車 ・高所作業者(作業床の高さ2m以上)
■措置を行うべき事項 区 分 要 旨 関連条文
貸与する者 機械の点検、整備を行う。
機械の能力、特性、使用上の注意事項を 記載した書面を、貸与を受ける事業者に 交付する
安衛則 666
貸与を受けた者 オペレーターに対し次の措置を行う。
1. 資格及び技能を確認する。
2. 作業内容、指揮系統、連絡、合図の方 法、運行に関すること等の通知をす る。
安衛則 667
皆さんがいじめなどのない労働条件の守られた会社で生き生き働かれていますように。
Ⅱ.労働安全衛生法と安全管理のしくみ
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