やっと防波堤が見えてきた
海を見ると心躍るのは 深く眠っているDNAに刻まれた記憶のせいか
波打ち際まで行ってみた
マウントフジは見えませんなぁ~ 二人連れの若者の一人が 年寄り臭い科白
確かに! 見えたら絵になったのに
これでもう見るべきものは見た
漁港にでも行って美味しいお魚でも食べようか
と 遠くに何やら水門のようなものが…行ってみよ
若山牧水記念館は見ずに黙々と歩いていたら 犬を連れた初老の人とすれ違った
こんにちは 暑いですね~と 私に話しかけてくれたので 私も慌てて え~本当に なんて返事をした
背後から おうちに帰ってジャブジャブしようね と愛犬に話しかける声
私も ジャブジャブしたい^^
大型展望水門「びゅうお」の一番の目的は津波対策だが 折角のロケーションだから展望施設も付けたのだろう
上ってみたが 真昼間じゃぁつまらない
さ~そろそろ 喉が鳴ってきたんだけどなぁ~
魚市場食堂街は お昼前だというのに結構な人出
お盆休みのせいかもしれない
一巡して だが やめた
私の脳細胞が もしくは動物的勘が 此処じゃないと言ったのだ
御用邸を見て帰るつもりだったので もうちょっと頑張ることにした
で 自分の居場所を確認して ギョっとした 漁港だけに なんて駄洒落を言っている場合じゃない
川のある生活に慣れていない私は 対岸に行くのには橋を渡らなければならないという基本的知識が欠落している
都会では 歩道橋がそれに近い
横断歩道が無かったりすると 私は 何で人が犠牲を払わなければいけないのかと心の中で思っている
だが 相手が自然では怒るわけにもいかない
で 橋はどこだろうと地図を見たら え~~っ 結構遠い
太陽は空高く昇り 燦々どころかガンガン照りつけている
半ばヤケになり 冷房避けの長袖のシャンブレーのシャツを頭から引っ掛け 川に沿って歩く
昨年の貧乏旅行で出かけた熊野は 川も海ももっと綺麗だった
少し遠いが この狩野川水系には柿田川という湧水を水源にした川がある
祖母の弟が近くに住んでいたので 母から話しを聞いたことがあったが
この狩野川の様子で 母の すっかり変わってしまった という言葉の意味が良く判る
港大橋をやっと渡りきり 途中のコンビニで冷たいお茶を買い レジの女の子に地図を見せて居場所の確認
間違ってはいないようだ
水門で頂いたパンフレットにある芹沢光治良文学館にも 立ち寄ってみることにする
まるで水遊びの後のように髪は汗で濡れ 文学館に着いてもすぐには入れなかった
お茶を飲み 汗を拭いながら建物の全景をぼんやり眺めると あれっ ちょっと雰囲気あるじゃない
入ってみると 太い柱の様な四本の立方体をロビーに付けたような構造である
その四本のうち 二つが展示室 一つは階段 残りの一つが受付で 其処から初老の素敵な男性が出て来た
もとは国語の教師といった感じの人だ
ロビーに展示してあった疎開の頃の写真を指し示し 説明しようとして下さる
疎開ってご存知ですか お若い方は知らないかもしれませんが
えっ 父は戦争に行ってるのに と思いつつもちょっとニンマリ
知らないフリを…勿論しなかった
芹沢氏の本は一冊も読んだことが無いので 熱心な文学散歩の二人連れが来たのを幸いに 一人二階に上がってみた
小さいが なかなかお洒落な建物だ
頂いた小さな栞を後で見て 菊竹清訓の作品だと知った
江戸東京博物館くらいしか見たことがなかったし あれは奇妙な意匠だけれど 文学館は悪くない
出口で 良かったらご署名をと言われたが 名乗るほどの者では^^と言って逃げるように立ち去った
今度 読んでみるね
此処まで歩いて来られたのなら御用邸はもうすぐですよ と言われた言葉に勇気凛々
だけど なんか 道 細くて山道みたいなんだけど 大丈夫なのかぁ~