箕面三中もと校長から〜教育関係者のつぶやき〜

2015年度から2018年度に大阪府の箕面三中の校長を務めました。おもに学校教育と子育てに関する情報をのせています。

ほんとうの異次元の少子化対策とは

2023年05月13日 06時04分00秒 | 教育・子育てあれこれ
わたし自身、孫をみているとかわいいと思い、もう一人いてくれればと思いますが、親は「たいへん」と言います。

なぜ少子化が進むのでしょうか。

少子化が進行し、政府は「異次元の少子化対策」を打ち出しています。

しかし、それは養育や教育にお金がかかることから、それに対する支援を充実させる対策がほとんどです。

わたしは、その支援対策では少子化は止まりにくいと思います。

戦後の時代では、「産めよ、増せよ」という勢いで戦後のベビーブームを引き起こしました。

そのときには、社会の規範や「圧力」が個人に働いていました。

生活は決して楽ではない家庭が多かったのですが、「結婚するのは当たり前」「子どもを産むのは当然」という規範・圧力でした。

しかし、たぶん1990年ごろから個を大切にする価値観が社会に広がりを見せはじめたのでした。

個人の選択を尊重し、個人のことに踏み込まなくなったのです。

その流れとともに、伝統的な共同体的な人間関係が敬遠されるようにもなりました。

この変化こそが産まない自由を許容するように変わってきたのです。

つまり、社会構造の変化と人びとの意識の移り変わりこそが少子化を加速させているのです。

わたしは、共同体的な強い絆の人同士のつながりが絶対的だとは考えていません。

それはいい面もありましたが、他人が自分のエリアに踏み込んでくる点で、一方では煩わしいという側面もありました。

しかし、個人に踏み込まなくなると、極端な場合は、孤立する人も出てくるという問題が出てきます。

そこでいまは、人同士がゆるやかな人間関係でつながる社会が望ましいのではないかと、わたしは考えています。

行政がどこまで個人の自由に踏み込めるかが問われるのです。

そこで、行政ではなく民間のNPO団体やボランティア団体や社協などは支援の網からこぼれ落ちそうな人を支援する活動を行っています。

とにかく、個人の自由を尊重し、産まない自由も認められる社会にあっては、子育てや教育に関わる経済的支援を充実させても、「それでは結婚して、子どもをもとうか」にはなりなくいいのです。

異次元というなら、その社会構造と人びとの意識に踏み込むことが必要になるのではないかと思うのです。




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