大阪府は伝統的に地域の小学生は、地域の公立中学校へ進学することが多くあります。
大阪府箕面市では、ほぼ8割から9割の子が地域の学校へ進学します。
残りの1割から2割の小学生は、国私立中学校に進学し、いわゆる「中学受験」はさほど多くはないのです。
しかし、全国的に見た場合、いまは中学受験が増えています。
そのため小学生の中学年から、学習塾へ通い中学受験の準備を始めることが多くなっています。
もちろん、どの中学校に進むかはあくまで、子どもや保護者の意思次第です.
しかし、中学受験で弊害が伴うことがあることも知っておきたいところです。
そもそも、今なぜ中学受験が増えているのでしょうか。
それは、いまの日本社会が経済中心の価値観に覆われているからでしょう。
経済が閉塞し、雇用が不安定で、低賃金で、子どもの将来に不透明感があるので、親は子どもに学習塾や習いごとに通わせ、少しでも高い学歴や資格、技能を身につけさせようとします。
親には、子どもを可能な限り「経済的に」価値のある人に育てようとする意識が働きます。
その弊害は、ときには深刻な場合も生じます。
親心で、子どもに学習にがんばるように叱咤激励します。
本来子どもは素直だから、その願いに応えてがんばります。
ところが、おとなが子どもの意思に関係なく、理想を追い続け、追いつめると、なかにはついていけない子も出てきます。
がんばったけど、成績が伸びない。それでもがんばらなければならない。親の願いをわかっているし、応えたい。
でも、もう自分はダメ。
子どもが精神的に限界になるまで追いつめられると、深刻な影響が出てきます。
がんばれない子は、自己肯定感を大きく下げてしまい、自分に自信がなくなります。
私学の中学受験をしたが全部不合格で、地域の中学校に進学してきた子を、わたしはクラスにもったことがあります。
多くの生徒が中学校生活に期待をして、イキイキと学校生活を始まる中で、その子はとても無気力で、学習嫌いになり、クラスメイトとなかなかなじめないという課題からの中学校生活のスタートでした。
その子が自信を取り戻し、公立中学校での生活に意欲をもてるまでの道のりは、なかなかたいへんでした。
おとなたちは、子どもの進学について価値観を見直すことが必要です。
どの子も親の期待に応えることができるわけではありません。
ほんとうと意味で、子どもがしあわせな将来を送るには、何が大事かという点に立ち戻るべきです。
ただし、本人が中学受験を好んでがんばり、親もそれを一生懸命に応援するのであれば、それはそれで是となります。
しかし、子どもが「イヤ」とか「ノー」と言うなら、その声を受けとめ、話しあい、どうしていくかを親子の間で合意する過程を大切にしたいのです。
そもそも子どもは失敗するものです。その失敗をやり直し、失敗から学び、自分で判断し、考え、他者と共に生きていく経験を積んでいくのです。
親はその子どもの成長を傍で見守り、寄り添うのが親子関係でもっとも大切なことだと、わたしは思います。
子どもはそのようなおとなの支えを受け、様々な人と接して、進むべき道が見えてきたら自ら学んでいくのです。