
思春期には内面の心の揺れを態度や行動、言葉にはっきりと表す子もいれば、表さない子もいます。それは子どもにより違います。
ただ一つ言えることは、思春期の子どもはどの子も多かれ少なかれ、その内面は揺れていることに変わりはありません。
なかでも、はっきりと態度や行動、言葉に表す子は、怒涛のごとく揺れる気持ちをおとなにぶつけてきます。
理屈が立つようになり、理想と現実の矛盾点を鋭く突いて、教師や親に反抗してくるのが思春期の特徴です。
とくに思春期前から親子関係がうまくいっていない場合、子どもはおかしいと思ったことや正しくないと感じたことを、今まで感じてきた親への不満を増幅させ、親のできていない点や欠点をまともに指摘してきます。
ただこのような子どもの態度に直面したとき、親は「自分を変えるチャンス」ととらえるのか、それとも反抗的で生意気なわが子、「何もできないくせに」と感じてしまうのかが、親が変われるか、変れないかの分かれ目になるのではないでしょうか。
ふつう、おとなの社会や職場では、他者は「あの人はこうした方がいいのに」とか「この点を直してほしい」と思っても、直接的に本人には言わず、置いておく場合が多くあります。
かりに、他者からアドバイスされても、本人がなかなかそのことを聞きいれようとしない場合もあるでしょう。
ですから、おとなの人間関係のなかでは、自分を直すチャンスはけっこう少ないのです。
しかし、子どもは純粋です。思春期の子どもの反抗は、別の見方をすれば、親のできていない点を直してくれるメッセージととらえることができるかが、親にとっての子どもの思春期の意味です。
おそらく、思春期の子どもを交えた親子関係で、「こうするといい」とか「ああすればいい」という共通の対応法はないのでしょう。
ただ、子どもの心の揺れに親やおとながていねいに真摯に向き合うこと、そして親自身が自分を見つめ直すことが必要なのだと思います。