
学習からの逃避、非行・問題行動、いじめ・不登校など、子どもの問題に直面するとき、おとなは困ります。
そして、その子は「困った子」や「たいへんな子」と、とらえられるようになります。
つまり「困ったこども」は、親や学校の先生のような、おとなにとっての困った子どもを指します。
しかし、見方を変えれば、「困った子ども」は、その子自身が困っている子どもです。
つまり、その子どもは困っているからこそ、「助けてほしい」というSOSを学習逃避、非行・問題行動、いじめ・不登校というカタチで発しているのです。
したがって、おとなが子どもの困り感を聴くことで引き出し、それに共感し、子どもへの応対や接し方をかえていけば、こどもは「わかってくれた」という思いをもち、困った問題は落ち着いてきます。
ただし、問題の中でも、重度で深刻な場合は、なかなか解決策が見つからない場合も多くあります。
暴力や窃盗などの触法行為を繰り返す子どもの場合、その対応は一筋縄ではいかず、親や教師は悩みます。
とくに親は、わが子の問題行動に驚き、悲しみます。その親の感情を誰かが聴いてくれればいいのですが、そのような人が周りにいないときには、驚きや悲しみの感情は固定化されます。
また子育てがうまくいかない悩みは、やがて怒りに転化することもあります。あきらめ・無力感になるときもあります。
そして怒りは、他者への強い攻撃性となって表れる場合もあるようです。
また、あきらめや無力感は、うつ病などのメンタル疾患となり現れることがあります。
悩む親御さんには、サポートが必要です。三中でも、教職員はなんらかの力になれないかと思い、かかわりをもとうとしています。
学校の教職員だけで力が足りないときには、スクールカウンセラーの臨床心理士やスクールソーシャルワーカーの社会福祉士などの専門家や相談機関、関係機関等に支援を手伝ってもらいます。
また、同じ悩みを持っている人たちが集い、悩んでいるのは自分だけでなく、ほかにもいるという気づきをもち、思いを共有して、ともに問題の解決にアプローチしていくサークル等の活動もあるでしょう。
そして自信をなくしている親に、「大丈夫ですよ、あなたなら」というメッセージを、教育関係者が発していくことができるなら、親の子どもへの見方やまなざしが変わります。
それはきっと親子関係にいい影響を与えていくことでしょう。
親は、子どもの安心感を引き受ける「安全基地」です。
子どもはいずれ親の元から旅立っていきます。思春期の子どもの特権は未来をみる力にあると考えることができます。
しかし、子どもが成人してからふりかえってみれば、そこに親がいた。このように、親とは子どもにとっての過去に存在するものなのかもしれません。
親は、つねに子どもへの不動の態度と無償の愛をもって存在しているのです。