(日本電気計測器工業会主催 計測展2012 OSAKA、計測と制御で創る未来の地球、2012,10,31、於;グランキューブ大阪 講演)
新エネルギー資源の使い方
メタンハイドレート、地熱発電、そしてストレージ
鈴木 朝夫 (東京工業大学名誉教授・高知工科大学名誉教授、高知県メタンハイドレート開発研究会理事長)
もくじ)
はじめに) 資源大国日本 ----------1
1) メタンハイドレートとは ----------1
2) メタンハイドレートの掘削は ----------3
3) 国家プロジェクトと高知の動き ----------4
4) エネルギー資源の分類 ----------5
5) 日本は昔からの資源大国(黄金の国、ジパング) ----------6
6) ビッグデータとスマート・グリッド ----------7
7) 事故は必ず起きる(低確率巨大事故) ----------8
8) 右肩下がりの下山の先は ----------9
おわりに) 生き甲斐とは、幸せとは ----------10
2) メタンハイドレートの掘削は
{従来のエネルギー資源の掘削法} 固体の石炭:固体を掘り出す。液体の石油:液体が湧き出る、液体を汲み出す。気体の天然ガス:気体が噴き出す、気体を吸い出す。固体のメタンハイドレート:固体を気体(メタン)と液体(水分子)に分離し、気体として地上に取り出す。石炭、石油、天然ガスの従来のエネルギー資源との大きな違いがここにある。
{メタンハイドレートからのメタン回収法} 「加熱法(温水圧入)」、「加熱法(抗井加熱)」、「減圧法」、「分解促進剤注入法」、「ゲスト分子置換法」などが考えられてきた。温度を上げれば、体積の増える方向の水とメタンの分離に向かう。圧力を解放すれば、同じく体積の増える方向に向かう。加熱法は、メタンの分離が吸熱反応だから、際限なく加熱し続ける必要が出てくる。
{減圧法によるメタン回収} 日本のMH21開発計画では減圧法が採用されている。ハイドレート堆積層に水平抗を堀り、発生する水を汲み上げて圧力を低下させ、これにより発生するメタンを吸い上げる。この分解は吸熱反応であり、周囲の温度を低下させる方向に動く。しかし堆積層の周囲の地熱により溶解が進み、圧力低下を持続させる。問題は減圧効果の範囲と持続時間にある。生産性障害になるのは、氷の生成であり、自己保存性が裏目になる。温水圧入や抗井加熱などの加熱法との併用が試みられている。出砂も問題であり、海底や地上に大量の堆積粒子汚泥を取り出すことになる。
{分解促進剤注入による回収法} メタンハイドレートの形成を阻害する分解促進剤(インヒビター)、例えばメタノールや塩を注入すれば、メタンの分離は可能である。だが、促進剤注入のコストが問題になる。
{加熱法(その場局所加熱)の新掘削法} 高知県企業からのこの特許のメタンハイドレート分解・回収装置の基本は「加熱法」である。掘削先端・その場局所燃焼加熱・超臨界水循環・減圧・押上圧送方式と呼べる。地上からは、空気(酸素)、可燃ガス(スタート時)、水、そして制御信号を送り込み、地上へは、回収メタンガス、燃焼排気ガスを取り出すことになる。掘削先端近くに置いたガスタービン発電装置で、その場で発生のメタンを地上からの酸素で燃焼し、それで電力を供給し、各種の熱エネルギー発生装置の電源とする。ヒーター熱による蒸気発生、高周波加熱による過蒸気生成、メタン押し上げのための超臨界水の発生、衝撃波発生によるMH層の破砕、マイクロ波発生などの各種の刺激の電源になる。
図2 メタンハイドレート分解・回収装置
地上から、空気(酸素)、可燃ガス(スタート時)、水、そして制御信号、
地上へは、回収メタンガス、燃焼排気ガス。
掘削先端のメタンハイドレート分解装置は
(ガスタービン発電装置)で電力をその場供給、
(熱エネルギー発生装置)はヒーター熱による蒸気発生、
高周波加熱による過蒸気生成・超臨界水発生
その他、衝撃波発生によるMH破砕などの電源に。
出典:豊かな土佐を取り戻すには ~メタンハイドレートの可能性~(その2)
〒718-0054 高知県香美市土佐山田町植718
0887-52-5154、携帯 090-3461-6571
1) メタンハイドレートとは 2) メタンハイドレートの掘削は 3) 国家プロジェクトと高知の動き
4) エネルギー資源の分類 5) 日本は昔からの資源大国(黄金の国、ジパング) 6) ビッグデータとスマート・グリッド
7) 事故は必ず起きる(低確率巨大事故) 8) 右肩下がりの下山の先は
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