(日本電気計測器工業会主催 計測展2012 OSAKA、計測と制御で創る未来の地球、2012,10,31、於;グランキューブ大阪 講演)
新エネルギー資源の使い方
メタンハイドレート、地熱発電、そしてストレージ
鈴木 朝夫 (東京工業大学名誉教授・高知工科大学名誉教授、高知県メタンハイドレート開発研究会理事長)
もくじ)
はじめに) 資源大国日本 ----------1
1) メタンハイドレートとは ----------1
2) メタンハイドレートの掘削は ----------3
3) 国家プロジェクトと高知の動き ----------4
4) エネルギー資源の分類 ----------5
5) 日本は昔からの資源大国(黄金の国、ジパング) ----------6
6) ビッグデータとスマート・グリッド ----------7
7) 事故は必ず起きる(低確率巨大事故) ----------8
8) 右肩下がりの下山の先は ----------9
おわりに) 生き甲斐とは、幸せとは ----------10
7)事故は必ず起きる(低確率巨大事故)
{安全と安心} 安全は、「安全率」、「安全装置」の表現が、安心は、「安心感」の表現ができる。安全は証明ができる客観的事実、安心とは自ら理解・納得する主観的事実である。
{安全か、危険かの両極端} 情報の欠如、不正確な情報。口コミ、うわさ。マスコミによる増幅、悲惨な映像、過大評価と身近な事例。リスク対応が別なリスクを背負うこと。リスク確率の評価を誤る。
{フェールセーフとフールプルーフ} 仕組みが故障すれば安全側に動いていくのをフェールセーフと呼び、操作を間違えても「止まる」といった安全側に動く仕組みがフールプルーフである。
{フォールトトレランス} システムに障害が発生したときに、正常な動作を保ち続ける能力である。障害発生時の被害を最小限度に抑える能力であり、訳は「耐障害性」「故障許容力」などとなる。故障が起こっても、どれだけ耐えられるかといった概念である。
{フォールトツリー} 故障の木という樹形図。起って欲しくない事象(特定の故障・事故)について、その発生要因を上位のレベルから順次下位に展開して、より低位の問題事象の発生の頻度から想定した特定故障・事故の発生確率を算出する。また、これにより、故障・事故の因果関係を明らかにできる。プラント設計や事故予防解析に多く使われている。しかし、低確率巨大事故のような同時多発故障では使えない。ベキ分布の低確率巨大事故は想定外となる。
{正規分布とベキ(冪)分布} 航空機事故、原子力災害、地震発生、ビッグデータ・システムなどでは、過酷な事故は必ず起きることが知られてきた。「文明は事故を発明する」の有名な言葉がある。そして、確率分布が正規分布ではなくベキ分布となることが知られてきた。
正規分布は、平均値を境として前後に同じ程度にばらついている状態であり、分布図では平均値を対称軸とした釣鐘型の曲線である。つまり、平均値の周辺に多くの値が集まり、値が大小の左右の裾野に向かいデータは急激に減る。
ベキ分布では、平均値を超えて大きな値の方向に曲線はなだらかに裾野を引き、平均からずれた極端に大きなデータの減衰が遅い。平均値以下では、より小さな値をとるデータの数が極端に増えていく。ビスケットを一撃で粉々にしたときのカケラの分布を想像して欲しい。小さな粉ほどその数は極端に多くなっている。数は少ないが、大きなカケラも残って居る。カケラのサイズの分布はベキ分布と言って良い。
{ブラックマンデー、リーマン・ショック} 株式市場の崩壊はレバレッジ(自己資本より大な力で市場を動かす梃子の仕組み)の作用に似ている。クレジット払い、担保借入、信用取引などでは、時にブラックマンデーやリーマン・ショックのようなことが発生する。その確率分布はベキ分布になる。確率分布の形からこれをロングテール(長いしっぽ)と呼んでいる。
{過酷事故発生後の対応} 適正な是正措置。事故後の緩和作戦が重要である。時には超法規的な判断も必要であることの認識。巨大な火事では意図的に先回りの放火や破壊を行うこともある。江戸時代の火消しの仕事は破壊消防から始まっていた。
1) メタンハイドレートとは 2) メタンハイドレートの掘削は 3) 国家プロジェクトと高知の動き
4) エネルギー資源の分類 5) 日本は昔からの資源大国(黄金の国、ジパング) 6) ビッグデータとスマート・グリッド
7) 事故は必ず起きる(低確率巨大事故) 8) 右肩下がりの下山の先は
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