言語空間+備忘録

メモ (備忘録) をつけながら、私なりの言論を形成すること (言語空間) を目指しています。

非正規労働者の待遇改善策

2009-08-21 | 日記
 やや留保しつつも、「未経験者は同一職種同一賃金」 である、と考えてよいとなれば、

   非正規労働者の待遇改善、格差是正、貧困対策としては、正社員の初任給を上げればよい

と考えられます。初任給は、非正規雇用の時給とリンクしており、初任給が上がれば、非正規雇用の時給も上昇すると考えられるからです。初任給が上昇したにもかかわらず、非正規雇用の時給が変わらなければ、企業としては、非正規雇用の形態で人を雇ったほうが経済的に合理的である可能性が高くなりますから、正社員の初任給が上がれば、まず間違いなく、非正規雇用の人々の時給も上がると思われます。

 現在、非正規雇用については、その禁止・正社員化ではなく、「非正規労働者の待遇改善を優先すべき」 ですから、その目的を達成するためには、正社員の初任給を上げることが、もっとも効果的な対策であると考えられます。



 また、一般的に収入の少ない者ほど、収入に占める支出の割合は高くなりますから、

   初任給を上げること ( =非正規雇用の時給を上げること ) そのものが、景気対策になり、かつ、雇用対策にもなる

と考えられます ( 「ケインズの雇用政策 (所得増加政策)」 参照 ) 。



 さらに、企業が労働者に対して支払う金額 ( 給与・賞与等の総額 ) が変わらない、という前提で考えれば ( 企業の給与政策が変わらないならば、という趣旨です ) 、初任給 ( および初任給に連動して上昇する非正規雇用の人々の時給 ) を上げれば、年功序列制度のもとにおいては、( 正社員の ) 年功による昇給額 ( または昇給割合 ) は現在に比べ、小さいものとならざるを得ません。その結果、正社員の賃金上昇ピッチが非正規雇用の人々よりも速い現状に比べ、賃金上昇ピッチの差が小さくなりますから、職種ごとに賃金が決定される度合いが高まり、

   平等的な 「職種給」 の実現に向け、一歩前進する

効果も期待されます。



 ここで、次の視点が重要になってくると思います。



la_causette」 の 「年功序列制度があるからこそ,企業は大学新卒者を普通に雇う

年功序列制度があるからこそ,企業は大学新卒者を比較的低賃金で雇い,社内で必要な教育ないし訓練を施すことができるという意味合いがあるのであって,例えば労働基準法を改正して年齢給を禁止した場合,新卒採用が大いに抑制されるおそれがあります。そうなったからといって,新卒の代わりに,正社員経験のない氷河期世代が正社員採用されるようになるのかといえばおそらくそうはならず(社内で必要な教育ないし訓練を施さないと使い物にならないという意味では,新卒とそう変わらないと認識されていますから。),熟練度の高い高齢者の採用が増えていくことでしょう(もちろん,若い世代が労働者として熟練する機会を与えないのですから,それは中長期的には熟練労働者を減少させることになり,企業の首を絞めていくことになりますが,労働者の流動性が高い社会では,非熟練労働者を熟練させるために費用をかける企業より,他社が熟練させた労働者を,その他社が提示する給与より高い給与額を提示してこれを引き抜くことが効率的ということになりますから,若年労働者に手厚い社員教育を施して労働者として熟練させていく企業は市場において劣位に立たされることになります。)。


 年功序列制度には、新卒採用を促進する効果がある、と書かれており、



 この考えかたには、説得力があると思います。たしかに、年功序列制度には、能力育成の観点が包含されていると思います。とすれば、どの程度まで昇給を小さくしてもかまわないのか ( どの程度まで初任給を上げてもよいのか ) 、弊害が少ないのかを、考える必要があります。

 しかし、どの程度か、という問題は残るにしろ、初任給を上げるべきである、という方向性そのものは、間違いないのではないかと思います。



 なお、上記はグローバル化を無視した場合の話です。海外に比べ、日本では労働者の給与が高すぎることを考えれば、

   上記の給与配分政策を実行しつつ、労働者全体の給与総額はさらに下げるべきである、

とも考えられます。そのあたりも含め、さらに考えたいと思います。

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