言語空間+備忘録

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非正規労働者の待遇改善を優先すべき

2009-08-18 | 日記
小林良暢 『なぜ雇用格差はなくならないのか』 ( p.44 )

 さらにこの時、厚生労働省は同時に「日雇い派遣労働者の実態に関する調査」を実施しており、ここには重要な「ファクト・ファインディング」(事実発見)が一つあった。それは、日雇い派遣労働者に今後の働き方の希望を聞いたもので、「日雇い派遣のままでよい」と「パートや契約社員などその他の非正社員(になりたい)」を合わせると六〇%に及び、「正社員になりたい」と答えたのは三〇%にすぎなかった、というものであった。この事実を、厚労省がどのように記者発表したのかは知らないが、ほとんどの新聞、テレビがこの事実を伝えなかったのは確かである。
 この事実は、非正規労働者一八〇〇万人を「正社員化せよ」という主張が、いかにリアリティのない話であるかを物語っている。派遣社員や契約社員で働いている人たちが求めているのは、必ずしも正社員になることではない。例えば時給を上げる方策とか、雇用契約期間を長くするとか、社会保険への加入をどう促進するかといった現実的な改善策が必要なのであって、これが派遣・請負問題の核心であるはずだ。
 正社員化という「虚構」にはまり込んでしまったマスコミ論調が、問題の本質をずらして迷走させる一因となっているのである。


 非正規労働者は必ずしも、正社員になることを求めてはいない、待遇の改善を求めている、と書かれています。



 さらに、

同 ( p.62 )

 現行の労働者保護法制というものは、一日八時間、週五日、一カ月で二〇日、年間で二三〇日間働く労働者を保護することしか想定していない。それが労働基準法の基本である。
 しかし近年では、一日八時間ではなく、四~五時間働きたいとか、あるいは週五日ではなく三日間働きたい、またある数年の間だけ育児や介護、あるいはサバティカルなどで働き方を変えたいと思う人が男女問わず、多数出てきている。ところが、サラリーマンやOLがこういう働き方を選択しようとすると、現状ではたちどころに非正社員と呼ばれる存在に "転落" してしまうことになる。
 しかも、パートタイマーや派遣、請負、さらには日雇い派遣などの様々な非正規労働者が多数出てくるというのは、労働基準法がまったく想定していなかったことで、現行の保護法制では対応できないのである。


 正社員になることを望んでいない非正規労働者が多数存在しているが、現行の労働者保護法制は、それら非正規労働者の保護に対応しきれない、と書かれています。



 「非正規労働者の保護」 = 「正社員にすること」 、と考えてしまいがちですが、当の非正規労働者自身は、必ずしも、正社員になることを望んではいない。非正規のままでよい、非正規のままでいたい、という人が、かなりの数、存在しているというのです。

 人にはさまざまな事情がありますから、非正規のままでいたい、という人が存在していることは、当然だともいえます。

 問題は、非正規のままでよい、という人が、本当にそう思っているのか、です。つまり、「本当は、正社員になりたい」 けれども、「あきらめている」 のかもしれない、という点です。しかし、本当は正社員になりたいにしろ、本当に非正規のままでよいと思っているにしろ、非正規労働者の待遇を改善すべきことには変わりありません。

 また、非正規労働者の待遇が改善されてくれば、「正社員になるかならないかは、どうでもよい」 という人が増えてくる可能性もあります。重要なのは、「正規か非正規か」 ( 形式 ) ではなく、「待遇が改善すること」 ( 実態 ) だからです。非正規労働者の待遇が正社員なみになれば、「 ( 不自由な ) 正社員にはなりたくない」 という人が多数派になることも考えられます。

 したがって、「非正規労働者を正社員化する」 方向ではなく、「非正規労働者の待遇を改善する」 方向に、努力すべきではないかと思います。



 もちろん、「正社員になりたい」 という人のことも考えなければなりません。したがって、正社員化する方向の努力も必要だとは思います。しかし、優先的に取り組むべきは、「非正規労働者の待遇改善である」 といってよいのではないかと思います。
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