宇宙論、ブラックホール、ダークマター、ホーキング放射、相対論

ブラックホール、ダークマター、ホーキング放射、相対論 etc etc

物理学はパラダイムシフト前夜である。

2023-01-30 04:25:52 | 日記

ういきによれば:パラダイムシフト: https://archive.md/cXSK9 :

『パラダイムシフトの例として、まず旧パラダイム(例:天動説)が支配的な時代は、多くの人(科学者)がその前提の下に問題解決(研究)を行い、一定の成果を上げるが、その前提では解決できない例外的な問題(惑星の動きがおかしい)が登場する。

このような問題が累積すると、異端とされる考え方の中に問題解決のために有効なものが現れ、解決事例が増えていくことになる。

そしてある時期に、新パラダイム(地動説)を拠り所にする人(科学者)の数が増えて、それを前提にした問題解決(研究)が多く行われるようになる。・・・』とあります。

そうして今の物理学の状況と言えばまさに「パラダイムシフト前夜」という事になります。

ういきでは具体例が以下のように示されています。

・ケプラーの法則 - ケプラーによる。
・万有引力の法則 - ニュートンによる。
・地動説 - コペルニクスとガリレオによる。
・相対性理論 - アインシュタインによる。
・量子力学
プランク、アインシュタイン、ボーア、ド・ブロイ、シュレーディンガー、ハイゼンベルク、ディラック、フェルミ、ボース、フォン・ノイマンらによる。

ういきには例として取り上げられてはいませんがアラン・グースその他による「インフレーション宇宙論」もまたパラダイムシフトを引き起こしました。



さてそうなのではありますが、ういきでは以下の様にも述べられています。

『『科学革命の構造』の著者であるトーマス・クーンによれば、パラダイムシフトを起こせるのは、ほとんど若手か異分野の専門家であるという。』

これはつまり「従来の常識の延長線上にはない所に存在している回答を持ってくる事ができる人はもちろん、『その業界の常識に縛られていない人』である。」という事の別の表現になっています。

さてこれは「従来からある理論によって予想されていた事実の発見はパラダイムシフトを引き起こさない」という事でもあります。

その例は「ヒッグス粒子の発見」に見る事が出来ます。

ヒッグス粒子は標準理論で存在が予想されていましたが、今まで見つかってはおりませんでした。

しかしながらセルンの実験でそれが確認されました。

これは新発見ではありましたが「従来理論によって予想されていた発見でした」から、別段、それで物理学がパラダイムシフトを起こす事はありませんでした。



さてそれで上記のようなパラダイムシフトに引き続き、ダークマター探求もまたパラダイムシフトを引き起こします。

ダークマター探求の現状の業界の最有力な予想回答はWIMPです。(注1)

超対称性理論によって存在が予想されている素粒子のなかにダークマター粒子が存在する、という主張ですね。

この予想通りにWIMPが存在し、それがダークマター粒子であった場合、それは「超対称性理論がパラダイムシフトを引き起こした」と認定される事になります。

しかしながら現状では「超対称性理論によって存在が予想されている素粒子」は一つも見つかってはおりません。

従って「ダークマター粒子はWIMPである」という主張が現状ではゆらぎ始めている、という事が出来ます。



さてそうなりますと「ダークマター粒子はいったい何なのか?」という問いについて物理学はWIMP以外の答えを出さなくてはいけなくなります。

それでこの状況と言うものは上記でういきが述べているような事

『その前提(ダークマター粒子はWIMPである)では解決できない例外的な問題(超対称性理論によって存在が予想されている素粒子は、発見が予想された場所に一つも見つかっていない)が登場する。(注2)

このような問題が累積すると、異端とされる考え方の中に問題解決のために有効なものが現れ、それが解決策となる』というような状況に到達する為に物理学者は否応なく『異端とされる考え方の中に(存在している)問題解決のために有効なもの』を探す事になります。

そうしてこの様な状況こそがまさに「パラダイムシフト前夜の状況」という事になります。

さてそれで当方の読みが当たっているならば「物理学の現状は今まさにそのようになってきている」と言えます。(注3)



注1:弱く相互作用する大質量粒子( WIMP ) : https://en-m-wikipedia-org.translate.goog/wiki/Weakly_interacting_massive_particle?_x_tr_sl=en&_x_tr_tl=ja&_x_tr_hl=ja&_x_tr_pto=sc :

『暗黒物質の候補の 1 つである仮説上の粒子です。WIMP の正式な定義は存在しませんが、大まかに言うと、WIMP は重力やその他の力 (または力) を介して相互作用する新しい素粒子であり、標準モデル自体の一部ではない可能性があり、標準モデルと同じかそれよりも弱いものです。・・・素粒子物理学の標準モデルの超対称拡張により、これらの特性を持つ新しい粒子が容易に予測されるため、この明らかな一致は「WIMP の奇跡」として知られており、安定した超対称パートナーは長い間 WIMP の最有力候補でした。

しかし、大型ハドロン衝突型加速器(LHC) 実験で超対称性の証拠を生成できなかったことに加えて、直接検出実験からの最近の結果はゼロであり、最も単純な WIMP 仮説に疑問を投げかけています。』

>直接検出実験からの最近の結果はゼロであり・・・

これは『ダークマター観測の国際共同最新実験「XENONnT」、初観測結果を報告』: http://fsci.4rm.jp/modules/d3forum/index.php?post_id=30089 :の事でもあります。

注2:超対称性理論: https://archive.md/1D88y : 
の:懐疑論:の章から引用

『超対称性理論は現在のところ机上の計算から数学的に導き出される事象の域を出ていない。
2013年に「発見」が報告され2018年7月にもATLASやCMSの実験によりボトムクオークへの崩壊が確認されたヒッグス粒子の質量は、およそ125GeV であり、SUSYの破れはそのエネルギー領域で起こり超対称性粒子が現れてくるべきである。
だがこれまで超対称性粒子はひとつも発見されていない。
信頼できる理論としては未成熟な状態が続いており、そのためSUSY(超対称性)への懐疑論が徐々に素粒子物理学者の間で高まってきている。

CERNが掲載した最新の論文(2021)では、「超対称性粒子が、いかなる条件でも全く観察されなかった」ことを改めて報告した。・・・』

注3:この状況をすこし表現を変えますと「ダークマター探求は超対称性理論が勝つか、異端が勝つか?というゲーム(競い合い)である」という事になります。

そうして勿論、当方は異端の中の主要メンバーであると自負しております。

 

ダークマター・ホーキングさんが考えたこと 一覧

https://archive.md/XxHLI

 


序論・ホーキング放射のメカニズム

2023-01-29 12:05:49 | 日記
前の投稿 - 次の投稿 | 親投稿 - 子投稿.1 | 投稿日時 2020/2/26 0:23 | 最終変更
 
 
"ホーキング放射の簡略な説明はうぃき
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%96%E3%83%A9%E3%83%83%E3%82%AF%E3%83%9B%E3%83%BC%E3%83%AB
「ブラックホール」の蒸発の項目にあります。

"そして、簡略かつ詳細な説明は「ホーキング輻射って正しいんですか?」のベストアンサーではない3番目のpis***さんの説明、
https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1120574466
「ホーキング輻射は正しいと思いますが、正しくない説明を見かけます。・・・」
が良さそうです。"
(Or http://archive.fo/oU4CT )

その中でBHから出てくる(様に見える)粒子についての言及があります。
『ブラックホール近辺から、あたかも、温度がkT=h/4πRであるようなエネルギー分布で粒子が放出されるのが見えます。
これがホーキング輻射です。
(引用注:ここでのhはプランク定数を2πで割ったもの。RはRs、シュワルツシルト半径)
このとき、どういう粒子が出てくるかは、たとえば
Particle emission rates from a black hole; Massless particles from an uncharged non-rotating hole
Don N. Page
Phys. Rev. D 13 P.198 (1976)
によれば、ニュートリノ:81%、光子:17%、重力子:2% となっています。』

そうして、このホーキング放射の説明のポイントはここです。

『この結果、生成消滅演算子も、空間が平らでないと、形を変えます。
空間が曲がっているときの消滅演算子をa'とすると
a'=αa-βa†
というように、ボゴリューボフ変換で結ばれます。』
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9C%E3%82%B4%E3%83%AA%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%83%9C%E3%83%95%E5%A4%89%E6%8F%9B
「ボゴリューボフ変換」、難しい言葉ですねえ。
しかしどうやらこれがホーキングさんがBHのホライズン近傍の重力場についてやった事のポイントの様です。

その結果、BHから離れた所から見ているとBHのホライズンで仮想粒子のペアが発生し、その半分がBHに落ち込む事で
『あたかも、温度がkT=h/4πRであるようなエネルギー分布で粒子が』BHのホライズンで生成されている様に見えると言う訳です。
これはBHの存在によって空間が曲げられた効果の結果であり、BHの存在が原因でその結果として粒子の放出が観測される、と言う事になります。

以上の説明がホーキング放射の説明としては良さそうですが、この方の説明の最後の部分、エネルギーバランスについての説明には少々疑問が残ります。


さて「ホーキングさんが考えたこと・1」で取り上げた質量M(=1.73*10^11)Kgを持つミニブラックホール、シュワルツシルト半径Rsが2.57*10^-16 (m)をまずはプランクレベルまで「蒸発」させなくてはいけません。
そしてここはニュートリノ君にがんばってもらう事としましょう。

このBHの温度を計算しましょう。
T=h*C^3/(8*pi*kB*G*M)   
(注:ここでのhはプランク定数を2πで割ったもの)
諸式に定数をいれて質量Mの関数としてT=0.1227*10^(+24)/M(ケルビン)とこうなります。

Mに1.73*10^11(Kg)を入れるとT=7.09*10^11(K)
709000000000度=7090億度、まあ大したことはありませんね。
ちなみに
http://osksn2.hep.sci.osaka-u.ac.jp/~kazu/class_2010/par_phys_101014.pdf
LHCでの陽子加速後の粒子温度は7TeV = 70,000,000,000,000,000 eV= 7京 ℃=7X10^16度です。


さて、この温度でのプランク則によるピーク波長(光換算)はλ=H*C/(4.97*k*T)。
よってこの光子の振動数SはS=C/λ=(4.97*k*T)/H。
エネルギーはE=H*SよりE=(4.97*k*T)(ジュール)
E=M*C^2よりM=(4.97*k*T)/C^2

そう言う訳で、質量換算でM=(7.63*10^-40)*T(Kg)の全エネルギーを持つ粒子の放出が一番多いとそう言う事になります。
今の場合はT=7.09*10^11(K)ですから5.41*10^-28(Kg)という全エネルギーをもつ粒子の放射が一番多い事になります。
それはつまりBHにしてみればこの粒子ひとつを放出するたびに、5.41*10^-28(Kg)というエネルギーでBHの質量が減っていく、そういうことになります。

そしてニュートリノで考えていますので、BHから出てくる(様に見える)一個のニュートリノの静止質量Moと運動エネルギーEkの合計が5.41*10^-28(Kg)になると、そう言う事でもあります。

ちなみに参考までに電子と陽子/中性子の質量を掲げておきます。
電子      9.11*10^-31(Kg)
陽子/中性子  1.67*10^-27(Kg)

このBHの放出するニュートリノのエネルギースペクトルのなかで、一番数が多い、と言う意味でのこのBHにとっては典型的なニュートリノになる訳ですが、その一個が持つ全エネルギーの換算質量が5.41*10^-28(Kg)ですが、それが陽子/中性子の質量の約3分の1と言う事で、相当に重くなっている、つまりほとんど光速で飛び出している、ということがこれによって分かります。

そうして、こうしたプロセスによって質量M(=1.73*10^11)Kgを持つミニブラックホールが質量ゼロになるのに宇宙年齢程の時間が必要になる、というのが皆さんの計算結果でした。


さてこのBHのホライズンの表面積SはS=4*Pi*Rs^2ですが、その上にプランク長さLpを直径とした円がいくつ取れるか計算しましょう。
その最大値はRs^2/(Lp/2)^2程度になると予想でき、その値は1.00*10^+39個ほどです。

これは何を計算したのか、といいますと、ニュートリノの大きさをプランク長さ程度とした時に、一度にどれぐらいの数のニュートリノがホライズン上に存在できるのか、という数字になります。
そうして、これほどの数のニュートリノがホライズン上に存在できるのであれば、なるほど今のこのサイズのBHであれば統計力学を適用する事が妥当であろうと、そう言う事になります。

しかしながらプランク質量程のBHのRsは2*Lpでありますから、さてその場合はRs^2/(Lp/2)^2は16個、たかだか16個のニュートリノの集団に対して統計力学をそのままあてはめて使うのは、これは妥当とは思えないのであります。

これがプランク質量のBHについては、まずは考慮されなくてはいけない一つ目の問題です。
連続的に質量が減っていくのではなく、離散的に、確率的にしか質量は減っていかない、そういう状況になります。

以上は従来から皆さんがおやりになっているBHの寿命計算のやり方への批判になります。
離散的、確率的になる状況をつかむには代数計算では無理で、数値計算によるシミュレーションが必要になると思われます。
(プランク単位系については
http://eman-physics.net/dynamics/planck_unit.html
EMAN物理のプランク単位系を参照願います。)


二つ目の問題は、いつまでニュートリノがこのBHに飛び込めるか、と言う事です。
BHの半径が2Lp程度であればたしかにLpの大きさの粒子は中に入れそうですが、BHの半径がLpになった時にはどうか、さらにはLp/2になったら、これはもはやどの粒子もこのBHの中には入れそうもありません。
そしてそのBHの質量(重量)はMp/4となります。

そうであれば半径がLp/2以下のBHはそれ以上蒸発する事は出来ない、そのように考える事ができそうです。
そうして、その事が「プランクスケールのBHが蒸発して消え去る事は出来ない」という主張に結びつくのでありました。

PS
BH蒸発についての良い説明が見つかりましたのでご参考までに載せておきます。
https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1415526224
ブラックホールが蒸発するとはどういうことですか?
(Or http://archive.fo/raDU0 )

追伸
せっかくですから載せておきます。(2020/2/26)
「宇宙のダークマター直接探索の現状」
https://www.jps.or.jp/books/gakkaishi/2020/02/75-02_068interdisciplinary.pdf

物理というのは最後は実物勝負ですから、実に楽しみな事であります。
 
 

ダークマター観測の国際共同最新実験「XENONnT」、初観測結果を報告

2023-01-03 11:51:36 | 日記

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暗黒物質粒子の検出へ王手〜日経サイエンス2016年4月号より
https://www.nikkei-science.com/?p=49429

2016年に「王手」がかかった様ですが、、、


そうしてまたイタリアの山の下に据え付けられたダークマター検出用の観測装置はもう動いていると思うのですが、第一報はまだですか?(注1)

首の長さが十分に伸びて、そろそろ限界に達しそうであります。

ダークマター観測の国際共同最新実験「XENONnT」、初観測結果を報告

https://news.biglobe.ne.jp/it/0726/mnn_220726_5911757594.html

https://archive.ph/p8HDf

『詳細は日本時間7月22日に、オーストリア・ウィーンで開催されたダークマター探査に関する国際会議「14th International Conference on Identification of Dark Matter」にて発表され、論文は米国物理学会が刊行する機関学術誌「Physical Review Letters」に掲載される予定だという。』


今の所の結論は
『「XENON1T実験」において2020年に観測された「低エネルギーでの電子反跳事象の超過現象」は有意に確認されず、未知の物理現象に関する強い制限を得たと発表した。』

要するに「2年前にとらえた3.5σ有意だった「低エネルギーでの電子反跳事象の超過現象」は偶然の産物だった。

「未知の現象をとらえたものでは無かった」という事の様です。

つまりは「しっぽつかんだかなーー>いや残念ながらそうではなかった」という事ですね。

従って6年前の王手は残念ながら「実はかかっていませんでした」となります。

この件、詳細内容は上記の原典でご確認願います。


さてそういう訳で『現在、研究チームでは、今回のデータを用いて、ダークマターの最有力候補の1つである、“冷たい暗黒物質”こと「WIMPs(Weakly Massive Interactive Particles)」に対する解析が進められているとしている。

XENONnT実験は、今後数年間をかけてさらなるデータを取得し、より高い感度で新たな物理現象の探索を行う計画』となります。

要するに「振出しに戻った」という事になりますね。(注2)

そうなりますとこの観測実験は「あと数年が勝負」という事になります。



注1;グラン・サッソ国立研究所
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B0%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%82%B5%E3%83%83%E3%82%BD%E5%9B%BD%E7%AB%8B%E7%A0%94%E7%A9%B6%E6%89%80

注2:「日経サイエンス2016年4月号」によれば
『この捕らえどころのない(ダークマター)粒子を今後数年内にXENON1Tでも発見できなかった場合には,物理学者たちは現在最有力の理論を諦めて,もっと風変わりな説明を探究する必要に迫られるだろう。
「現在最高の理論モデルはいずれもXENON1Tで検証できる範囲にある」と,同実験に携わるパデュー大学の物理学者ラング(Rafael Lang)はいう。
「WIMPが見つからなかった場合,それは私たちの仮説が完全な間違いであることを意味し,本当に振り出しに戻らざるをえない」。』とのこと。

みつけだせるか、それともできないのか、その事ははっきりさせなくてはいけません。

そうであれば、いずれにしても頑張る以外に方法はありませんね、ラングさん。

そうやって物理学は進歩してきましたし、それ以外に物理学を進歩させる手段は他には見当たりません。

 


その2・ ダークマター検出の現状について・2

2023-01-03 11:50:21 | 日記

前の投稿 - 次の投稿 | 親投稿 - 子投稿なし | 投稿日時 2020/10/7 20:44

 

日経サイエンス11月号の特集によれば

特集:暗黒物質の有力候補 ステライル ニュートリノを追う
http://www.nikkei-science.com/202011_061.html

という様に「日経サイエンス社」はダークマターの有力候補に「ステライル ニュートリノ」をあげています。
『ニュートリノには電子型とミュー型,タウ型の3つの種類(フレーバー)があることが知られている。
しかし1990年代半ば以降,一部の実験で,第4のニュートリノ「ステライル型」の存在を示唆する結果が報告されてきた。
既知の3種類と違って,放射性元素の崩壊などを起こす「弱い力」すら作用しない粒子だ。
つまり,ステライルニュートリノは重力以外の力が作用しないので,もし存在すれば,暗黒物質の有力候補になる。』

まあ確かに「重力以外は作用しない」という点ではDMの候補にふさわしいものです。

しかしながら通常我々が探しているDMはCDM(コールドDM)と呼ばれている「光速に比べて相当に速度が遅いDM」です。

それに対してニュートリノは何と言っても「ほぼ光速で移動している」のですからステライルニュートリノが存在してもそれはHDM(ホットDM)と呼ばれる事になります。

次にニュートリノと光子は宇宙論では「放射成分」として扱われています。
そうしてこの2つの放射成分が現時点でもつエネルギー密度は臨界密度の0.01%程度です。
他方でCDMのエネルギー密度は25%と計算されていますが、ニュートリノのエネルギー密度はそれには遠く及ばないのであります。

以上のエネルギー密度についての考察詳細は

https://blog.goo.ne.jp/rokusanasukor/e/20857b6860278ed7550472fbcf7de7d7
を参照願います。

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ダークマターの小規模なゆらぎをアルマ望遠鏡で初めて検出:2023年9月 7日

https://archive.md/ys1u7

『宇宙空間に漂うダークマターの密度に、3万光年以下という小規模な空間的ゆらぎがあることが、アルマ望遠鏡を用いた観測で初めて明らかになりました。ダークマターの正体を解明するために重要な一歩となります。

ダークマターは、直接光で⾒ることができない物質で、宇宙の質量の⼤部分を占めています。その重力が及ぼす影響は、星や銀河といった宇宙の基本構造が作られる過程で重要な役割を果たしてきたと考えられています。ダークマターの空間分布は一様ではなく、その重⼒によって遠⽅からやってくる電磁波の経路をわずかに変化させます。重⼒レンズ効果と呼ばれるこの現象の観測から、ダークマターは銀河や銀河の集団と似通った分布をしていることが分かっています。しかし、さらに⼩さな規模の分布は、これまで詳しく分かっていませんでした。

近畿大学、東京大学、国立天文台、および台湾中央研究院の研究者から成る国際研究チームは、アルマ望遠鏡を⽤いて、地球から110億光年の距離にあるクエーサー「MG J0414+0534」を観測しました。このクエーサーは、⼿前にある銀河の重⼒レンズ効果によって見掛けでは4つの像に分かれて⾒えます。しかし、今回観測された見掛けの像の位置や形は、手前の銀河による重力レンズ効果のみを考慮して計算したものとは異なっており、銀河よりも小規模でかつ複数のダークマターの塊による、重力レンズ効果が働いていることが分かりました。さらに詳細な解析から、ダークマターの密度に3万光年程度の小さな規模の空間的なゆらぎがあることが判明したのです。これは、これまでに観測されたダークマターのゆらぎよりもはるかに小さな規模です。この結果は、宇宙空間に低速のダークマターが漂っていると仮定した理論的な予測と⼀致するものでした。

ダークマターの塊による重力レンズ効果は非常に小さいため、直接そのものを検出することは極めて困難です。今回は、銀河による重力レンズ効果とアルマ望遠鏡の高い解像度とを組み合わせることで、初めて検出することができました。本研究は、ダークマターの理論を検証し、正体を解明するための重要な⼀歩と⾔えます。』

『宇宙空間に低速のダークマターが漂っていると仮定した理論的な予測と⼀致するものでした。』<--大事なポイントです。

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謎の暗黒物質「ダークマター」の質量の範囲を絞り込むことに成功
2021年01月31日 ι

https://archive.md/ID5V2

『・・・英サセックス大学の研究グループは、それが重力と干渉することに着目し、量子重力からダークマターの”粒子”が持つであろう質量の範囲の特定を試みた。
 研究グループによると、仮にダークマター粒子の質量にばらつきがあるのだとしても、量子重力からその範囲を絞り込むことができるのだという。

 マクロの世界の動きを正確に予測する一般相対性理論とミクロの世界の動きを正確に予測する量子力学は、なぜだか折り合いが悪いことで知られているが、統合されれば両者の基本的な原理を反映した理論になるはずだ。

 ならば重力と干渉するダークマター粒子は、量子重力のルールにしたがって崩壊し、相互作用するに違いない。

 明らかになった範囲すべてを丁寧に吟味して、既存の宇宙理論の下ではおよそあり得ないだろうと考えられる質量を除外していく。

 その結果、ダークマター粒子の質量は、そのスピンならびに相互作用の性質次第で、10^-3から10^7電子ボルトの範囲に収まるだろうと推定された。

 これまで推定値は、10^-24電子ボルト~10^19ギガ電子ボルトだったので、それよりもぐっと範囲が絞り込まれたことになる。

 また、これによって「WIMP」をはじめとする、いくつかのダークマター候補をほぼ除外できるようになったのも大きな進展だ。』

面白い着眼点だが、ピントがはずれているww

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ダークマター検出の現状について・2

2023-01-03 11:49:31 | 日記
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4月号の「日経サイエンス」にも紹介されていた「フェルミラボの従来にはないダークマター探索計画」です。

・MAGIS-100:暗黒物質、重力、量子科学を調査する自由落下の原子
https://translate.google.com/translate?hl=ja&sl=en&u=https://news.fnal.gov/2019/09/magis-100-atoms-in-free-fall-to-probe-dark-matter-gravity-and-quantum-science/&prev=search

『Fermilabの深さ100メートルのシャフト-何年も前にニュートリノ実験用に建設されたもの-は、暗黒物質と重力波の性質を調査する新しい量子実験の拠点になります。

MAGIS-100コラボレーションの科学者は、原子のグループを真空管に落とし、レーザー光を照射し量子物理学の側面を探ります。
この実験の目的は、超軽量の暗黒物質粒子の存在を明らかにし、以前に検出されたよりも低い周波数の重力波を検出する道を開くことです。』

すでに先行している10mサイズでの自由落下実験装置で・・・
『「私たちは、人間のスケールで原子を操作し、ほぼ人間の身長の分離を達成します」とフェルミラボの科学者ロニ・ハーニックは説明しました。
「これは今までに行われたことがありません。」』

『とらえどころのない粒子の検索
暗黒物質の重力効果は、1930年代後半から観察されています。
今日、科学者は、私たちが毎日目にする種類の発光物質が、宇宙の物質のわずか5分の1を占めるのみであることを知っています。
ダークマターが残りを構成しますが、科学者はまだその構成要素を直接観察していません。

最も一般的な理論では、ダークマターはとらえどころのない、めったに相互作用しない粒子と見なされます。
暗黒物質の研究の多くは、弱く相互作用する大粒子、つまりWIMPに焦点を当てています。
これは通常、陽子よりも重いと理論化されています。
しかし、科学者は他の可能性を考慮して検索を拡大しました。
(↑現状は、なかなか探索している質量範囲の中にダークマターの粒子が見つからないので、質量の軽い方にも再び注目が集まっている、という状況です。)

MAGIS-100は、重量がWIMPよりはるかに少ない超軽量の暗黒物質候補を探します。
そのような粒子の例は、ニュートリノの質量よりも軽い重さの仮定されたアクシオンであり、何十年もの間、質量がないと考えられていたほど軽い粒子です。

MAGIS-100が敏感な粒子の場合、暗黒物質は粒子ではなく波としてより適切に記述され、定数と考えられる量を時間とともに振動させます。
MAGIS-100は、このタイプの最も軽い暗黒物質候補からのこのような振動信号を検索します。

原子が重なり合うと、超軽量の暗黒物質粒子からの微小な変化に敏感になります。
そのような粒子が電子と相互作用すると、そのような変化の1つが発生し、電子の質量がわずかに変化する可能性があります。
超軽量の暗黒物質粒子は、原子を構成する粒子の相互作用強度にも影響を与える可能性があります。

「だから、私たちはMAGIS-100で原子をどれだけ離れて駆動できるかに焦点を当てています」と、MAGIS-100の広報担当者であり、スタンフォード大学の科学者であるJason Hogan氏は述べています。
「その距離は、実験の感度に直接関係しています。」』

・・・と言うように「スーパーライトなダークマター探索計画」も動いております。

以上、ご参考までに。

追伸
MAGIS-100関係の他の記事は以下のページから入れます。
https://translate.google.com/translate?hl=ja&sl=en&u=https://news.fnal.gov/tag/magis-100/&prev=search

ご注意
以上の記事は
「・ダークマター検出の現状について」
の一連の記事に引き続いて書かれたものです。
それでこの前半部分の記事については以下のアドレスから入れますのでよろしくお願い致します。