宇宙論、ブラックホール、ダークマター、ホーキング放射、相対論

ブラックホール、ダークマター、ホーキング放射、相対論 etc etc

ダークマター観測の国際共同最新実験「XENONnT」、初観測結果を報告

2023-01-03 11:51:36 | 日記

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暗黒物質粒子の検出へ王手〜日経サイエンス2016年4月号より
https://www.nikkei-science.com/?p=49429

2016年に「王手」がかかった様ですが、、、


そうしてまたイタリアの山の下に据え付けられたダークマター検出用の観測装置はもう動いていると思うのですが、第一報はまだですか?(注1)

首の長さが十分に伸びて、そろそろ限界に達しそうであります。

ダークマター観測の国際共同最新実験「XENONnT」、初観測結果を報告

https://news.biglobe.ne.jp/it/0726/mnn_220726_5911757594.html

https://archive.ph/p8HDf

『詳細は日本時間7月22日に、オーストリア・ウィーンで開催されたダークマター探査に関する国際会議「14th International Conference on Identification of Dark Matter」にて発表され、論文は米国物理学会が刊行する機関学術誌「Physical Review Letters」に掲載される予定だという。』


今の所の結論は
『「XENON1T実験」において2020年に観測された「低エネルギーでの電子反跳事象の超過現象」は有意に確認されず、未知の物理現象に関する強い制限を得たと発表した。』

要するに「2年前にとらえた3.5σ有意だった「低エネルギーでの電子反跳事象の超過現象」は偶然の産物だった。

「未知の現象をとらえたものでは無かった」という事の様です。

つまりは「しっぽつかんだかなーー>いや残念ながらそうではなかった」という事ですね。

従って6年前の王手は残念ながら「実はかかっていませんでした」となります。

この件、詳細内容は上記の原典でご確認願います。


さてそういう訳で『現在、研究チームでは、今回のデータを用いて、ダークマターの最有力候補の1つである、“冷たい暗黒物質”こと「WIMPs(Weakly Massive Interactive Particles)」に対する解析が進められているとしている。

XENONnT実験は、今後数年間をかけてさらなるデータを取得し、より高い感度で新たな物理現象の探索を行う計画』となります。

要するに「振出しに戻った」という事になりますね。(注2)

そうなりますとこの観測実験は「あと数年が勝負」という事になります。



注1;グラン・サッソ国立研究所
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B0%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%82%B5%E3%83%83%E3%82%BD%E5%9B%BD%E7%AB%8B%E7%A0%94%E7%A9%B6%E6%89%80

注2:「日経サイエンス2016年4月号」によれば
『この捕らえどころのない(ダークマター)粒子を今後数年内にXENON1Tでも発見できなかった場合には,物理学者たちは現在最有力の理論を諦めて,もっと風変わりな説明を探究する必要に迫られるだろう。
「現在最高の理論モデルはいずれもXENON1Tで検証できる範囲にある」と,同実験に携わるパデュー大学の物理学者ラング(Rafael Lang)はいう。
「WIMPが見つからなかった場合,それは私たちの仮説が完全な間違いであることを意味し,本当に振り出しに戻らざるをえない」。』とのこと。

みつけだせるか、それともできないのか、その事ははっきりさせなくてはいけません。

そうであれば、いずれにしても頑張る以外に方法はありませんね、ラングさん。

そうやって物理学は進歩してきましたし、それ以外に物理学を進歩させる手段は他には見当たりません。

 

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その2・ ダークマター検出の現状について・2

2023-01-03 11:50:21 | 日記

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日経サイエンス11月号の特集によれば

特集:暗黒物質の有力候補 ステライル ニュートリノを追う
http://www.nikkei-science.com/202011_061.html

という様に「日経サイエンス社」はダークマターの有力候補に「ステライル ニュートリノ」をあげています。
『ニュートリノには電子型とミュー型,タウ型の3つの種類(フレーバー)があることが知られている。
しかし1990年代半ば以降,一部の実験で,第4のニュートリノ「ステライル型」の存在を示唆する結果が報告されてきた。
既知の3種類と違って,放射性元素の崩壊などを起こす「弱い力」すら作用しない粒子だ。
つまり,ステライルニュートリノは重力以外の力が作用しないので,もし存在すれば,暗黒物質の有力候補になる。』

まあ確かに「重力以外は作用しない」という点ではDMの候補にふさわしいものです。

しかしながら通常我々が探しているDMはCDM(コールドDM)と呼ばれている「光速に比べて相当に速度が遅いDM」です。

それに対してニュートリノは何と言っても「ほぼ光速で移動している」のですからステライルニュートリノが存在してもそれはHDM(ホットDM)と呼ばれる事になります。

次にニュートリノと光子は宇宙論では「放射成分」として扱われています。
そうしてこの2つの放射成分が現時点でもつエネルギー密度は臨界密度の0.01%程度です。
他方でCDMのエネルギー密度は25%と計算されていますが、ニュートリノのエネルギー密度はそれには遠く及ばないのであります。

以上のエネルギー密度についての考察詳細は

https://blog.goo.ne.jp/rokusanasukor/e/20857b6860278ed7550472fbcf7de7d7
を参照願います。

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ダークマターの小規模なゆらぎをアルマ望遠鏡で初めて検出:2023年9月 7日

https://archive.md/ys1u7

『宇宙空間に漂うダークマターの密度に、3万光年以下という小規模な空間的ゆらぎがあることが、アルマ望遠鏡を用いた観測で初めて明らかになりました。ダークマターの正体を解明するために重要な一歩となります。

ダークマターは、直接光で⾒ることができない物質で、宇宙の質量の⼤部分を占めています。その重力が及ぼす影響は、星や銀河といった宇宙の基本構造が作られる過程で重要な役割を果たしてきたと考えられています。ダークマターの空間分布は一様ではなく、その重⼒によって遠⽅からやってくる電磁波の経路をわずかに変化させます。重⼒レンズ効果と呼ばれるこの現象の観測から、ダークマターは銀河や銀河の集団と似通った分布をしていることが分かっています。しかし、さらに⼩さな規模の分布は、これまで詳しく分かっていませんでした。

近畿大学、東京大学、国立天文台、および台湾中央研究院の研究者から成る国際研究チームは、アルマ望遠鏡を⽤いて、地球から110億光年の距離にあるクエーサー「MG J0414+0534」を観測しました。このクエーサーは、⼿前にある銀河の重⼒レンズ効果によって見掛けでは4つの像に分かれて⾒えます。しかし、今回観測された見掛けの像の位置や形は、手前の銀河による重力レンズ効果のみを考慮して計算したものとは異なっており、銀河よりも小規模でかつ複数のダークマターの塊による、重力レンズ効果が働いていることが分かりました。さらに詳細な解析から、ダークマターの密度に3万光年程度の小さな規模の空間的なゆらぎがあることが判明したのです。これは、これまでに観測されたダークマターのゆらぎよりもはるかに小さな規模です。この結果は、宇宙空間に低速のダークマターが漂っていると仮定した理論的な予測と⼀致するものでした。

ダークマターの塊による重力レンズ効果は非常に小さいため、直接そのものを検出することは極めて困難です。今回は、銀河による重力レンズ効果とアルマ望遠鏡の高い解像度とを組み合わせることで、初めて検出することができました。本研究は、ダークマターの理論を検証し、正体を解明するための重要な⼀歩と⾔えます。』

『宇宙空間に低速のダークマターが漂っていると仮定した理論的な予測と⼀致するものでした。』<--大事なポイントです。

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謎の暗黒物質「ダークマター」の質量の範囲を絞り込むことに成功
2021年01月31日 ι

https://archive.md/ID5V2

『・・・英サセックス大学の研究グループは、それが重力と干渉することに着目し、量子重力からダークマターの”粒子”が持つであろう質量の範囲の特定を試みた。
 研究グループによると、仮にダークマター粒子の質量にばらつきがあるのだとしても、量子重力からその範囲を絞り込むことができるのだという。

 マクロの世界の動きを正確に予測する一般相対性理論とミクロの世界の動きを正確に予測する量子力学は、なぜだか折り合いが悪いことで知られているが、統合されれば両者の基本的な原理を反映した理論になるはずだ。

 ならば重力と干渉するダークマター粒子は、量子重力のルールにしたがって崩壊し、相互作用するに違いない。

 明らかになった範囲すべてを丁寧に吟味して、既存の宇宙理論の下ではおよそあり得ないだろうと考えられる質量を除外していく。

 その結果、ダークマター粒子の質量は、そのスピンならびに相互作用の性質次第で、10^-3から10^7電子ボルトの範囲に収まるだろうと推定された。

 これまで推定値は、10^-24電子ボルト~10^19ギガ電子ボルトだったので、それよりもぐっと範囲が絞り込まれたことになる。

 また、これによって「WIMP」をはじめとする、いくつかのダークマター候補をほぼ除外できるようになったのも大きな進展だ。』

面白い着眼点だが、ピントがはずれているww

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ダークマター検出の現状について・2

2023-01-03 11:49:31 | 日記
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4月号の「日経サイエンス」にも紹介されていた「フェルミラボの従来にはないダークマター探索計画」です。

・MAGIS-100:暗黒物質、重力、量子科学を調査する自由落下の原子
https://translate.google.com/translate?hl=ja&sl=en&u=https://news.fnal.gov/2019/09/magis-100-atoms-in-free-fall-to-probe-dark-matter-gravity-and-quantum-science/&prev=search

『Fermilabの深さ100メートルのシャフト-何年も前にニュートリノ実験用に建設されたもの-は、暗黒物質と重力波の性質を調査する新しい量子実験の拠点になります。

MAGIS-100コラボレーションの科学者は、原子のグループを真空管に落とし、レーザー光を照射し量子物理学の側面を探ります。
この実験の目的は、超軽量の暗黒物質粒子の存在を明らかにし、以前に検出されたよりも低い周波数の重力波を検出する道を開くことです。』

すでに先行している10mサイズでの自由落下実験装置で・・・
『「私たちは、人間のスケールで原子を操作し、ほぼ人間の身長の分離を達成します」とフェルミラボの科学者ロニ・ハーニックは説明しました。
「これは今までに行われたことがありません。」』

『とらえどころのない粒子の検索
暗黒物質の重力効果は、1930年代後半から観察されています。
今日、科学者は、私たちが毎日目にする種類の発光物質が、宇宙の物質のわずか5分の1を占めるのみであることを知っています。
ダークマターが残りを構成しますが、科学者はまだその構成要素を直接観察していません。

最も一般的な理論では、ダークマターはとらえどころのない、めったに相互作用しない粒子と見なされます。
暗黒物質の研究の多くは、弱く相互作用する大粒子、つまりWIMPに焦点を当てています。
これは通常、陽子よりも重いと理論化されています。
しかし、科学者は他の可能性を考慮して検索を拡大しました。
(↑現状は、なかなか探索している質量範囲の中にダークマターの粒子が見つからないので、質量の軽い方にも再び注目が集まっている、という状況です。)

MAGIS-100は、重量がWIMPよりはるかに少ない超軽量の暗黒物質候補を探します。
そのような粒子の例は、ニュートリノの質量よりも軽い重さの仮定されたアクシオンであり、何十年もの間、質量がないと考えられていたほど軽い粒子です。

MAGIS-100が敏感な粒子の場合、暗黒物質は粒子ではなく波としてより適切に記述され、定数と考えられる量を時間とともに振動させます。
MAGIS-100は、このタイプの最も軽い暗黒物質候補からのこのような振動信号を検索します。

原子が重なり合うと、超軽量の暗黒物質粒子からの微小な変化に敏感になります。
そのような粒子が電子と相互作用すると、そのような変化の1つが発生し、電子の質量がわずかに変化する可能性があります。
超軽量の暗黒物質粒子は、原子を構成する粒子の相互作用強度にも影響を与える可能性があります。

「だから、私たちはMAGIS-100で原子をどれだけ離れて駆動できるかに焦点を当てています」と、MAGIS-100の広報担当者であり、スタンフォード大学の科学者であるJason Hogan氏は述べています。
「その距離は、実験の感度に直接関係しています。」』

・・・と言うように「スーパーライトなダークマター探索計画」も動いております。

以上、ご参考までに。

追伸
MAGIS-100関係の他の記事は以下のページから入れます。
https://translate.google.com/translate?hl=ja&sl=en&u=https://news.fnal.gov/tag/magis-100/&prev=search

ご注意
以上の記事は
「・ダークマター検出の現状について」
の一連の記事に引き続いて書かれたものです。
それでこの前半部分の記事については以下のアドレスから入れますのでよろしくお願い致します。
 
 

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その6・ダークマター検出の現状について

2023-01-03 11:48:28 | 日記

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さてそう言う訳で、
http://www.resceu.s.u-tokyo.ac.jp/symposium/daigaku&kagaku/MINOWA.pdf
我々の銀河系もダークマターの中にあり、そうしてまた太陽系、地球もDMの海の中を動いている、そういうのが現在の大方の方の認識の様です。

ダークマターの密度はといえば1ccで水素原子0.3個とのこと。
地球の体積で500grだそうです。(上記PdfのP10~11)

地球の半径は6371Km.
体積はV=4/3*PI*(6371)^3=1.08*10^12(Km^3)

「ホーキングさんが考えたこと・5」で示した「プランクレベルBHがダークマターである説」によればダークマター平均重量はMp/8ということになり、それは2.72*10^-9(Kg)でした。
そうなるとダークマター個数NはN=0.5/(2.72*10^-9)=183823529個。
それを体積Vで割れば1km^3にいくつのダークマターがあるかわかります。
答えは0.0001702個。

地球がダークマターの海の中を秒速200kmで移動している(上記PdfのP16)ので、さて1km^2サイズの検出面をもった検出器には1日で幾つのダークマターが入るでしょうか?
答えは2941個。

しかし実際の検出器のサイズは大きくても10m*10mでしょうか。
小さければ1m*1mですね。
10m*10mでは一日あたり0.29個、3日で1個ですね。
1m*1mでは1日当たり0.0029個、10か月で1個のペースです。

しかもこの低速プランクスケールBHは真空や物質とは何の反応も示さず、ただゴミ、ホコリレベルの質量を持つ質点が検出器の中を秒速200kmで飛んで行くのですから、さてそれをどうやって検出するというのでしょうか?
そう言う訳で、「ダークマターがプランクスケールBHであった場合は、地上での直接観測はできないだろう」が答えの様に思われます。

ちなみに人の衝突断面積は0.4~0.5m^2ぐらいですか。
そうすると我々は20か月に1度はこのプランクスケールBHと衝突している事になります。
・・・
いやいやプランクスケールBHの衝突断面積はゼロですから、遭遇はできますが衝突はできません。
これは表現を間違えてしまい、失礼いたしました。

追伸
以下、別のページ「ダークマターは興味深いですね」からダークマター直接観測に関係する部分を引用しておきます。

http://www-sk.icrr.u-tokyo.ac.jp/xmass/
XMASS(ダークマター観測実験)
を例として取り上げましょう。
(or http://archive.fo/0pRot )

『2013年の改修作業後、順調に行われてきた暗黒物質探索用データの取得を完了し、本日XMASS-I検出器から液体キセノンを回収しました。』
液体キセノンが約1トンとの事ですので、比重3.06から検出球の体積が326.8m^3と分かります。
半径が約4.3mで観測断面積(円形)が57m^2。
https://blog.goo.ne.jp/rokusanasukor/e/ce066626fa54ca5e734b27a4ac2d5470

これですとプランクスケールBHを1日で0.17個の観測が可能。
2013年秋から2019年2月までで5.5年の稼働として全観測個数は341個。

1000回に一回のキセノンとの反応があったとしても、発光が観測できた確率は33%程度。
実際は1000回に一回も反応するとは思えず、ラッキーであったとしても10000回に一回程度かと。
これだと5.5年動かして1回の発光を観測できた確率は3.3%。

以上が「状況的に難しい」という事の内容になります。

ちなみに当方の主張は「プランクスケールBHの衝突断面積はゼロ」ですので、XMASSの様な「物質粒子との衝突を検出するというやり方」では原理的に検出不可能と言う事になります。
つまり「どれだけ大きなXMASSを作ってみてもダークマターは観測できないだろうなあ」と言う事になります。

追伸
この一連の記事はここで終了です。
そうしてこの続きは
・ダークマター検出の現状について・その2
http://fsci.4rm.jp/modules/d3forum/index.php?topic_id=2926#post_id19310
になります。

ご注意
この次の記事は 当方の記事に対する「いやがらせ」ですので 読むに値しません。
記事内容は「単なる自分の本の宣伝」であり、「アマゾンから買えるぞ」と言う「自分の経済的な利益目的の内容」です。

加えて当方からの「内容削除依頼」を無視して現状も掲載を続けています。

従いまして賢明なる読者諸氏におかれましては、ここで上記リンク先にジャンプされる事をお勧め致します。

 

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その5・ダークマター検出の現状について

2023-01-03 11:47:51 | 日記

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前の記事は超対称性理論によって存在が予想されているニュートラリーノ (neutralino)などのフェルミオンについてのものでした。

これに先立つ事【2014年9月29日 カブリIPMU】の発表によれば
・XMASS実験で、「Super-WIMP」がダークマター候補から外れる
https://www.astroarts.co.jp/news/2014/09/29xmass/index-j.shtml
とあります。

『「ダークマター」の候補の1つが、ボゾン粒子のSuper-WIMP(スーパーウィンプ:極めて弱く相互作用する質量粒子) だ。
この粒子が存在するとすれば、銀河の運動や宇宙背景放射の観測から知られているダークマターの量をうまく説明できるとして、有力候補とされていた。

カブリIPMUの鈴木洋一郎さんらのXMASS実験グループでは、岐阜県飛騨市の地下1000mに設置された「XMASS-I」検出器を用いてSuper-WIMPの兆候をつかまえようとした。
この粒子は地球にも降り注ぎ、まれに物質(検出器内の原子)に吸収されてその静止質量と等しい運動エネルギーをもつ電子を検出器内に放出するとされる。

165.9日分の観測データから、4万~12万eVの質量(電子の質量の10分の1から5分の1程度に相当)を持つ粒子について高感度で探索を行った。
だが粒子による信号は見つからず、この質量範囲のSuper-WIMPが宇宙のダークマターであるというシナリオは正しくないことがはっきりした。』


ダークマターの候補の一つであった「質量が軽くて弱い相互作用をするボゾン粒子」の存在が否定されました。

注1:もうちょっと詳しい説明として
・軽い暗黒物質を世界最高感度で探索 - XMASS実験により極めて弱く相互作用するボゾンが暗黒物質である可能性を排除
https://www.ipmu.jp/ja/node/1998

注2:WIMPの説明として
・なぜ WIMPを探すのか、どうやって捕らえるのか
https://www.ipmu.jp/sites/default/files/webfm/pdfs/news23/02J_FEATURE.pdf

追伸
「未発見の素粒子を探せ」という資料がありました。
http://kagakucafe.org/uematsu090411.pdf
2009年にアップされている様ですが、その時の状況では
1、重力波未検出
2、ヒッグス粒子未発見
ということでした。
しかしそれ以外の記述についてはダークマターや質量の起源の事に関しても現状でも十分に参考になると思われますので紹介しておきます。

ちなみにその資料のP58に
「130GeV以下のヒッグスが見つかるとーー> 超対称性模型が有力」
と書かれてあります。
そうして見つかったヒッグスは「124.97 GeV/c²」でした。
https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/0/00/Standard_Model_of_Elementary_Particles.svg

超対称性模型が有力

ストーリーとしては「ニュートラリーノが存在し、これがダークマターだ」とつながりそうですね。

セルンでのWIMP:超対称性粒子の検出計画
となりますか。

追伸2
「理論家の皆さんはこんなことを考えてます。」というお話。

・電弱相互作用を行う暗黒物質と直接探索実験(2017年)
https://www.lowbg.org/ugnd/workshop/sympo_all/201705_Okayama/slides/22am/nagata.pdf

・熱的暗黒物質における重要な未探査領域
~暗黒物質の直接、間接探査の果たす役割~(2018年)
http://www.jicfus.jp/jp/wp-content/uploads/2018/11/Matsumoto.pdf

・超対称性粒子と暗黒物質(2017年)
http://www.icepp.s.u-tokyo.ac.jp/~asai/work/4nen-SUSY2017.pdf

・・・いやはや、すごいですね。

 

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