前の投稿 - 次の投稿 | 親投稿 - 子投稿なし | 投稿日時 2022/9/19 0:15 | 最終変更
暗黒物質粒子の検出へ王手〜日経サイエンス2016年4月号より
https://www.nikkei-science.com/?p=49429
↑
2016年に「王手」がかかった様ですが、、、
↓
そうしてまたイタリアの山の下に据え付けられたダークマター検出用の観測装置はもう動いていると思うのですが、第一報はまだですか?(注1)
首の長さが十分に伸びて、そろそろ限界に達しそうであります。
↓
ダークマター観測の国際共同最新実験「XENONnT」、初観測結果を報告
https://news.biglobe.ne.jp/it/0726/mnn_220726_5911757594.html
https://archive.ph/p8HDf
『詳細は日本時間7月22日に、オーストリア・ウィーンで開催されたダークマター探査に関する国際会議「14th International Conference on Identification of Dark Matter」にて発表され、論文は米国物理学会が刊行する機関学術誌「Physical Review Letters」に掲載される予定だという。』
↑
今の所の結論は
『「XENON1T実験」において2020年に観測された「低エネルギーでの電子反跳事象の超過現象」は有意に確認されず、未知の物理現象に関する強い制限を得たと発表した。』
要するに「2年前にとらえた3.5σ有意だった「低エネルギーでの電子反跳事象の超過現象」は偶然の産物だった。
↓
「未知の現象をとらえたものでは無かった」という事の様です。
つまりは「しっぽつかんだかなーー>いや残念ながらそうではなかった」という事ですね。
従って6年前の王手は残念ながら「実はかかっていませんでした」となります。
この件、詳細内容は上記の原典でご確認願います。
さてそういう訳で『現在、研究チームでは、今回のデータを用いて、ダークマターの最有力候補の1つである、“冷たい暗黒物質”こと「WIMPs(Weakly Massive Interactive Particles)」に対する解析が進められているとしている。
XENONnT実験は、今後数年間をかけてさらなるデータを取得し、より高い感度で新たな物理現象の探索を行う計画』となります。
要するに「振出しに戻った」という事になりますね。(注2)
そうなりますとこの観測実験は「あと数年が勝負」という事になります。
注1;グラン・サッソ国立研究所
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B0%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%82%B5%E3%83%83%E3%82%BD%E5%9B%BD%E7%AB%8B%E7%A0%94%E7%A9%B6%E6%89%80
注2:「日経サイエンス2016年4月号」によれば
『この捕らえどころのない(ダークマター)粒子を今後数年内にXENON1Tでも発見できなかった場合には,物理学者たちは現在最有力の理論を諦めて,もっと風変わりな説明を探究する必要に迫られるだろう。
「現在最高の理論モデルはいずれもXENON1Tで検証できる範囲にある」と,同実験に携わるパデュー大学の物理学者ラング(Rafael Lang)はいう。
「WIMPが見つからなかった場合,それは私たちの仮説が完全な間違いであることを意味し,本当に振り出しに戻らざるをえない」。』とのこと。
みつけだせるか、それともできないのか、その事ははっきりさせなくてはいけません。
そうであれば、いずれにしても頑張る以外に方法はありませんね、ラングさん。
そうやって物理学は進歩してきましたし、それ以外に物理学を進歩させる手段は他には見当たりません。