宇宙論、ブラックホール、ダークマター、ホーキング放射、相対論

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ダークマター・43-4・ハッブル定数の食い違いについて(4)

2021-04-13 22:33:33 | 日記

以下、前ページからの続きで3成分のフリードマン方程式を解く事を考えます。プランクのデータから「輻射-物質拮抗時期」と「宇宙の晴れ上がりの時点」での赤方偏移の値を持ってきます。

a,「輻射-物質拮抗時期」Zeq=3402  表7。(プランク報告2018年)

b,「宇宙の晴れ上がりの時点」Zdec=1090  Planck (spacecraft)

a,より今から宇宙の大きさが1/3403倍の時に物質と輻射のエネルギー密度が同じであった事が分かります。したがって、物質密度はその時から現在までに(1/3403)の3乗で減少しました。他方で放射密度は(1/3403)の4乗で減少しています。そうしますと放射エネルギー密度は物質密度の1/3403=0.00029386=0.029386%になっている事が分かります。

プランク報告2018年からΩΛ=0.6847、Ωm=0.3153ですので、これを使ってΩrの値を出します。Ωr/Ωm=0.00029386ですからΩr=0.0000926535となります。こうして現時点での3つの成分のエネルギー密度比が決まりました。

さてこの数値をつかって3成分のフリードマン方程式たてて宇宙の晴れ上がり時期を直接求めます。
使う式は 無次元フリードマン方程式 の (5.18)式になります。

物質密度Ωmとダークエネルギー密度ΩΛ、放射エネルギー密度Ωr上記の値で、そうして曲率項はぜろとします。

宇宙の大きさがゼロ(ビックバン時点)から「宇宙の晴れ上がりの時点」までの経過時間を求めたいのですから積分は0から1/1091=0.00091659までとなります。

『0から0.00091659の範囲で1/(sqrt(0.3153/x+0.000092654/x^2+0.6847x^2))を積分』をウルフラムで実行します。

実行アドレス

答えは0.0000255461 

次に現時点での宇宙の大きさを1としていますので、そこまでのビッグバンからの経過時間を求めます。

『0から1の範囲で1/(sqrt(0.3153/x+0.000092654/x^2+0.6847x^2))を積分』をウルフラムで実行します。

実行アドレス

答えは0.950327

0.950327が宇宙年齢138.3億年に相当しますからこれで換算すると37.18万年が「宇宙の晴れ上がりの時点」である事が分かります。

 

以下、今まで検討してきた「宇宙の晴れ上がりの時点」の推定結果をまとめてみます。

・43-1の結果

 ・物質成分100%でのフリードマン式で推定 38.3万年

 ・物質32.1%、DE67.9%での推定   47.72万年

・43-3の結果

 ・宇宙のはれ上がり時点でそれより前は輻射ー物質の2成分のフリードマン方程式に従い、それ以降は物質ーダークエネルギーの2成分のフリードマン方程式に宇宙は従うものとして解いた場合  42.2万年

・43-4の結果

 ・物質ー放射ーDEの3成分のフリードマン式で推定 37.2万年

 

これに対してプランクレポートでは「宇宙の晴れ上がりの時点」を38.0万年とし、その結果ハッブル定数を

ハッブル定数  66.88(km s -1 Mpc -1) と推定しています。


さて今回最終的に3成分系で推定した宇宙の晴れ上がり時刻はプランクレポートの数値を上回る事はなく、したがってハッブル定数をプランクレポートの値より大きな値に変更する必要はない、という事になりました。

どうやら以上が今回の試みの最終結論であり、ハッブル定数の食い違いについては「宇宙の晴れ上がりの時刻を見直す」という事では解決には至らなかった、という事になります。

追伸:さてそうなりますと、今後の観測の積み重ねによってハッブル定数がプランクレポートの推定値よりも大きな値である、という事が確定致しますと、宇宙の晴れ上がり時点での宇宙の大きさはプランクレポートが推定した値より大きい、という事になります。

しかしながら空を見上げた時にそこに見える基準長さの視角がプランクが測定した値であるとするならば、基準長さを宇宙が大きくなっている分だけ大きくしないとつじつまが合わなくなります。

それはつまり、「ビッグバンから始まった宇宙の初期プラズマ+光の混合媒質の中を伝わる音速は光速*1/sqrt(3)よりも宇宙が広がった分だけ早くなる必要がある」という事を表している様に見えます。

ちなみに、以上見てきましたように宇宙初期でのイベントのタイミング(時刻)を決める為には3成分のフリードマン方程式を使う必要がある、という事になります。

追伸その2:ついでながら「輻射-物質拮抗時期」Zeq=3402 の時刻を求めておきましょう。

積分は0から1/3403=0.000293858までですから

『0から0.000293858の範囲で1/(sqrt(0.3153/x+0.000092654/x^2+0.6847x^2))を積分』をウルフラムで実行します。

実行アドレス

答えは0.00000350341

上記と同様にして年に換算すると5.1万年になります。

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