宇宙論、ブラックホール、ダークマター、ホーキング放射、相対論

ブラックホール、ダークマター、ホーキング放射、相対論 etc etc

その4・ダークマター検出の現状について

2023-01-03 11:47:11 | 日記

前の投稿 - 次の投稿 | 親投稿 - 子投稿.1 .2 | 投稿日時 2020/3/5 19:49 | 最終変更

 

次の探索方法は
3、地下施設でのキセノンやアルゴン原子と暗黒物質の衝突による発光の検出
ですね。

『XMASSは暗黒物質粒子探索のためのXenon MASSive detectorから名付けられました。
検出器は、神岡地下観測施設のホールCに設置されています。・・・』
https://www.ipmu.jp/ja/research-activities/research-program/xmass

『XMASSは単相の液体キセノンを使用した特徴的な検出器で、現存する液体キセノンを使った暗黒物質粒子探索検出器のなかで最大の光量を達成しています。
そのおかげで、多数の有用な結果を発表しました。

XMASS実験は2010年12月から2012年5月まで試験的にデータを収集しました。
その後背景事象を大幅に減少させるように検出器の改良を行い、2013年11月よりデータ収集を再開し、2019年2月に1600日以上にわたる低雑音の有用なデータを収集し実験を終えました。(Last update: 2020/01/06)』

レポート

ダークマターの非弾性散乱の探索
http://www-sk.icrr.u-tokyo.ac.jp/xmass/news/article/20190605.html
『ダークマターの非弾性散乱とは、ダークマターがキセノン原子核を跳ね飛ばして速度を与えるだけではなく、原子核のエネルギーを高い状態(励起状態)にする現象のことを云います。
励起状態の原子核はガンマ線を放出して元の状態に戻ります。

この反応が起きるには、ダークマターが「スピン」という物理量を持っている必要があります。
従ってもしこの現象が観測されれば、それはダークマターの発見に留まらず、その性質に迫ることもできます。
未だこのダークマターと原子核の非弾性散乱は観測されていません。

XMASSで用いているキセノンは様々な同位体を含んでいますが、その26%を占める、キセノン129がダークマターと非弾性散乱を起こすことができます。
キセノン129はダークマターによって励起されると、即座に40keVのエネルギーを持つガンマ線を放出します(図1)。

XMASSでは、この現象は「40keVのガンマ線 + 原子核の反跳」として観測されます。
従って観測されるエネルギーは図2のようになります。
ダークマターの質量はある決まった値を持つはずですが、その値は判っていないため、この図のように、ダークマターの信号スペクトルをその可能性のある質量ごとに計算し、実験で得たエネルギースペクトルの中にその信号スペクトル成分が含まれているかを探索しました。』

「ダークマターの質量はある決まった値を持つはずですが、・・・」
これはあくまで超対称性理論によって存在が予想されているニュートラリーノ (neutralino)などの粒子を前提とした話ですね。
当方が主張するような「プランクレベルBH」であったとすると「ダークマターの質量はある決まった値を持つ」とはいえず、上限はありそうですがダークマター全体としては「連続した質量分布をもつであろう」と予想されます。

『具体的にはデータ中の信号スペクトルの強度(事象の頻度に相当)を求め、その強度が有意に0より大きければ、ダークマターの非弾性散乱が観測されたと結論づけることができます。
同時にその質量についての情報も得ることができます。
信号スペクトルの強度が有意でなければ、ダークマターと我々の身の回りの物質(ここでは通常物質と呼びます)の相互作用する確率に上限を与えることになります。

今回、XMASS実験では800.0 日分のデータの中から、この現象を探索しました。
その結果、信号スペクトルの強度は0と矛盾しないことがわかりました。
つまり、残念ながらダークマターの発見はありませんでした。・・・』


現状はXMASSではダークマターは発見されず、イタリアで計画されている「キセノン原子をつかったより大規模な探索実験」(注1)にこの実験に関係したメンバーは合流しているものと思われます。

注1:イタリアのグラン・サッソ山中のXENONnT実験
https://www.ipmu.jp/ja/research-activities/research-program/XENONnT

神戸大学 XENON
http://ppwww.phys.sci.kobe-u.ac.jp/laboratory/dark-matter/xenon.html

XENONnT 実験のためのキセノン純度モニターの開発
http://www-sk.icrr.u-tokyo.ac.jp/_pdf/mthesis/2018/master-nkato-190128.pdf

一応前半部がダークマター検出概論みたいな記述になってますので、ご参考までに。

追伸
キセノンを使ったダークマター探索ではダークマターがスピンをもつ事、つまりフェルミオンである事が大前提の様です。
それに対してプランクレベルBHではそのようなスピンは持っていないでしょう。
そのかわりに角運動量ならもつ事が出来ます。
さてその場合、何に対する回転なのでしょうか?
もちろんCMB:宇宙背景放射に対しての回転という事になります。

シュワルツシルト・ブラックホール
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B7%E3%83%A5%E3%83%AF%E3%83%AB%E3%83%84%E3%82%B7%E3%83%AB%E3%83%88%E3%83%BB%E3%83%96%E3%83%A9%E3%83%83%E3%82%AF%E3%83%9B%E3%83%BC%E3%83%AB

そういうわけでプランクレベルBHがダークマターである場合は「キセノン、あるいはアルゴンをつかった衝突による発光現象の検出」というのはあまり期待できる話ではない、という事になりそうです。


http://archive.fo/zbGB2
http://archive.fo/lpD7Y

 

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その3・ダークマター検出の現状について

2023-01-03 11:46:33 | 日記

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1、セルンの加速器を使って暗黒物質を生成する。
これについてのもう少し詳しい記事は
「ダークマター」検出へ、欧州の原子核研究機関が新たな実験計画
https://www.afpbb.com/articles/-/3214434
を参照願います。

この話をもうすこし探索してみましょう。
記事中にFASERという検出器が出てきます。
それがセルンのHPで紹介されています。

フェイザー物理学
https://translate.google.com/translate?hl=ja&sl=en&u=https://faser.web.cern.ch/&prev=search
で下段で「物理」をクリック。
以下、グーグル翻訳にて一部引用

何十年もの間、 標準モデル(BSM)を超える物理学の主要な例は、TeVスケールの質量と標準モデル(SM)へのO(1)カップリングを持つ重い粒子でした。
しかし、ごく最近では、はるかに軽く、より弱く結合した新しい粒子に関心が高まっています。
それらの多くの動機の中で、そのような粒子は正しい熱遺物密度の暗黒物質を生み出し、理論と低エネルギー実験の間の顕著な矛盾を解決するかもしれません。
おそらく最も重要なことは、光と弱結合の新しい粒子は、粒子物理学と宇宙論に革命的な影響を及ぼす可能性のある(ものであり)、比較的安価で、小さく、高速な実験によって発見できることです。


熱遺物密度の暗黒物質

「高温ビッグバン現象の結果、生成されたダークマター」程度の意味かと思います。

実験について
https://translate.google.com/translate?hl=ja&sl=en&u=https://faser.web.cern.ch/&prev=search
で下段の「実験」をポチッとよろしく。
以下、グーグル翻訳にて一部引用

新しい軽い粒子は、LHCでの陽子と陽子の衝突で常に大量に生成される可能性がありますが、それでも検出は避けられます。
これは、一度生成されると、そのような粒子は陽子ビーム衝突軸に沿って進むため、低バックグラウンド環境で粒子を検出できる実験がないためです。(ヒッグス粒子探索においては、その様な検出器はいままで用意されていなかった。)
新しい物理粒子に関連するまれなイベントを探すとき、よく知られている標準モデル粒子の相互作用からの背景を高度に抑制する必要があります。
一方、新しく軽い長寿命の粒子は、相互作用することなく数百メートルも簡単に移動し、そのような背景から十分に離れた位置で標準モデル粒子、たとえば電子-陽電子対に崩壊することができます。

以上、ご参考までに。

PS
ところで
https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/0/00/Standard_Model_of_Elementary_Particles.svg

こんな表を眺めていると、なんでhiggsだけがスピンがゼロなんだと、まあ単純素朴にそういう疑問はうかんできますよねえ。

そうして、ダークマターのキセノンやアルゴンを使った「ダークマター衝突ーー>原子が光を出す実験」では対象のダークマターは「スピンをもつ」と当然の様に想定されている様です。

超対称性
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%B6%85%E5%AF%BE%E7%A7%B0%E6%80%A7
より

『超対称性(ちょうたいしょうせい,supersymmetry,SUSY)はボソンとフェルミオンの入れ替えに対応する対称性である。
この対称性を取り入れた理論は超対称性理論などのように呼ばれる。また、超対称性粒子の一部はダークマターの候補の一つである。
・・・
超対称性の存在は、現在までに知られている標準模型の粒子たちに超対称性パートナーが存在することを予言する。
例えば、電子に対してスカラー電子と呼ばれるスピン0で電荷-1を持つ粒子の存在が予言される。』

ということは標準理論でボソンとされている粒子の超対称性フェルミオン版の中のどれかがダークマターであろう、という想定となっている事になります。
つまりその粒子はスピン1/2(?)を持つであろう、ということですね。

どうも一つ忘れていた様です。
皆さんお探しなのは
ニュートラリーノ
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8B%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%83%88%E3%83%A9%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%8E
の様です。

『ニュートラリーノ (neutralino) は、超対称性理論によって存在が予想されているマヨラナ粒子。
予測される質量は陽子の質量の30~5000倍。
・・・
電荷を持たないボース粒子に対する超対称パートナーであるズィーノ(Z粒子のパートナー)、フォティーノ(光子のパートナー)、中性ヒグシーノ(中性ヒッグス粒子のパートナー)は同じ量子数を持つので混合状態を作り、これがニュートラリーノと呼ばれるフェルミ粒子である。
ニュートラリーノは、弱い相互作用と重力相互作用にのみ関わるので,存在したとしても観測は困難である。
また、最も軽いニュートラリーノは安定な粒子であると考えられる。』

 

 

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その2・ダークマター検出の現状について

2023-01-03 11:45:47 | 日記
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1、セルンの加速器を使って暗黒物質を生成する。
これについてのもう少し詳しい記事は
「ダークマター」検出へ、欧州の原子核研究機関が新たな実験計画
https://www.afpbb.com/articles/-/3214434
を参照願います。

2、暗黒物質同士の対消滅で出るγ線の検出@銀河中心部
については
ガンマ線観測によるダークマター間接探索の現状と CTA 計画における今後の展望
http://astro-wakate.sakura.ne.jp/ss2013/web/syuroku/astropart_05a.pdf
がよろしいかと。

上記文献中に登場するCTAについては稼働し始めた模様です。
The Cherenkov Telescope Array (CTA)
http://www.cta-observatory.jp/

以上、ご参考までに。

追伸
1、セルンの加速器を使って暗黒物質を生成する。
で参照しているセルンの加速器実験で探している粒子として暗黒光子(ダークフォトン)と言うのが出てきます。
それについての参考資料を貼っておきます。
・暗黒物質候補 Axion-like particles および Hidden photon の探索
http://www-sk.icrr.u-tokyo.ac.jp/xmass/news/article/20190424.html

『現在の素粒子物理学の標準理論は十分でないと考えられており、それを拡張する様々な理論が提唱されています。
それら理論の多くで、Axion-like particles (ALPs)や暗黒光子 Hidden Photon (HP)等の新粒子が予言されています。
ALPsやHPはまた、暗黒物質の正体ではないかと注目されています。』

同様にニュートラリーノという粒子も加速器実験のテーマとしてでてきますが、これについては後述となります。


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ダークマター検出の現状について

2023-01-03 11:43:28 | 日記

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日経サイエンス1月号に
「暗黒物質とニュートリノに挑む」という記事が載っていました。
少し抜粋してみます。

『普通の物質粒子とはほとんど相互作用せず、電荷は持たず、質量は陽子などよりははるかに大きいとされる。
標準モデルを超える有力理論「超対称性理論」が予言する素粒子である可能性がある。』

探索方法は
1、セルンの加速器を使って暗黒物質を生成する。
2、暗黒物質同士の対消滅で出るγ線の検出@銀河中心部
3、地下施設でのキセノンやアルゴン原子と暗黒物質の衝突による発光の検出
というところか。

前の記事に載せましたが、これらの内容については物理学会誌でも紹介されている。
日本物理学会誌 Vol. 75, No. 2, 2020

「宇宙のダークマター直接探索の現状」
https://www.jps.or.jp/books/gakkaishi/2020/02/75-02_068interdisciplinary.pdf

『直接探索をはじめとして,間接探索・加速器を用いた探索によってダークマターの正体が数年の内に明らかになる可能性が高まってきている.
現在の物理学に課せられた大きな問題であるダークマターへの我々の取り組みに今後もご注目いただき,正体解明へのみちのりを一緒に楽しんでいただければと思う.』

この報告によれば「暗黒物質は2~3年で見つかる事」になります。
物理というのは最後は実物勝負ですから、これは実に楽しみな事になります。


http://archive.fo/ob03H

 

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