あなたの夢の中で

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《西洋人のものの考え方について教えて》

2007年08月04日 15時18分10秒 | その他の板
149 :|・∀・|:2007/08/04(土) 04:07:39 0
『小さな陰謀に優るものなし』
 今時の流行のように、私も夕方によくネット・サーフィンをして楽しんでいる。
ある時「ヴォルテール・ネット」というチャットのサイトを見つけ、時々、覗くようになった。ここには面白い人々が集い、
決して飽きさせることがないからである。このサイトを訪れるたびに、フランス政界についてのたくさんの情報が得られる。
政治家の噂、企み、情事など、私のアパートの管理人がずっと隠して教えてくれなかったこと(私は情報通にもかかわらず)
を教えられるのである。
 思わず何度も反芻したくなる珠玉の例をひとつ。『サウジアラビアへの武器売却に絡む1135万ドルの賄賂が発覚した
《ジョゼフィーヌ》事件について、ジャン=フランソワ・エナンからジャン=ピエール・ザナト判事に手渡された、最近急死した
エクトル・ド・ギャラールの名で書かれたあるメモによると、アンヌ・パンジョーが黒幕としてあげられている。ゴルドにある、
パンジョーの養父にあたるアラン・マンク所有の屋敷で行われたとされる秘密の打ち合わせで、彼女が賄賂を支払ったと
いうのだ。後日掲載されたフランス・ソワール紙のインタビューの中で、フランソワ・デュラン・ド・グロスーヴルのかつての
助言者であるベルナール・ピションは、ジョゼフィーヌ事件の首謀者はジャック・ドロールであると言い、アンヌ・パンジョー
については一切言及していない。』
 パンジョー、マザリーヌ、マンク、ドロール?もう、いい!わけがわからない。どうやら私はフランスという国を動かしてい
る仕組みについて、まったく理解していなかったようだ。頭がくらくらする中で、私はこの文章をプリント・アウトした。
フランスで起こっていることなら全てに精通していると自負する友人のジャン=ポールに見せるためだ。彼なら説明してく
れるだろう。
 ジャン=ポールはプリント・アウトをざっと読むと、まるで出来の悪い生徒を前にした数学の教師のような冷ややかな目
で私を見た。
 『でも、この話は、皆が知っていることさ』
 えっ?皆?ああそうか、フランスでは皆が暗号化された言葉で話し、それを解くにはフランス人でなければならないのだ。

150 :|・∀・|:2007/08/04(土) 04:08:09 0
 幸運なことに、少しして私は、ヴォルテール・ネットに集まるようなフランス流の探索者たちは、ごく平凡な出来事の
背後にも何か陰謀が隠されているのではないかと疑ってかかる偏執的なマニアなのだということを理解した。
アメリカ上院の数少ない左翼議員(もちろんアメリカ製の左)のひとりであるポール・ウェルストーンの死について、
このサイトは長々と述べ、次のような言葉で説明している。『アメリカの運輸省長官によれば、上院議員の飛行機墜落
は事故の可能性が"ありうる"そうだ』。「ありうるそうだ」とは何とすごい表現か?まるで事故の可能性を完全に否定
しているかのようだ。更に自説の説得力を高めるために、このサイトはウェルストーンを「アメリカ野党のリーダー」で
あるとしている。
 しかし、最悪なのは、こうした陰謀趣味がフランス全土にあまねく広がっていることである。この国で数ヶ月でも過ご
した外国人ならば、雑誌を読む際にフランス人が興味を持つのは次の二点だけであることを知っている。すなわち
不動産情報と、もうひとつはキノコ狩り以外のあらゆることを支配しているフリーメーソンのことなのである。
前者はどの国でも同じだが、後者は驚きだ。そして・・・。
 その結果、どんなに平凡な出来事でも、その「裏に隠された真実」を詮索されることになるのである。ある日、
外で夕食を終えて出ると、私の車のフロント・ガラスに、歩道上に駐車したことに対する違反切符〔PV〕が貼られていた。
(違反については弁解の余地がない)。すると例のジャン=ポールが『どうしてこんな夜中に切符を切っているか知ってる
かい?』と聞いてきた。『それは駐車場をいっぱいにしたいからさ。ただ駐車場の株主を喜ばせるためだけに。』
 陰謀探しが、国民的スポーツのように盛んな国がある。バルカン半島や中央アジアなどの開発の後れた国、
そしてフランスである。これらの国々では、混み入った、不可解な事件に対しては、口から口へと伝わる、幾分
大袈裟な噂話にまさる情報はない。なぜなら、メディア(本質的にブルジョワな)は真実追求のための労を取らず、
政府が発表することをただ垂れ流すだけであることを皆が知っているからである。

151 :|・∀・|:2007/08/04(土) 04:08:41 0
 コンスピラシー・セオリー(conspiracy theory)、すなわち陰謀論の利点は、検証が不可能だということにある。
信じる者にとって、もっともらしくあれば、それで良いのである。
 かくして多くのフランス人が、リー・ハーヴェイ・オズワルドはCIAの指示によってケネディを暗殺したのだとか、
アポロ宇宙船の飛行士が月面に降り立った映像は、ワシントンが製作した作り物の映画だったなどということを
信じている。エミール・ルイがヨンヌ県で誘拐事件を起こしたのは、性的倒錯の趣味を持つ地方のブルジョワの
ためであると思われているし、ロベール・ブランの死は?政府の指示で、自殺したことに見せかけられたのだと
信じられている。更に哀れなピエール・ベレゴヴォイや不運なフランソワ・ド・グロスーヴルのことも忘れちゃいけない。
 そう、あなた方フランス人ならばよくわかっておられるように、陰謀というものは、地域的な場合、国家的な場合、
国際的な場合(必ずCIAの影が取り沙汰される)と、そのケースによって違う意味を持ちうる。陰謀説も使いように
よっては、社会にとって有用だ。陰謀説によって、説を信じようとしない者を「お人よし」呼ばわりし、おしゃべり者、
たとえば郵便局での経歴の自慢ばかりをする義兄のような人物を黙らせることができる。ナンテール虐殺事件の
犯人「リシャール・ダーンの自殺」を信じているような人の会話に口を挟むのはなんと乙なことか。
 「哀れな奴だな、キミは!まさか、スタヴィスキーも自殺しただなんて、言うんじゃないだろうね。二人の警官づき
の小さな部屋の中に閉じ込められていたダーンが、その監視の目をかいくぐって天窓から外に身を投げることが
できただなんて、誰が信じられようか?この事件の背後には、何かある。きっと、虐殺を指示した黒幕の名を白状
しないように、彼は消されたに違いない。」
 このように言われたら、どんな合理的思考を持った人間でも口をつぐんでしまう。

152 :|・∀・|:2007/08/04(土) 04:09:07 0
 多くのフランス人が、こうした根拠のはっきりしない噂話、終わることのない芝居を心から楽しんでいることが
わかった。このお芝居の中では、ジャン=クロード・メリーや、フランソワ・サントニのような登場人物は、面白い
シナリオに題材を提供し続ける限り、決して死ぬことはないのである。なんてったってここは、パリのアパートの
壁面に偽の記念プレートが突如として貼られ、その建物の値をつり上げるような国だからね。
月給(よしオーケー、特に月給だ)までが巨大な陰謀と関わりがあるかのように、フランス人の『真の』月給を
『すべての』週刊誌が等しく報道するのだから。
 批判を受けると、フランス人は本能的に『陰謀だ!』と叫ぶ。ロラン・デュマは、自己の潔白を主張しつつ、
『軍―産業界団体』やCIAが彼を陥れようとしたのだとして非難した。二人のジャーナリストがル・モンドに対する
辛辣な調査結果を本にしたとき、ル・モンド幹部はすぐに自紙に対する批判「キャンペーン」であると断じた。
 フランス人は、おとぎ話に夢中になっている子供のように、日々の生活に興奮とスリルを与えてくれる、
陰謀話のような謎が大好きなのだ。事実が明らかになってしまうと、世の中がつまらなくなってしまうと考えて
いるのである。
 バルカン情勢を取材するなかで、こうした陰謀話は、陰謀の内容がどうであるかよりも、その陰謀を企んだ
犯人についてのほうがずっと重要であるとされることがわかった。マケドニア人は、いつでもどこでもギリシア人
の陰謀だと言って騒ぎ、ギリシア人は陰謀を企てたのはトルコ人だと決めつけ、セルビア人はクロアチア人を、
アルバニア人はセルビア人をといったように、「陰謀を図った」相手を非難するのである。ところでフランス人諸君
に対して陰謀を働く隠れた敵とは、一体、誰なんだい?

153 :|・∀・|:2007/08/04(土) 04:09:28 0
 ここで私は、ティエリ・メイサンの衝撃的な本にどうしても触れなければならない。9.11はアメリカ人の自作自演
であり、ペンタゴンに突っ込んだボーイングなどなかったとする『L'Effroyable imposture (恐るべきペテン)』という
本だ。どこにでもこの著者のような変わり者はいるからね、とあなたは反論されるであろうか?そりゃそうだ。
しかし、この本はフランスであまりに売れてしまった。かくして、政治的立場を異にする数多くのフランス人や
全てのメディアが、おそらくこの十年間で最も大掛かりで衝撃的な事件の真犯人を糾弾するのに躍起となり、
公然とあった事実の信用を大胆にも未来永劫失わせたメイサンを讃えた。けれども、こうした騒ぎも、メイサンの
本の販売部数をゴンクール賞受賞作品並みに引き上げただけで終わったようだ。
 メイサンが、一度もアメリカの地を踏むこともなく、インターネットにだけ頼ってこの本を書いたのだと知れば、
唖然とする人も多いかもしれないが、そんなことは重要ではない。彼の誇大妄想的なつくり話が、フランス市場に
見事にマッチした、優れた商品であることが証明されたのだ。すなわちアメリカを信用しないフランスという国の、ね。

― "Sacres Francais! Un Americain nous regarde" P.92-99 - Ted Stanger http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%86%E3%83%83%E3%83%89%E3%83%BB%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%83%B3%E3%82%AC%E3%83%BC


http://academy6.2ch.net/test/read.cgi/whis/1184505550
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