まつなが畑のはたけ日記

農ある生活をするため奈良御所市金剛山の麓に農地を借りスタート
素人農業の何気もない日々の日記

作業小舎改装工事 終了報告

2011年07月25日 23時22分56秒 | Weblog


19日、工事終了し正式に引き受けました。



完成前にこの家は「小さなお話会」でデビューしました。その時すでにこの家の答えを知ったように思えます。




森田さんご夫婦が初めてここに来て下さってから一年が経ちました。
その間の時間を思い返せば色々な事がありました。


奥の電気が点いているところが元々玄関があったところです。北側は今では作業場、出荷場、野菜の一時保管として使います。
右、東側が玄関になりました。
玄関の建具は古建具を探し、作業がしやすいように両扉とも左側へ納め広く開口を取れるようにしてあります。


森田さんにお願いしてから何度も打ち合わせをし、この家のことを知っていきました。
二転三転と要望が変り森田さんには大変ご苦労をお掛けしました。

打ち合わせ段階でも私たちの暮らしは変化し、進んでいきました。

この家の台所にあったタイルの流し台。外の手洗い場に付きました。
そしてキッチンは・・・


大工さんに作業台を作っていただきました。わびすけ と言う塗料を塗れば完成です。
作業台の正面には小窓を設けて、奥は物置、さらにその奥に小窓が設けてあり、開ければ物置を通して外が見えます。明り取りにもなっています。

工事開始予定の時期に震災が起きました。
大工さんがこの家の前に取り掛かっている現場に資材が入らないなどで工事開始が延期。最後の最後まで「遅くなって悪かったなぁ」と言ってくださいました。
その時期に工事することに少し立ち止まって考えましたが止まってはいけません。私たちの農業もです。




引き違いの棚、奥行が広く使いにくかったのを奥へ狭めてもらいました。
キッチン、南側の戸棚の戸を大工さんに古材で作ってもらいました。

天井は付けずむき出しです。
この家を建てた棟梁の名前が出てきました。
この工事の途中、近所のおじさんが「あの家を建てたのはなぁ私の友達で・・・・」と言うお話しを聞く事が出来ました。
昔はその地域に大工がいて、その地域にあったつくりになっていたのでしょう。生活に密接していたことを教えられます。
天井裏の隠れた所に名前を残すのは、その責任と誇りでしょうか。



玄関入ってすぐ上にロフトが付きました。
むき出しの土壁に白熱球が美しく照らします。
息子が脚立を使って喜んで登っています。頼むから落ちないでくれよ・・・。

南側は井戸があり、この水を使っています。キッチンでは井戸と水道両方が出るようになっています。
大きなびわの木はこの家を使って初めてその存在の意味を教えられました。

実家から持ってきた建具です。
昔、風呂のドアに使っていました。タイル張りでの隙間風が入る風呂は寒かったぁ。。
実家は築100年の先祖が作った家で生活スタイルの変化と共に改装して現代風に変化してきました。

この家にあった、まだ奇麗なホウキ。使わせて頂いています。

毎日牛乳もそのまま。



曲がった梁がこの場所を演出してくれます。

板の間から玄関を見ます。脚立はロフトへ。
玄関から出ればすぐ下が私が借りている畑になります。
新規就農にはこれほど条件が揃った家はないでしょう。場所、大きさ・・そして貸してくださる家主さん、地主さん、とても恵まれています。



3.11以降、私達がどれだけ「生きる」ことに日々暮らし仕事をしていないのか。という事に気づかされました。
あらゆる物や資源に頼った暮らしは、いつの間にか「生かされている」ことを忘れ自分たちが日々行なっている愚行にすら気づかなくなってしまう。
そんな恐怖に気づいて、私たちはこの行いの意味を知ったのかもしれません。

全てを無くし出来たこの家は「生きる」という問いかけに共に歩んでくれるに違いない。
そう思っています。



森田建築設計事務所の森田徹さん、大工の亀井さんを始めこの家に関わった全ての方に心からお礼申し上げます。
ありがとうございました。

森田さんのブログで紹介してくださっています。

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小さなお話会 第3回 ~暮らし~ をここで行ないます。
皆さんお気軽にご参加ください。詳細