これ!どう思います?

マスコミがあまり報道しない様な問題を、私なりに考えてみます。

燃料と税金 (その2)

2022-11-19 06:04:34 | 社会問題
【はじめに】
 今回も燃料に掛かる税金について書きます。電気は常識的には『燃料』とは言えませんが、電気自動車と電気アシスト自転車が増えて来ているので燃料の一種と見做すべきです。

 欧米諸国と中国では電気自動車を普及させようとしています。近い将来、ガソリンと軽油の需要が激減するかも知れません。「ドンナ問題が発生しそうか?」考える必要が有りそうです。 原油を『牛肉』だと考えて下さい。ガソリンを『肩ロース』、軽油を『サーロイン』とします。肩ロースとサーロインだけの需要が激減したらどうなるのでしょうか? 次回、この問題について少しだけ考えてみます。

【電気と税金】
 電気に掛かる税金は、消費税の『10%』だけです。 電気が車のエネルギー(燃料)として使用される様になるとは、財務省は考えていなかったのです。財務省は近年、「電気自動車(EV)とプラグインハイブリッド自動車(PHV)が増加してきたので、ガソリンや軽油の様に自動車燃料税を徴収する必要が有る」と考え始めています。

 EVとPHVで使用する電気と、その他の用途で使用する電気を区別して、自動車燃料税に相当する税金を徴収する必要が有ります。区別は難しそうです! 自動車燃料税の税収は『4兆円』以上も有りますから、財務省は、ドンナ手段を使っても手放さないと予想します。

 財務省は、「走行距離計(オドメーター)を調べる方式」を考えている様です。この方式の場合は、ガソリンや軽油の自動車燃料税を廃止して、走行距離でのみ税金を取り立てれば公正になると思います。 最大の問題は、「ドンナニして走行距離計の値を調べるか?」です。車は移動する物です。 

 私の考えたのは、ガソリンと軽油の税金はそのままにして、「EVとPHVの受電部に積算電力計を設けさせて、受電量に応じて税金を徴収する」方式です。 但し、自己申告制にすると不正が蔓延しそうですから、積算電力計を送信機能付きにすれば、車が何処に有っても税務署が走行距離を把握出来ます。

【軽油の税金】
 ディーゼルエンジンを搭載した乗用車、トラック、バスなどに使用される『軽油』はA重油と殆ど同じですが、硫黄分が『50ppm(0.005質量%)』以下と規定されています。 (ガソリンの硫黄分は『10ppm(0.001質量%)』以下、A重油は『0.5質量%』以下と『2質量%』以下の2種類があります。)

 硫黄を含有する燃料が燃焼すると、硫黄酸化物(SOx)が発生し、ぜん息や酸性雨の原因になります。その為、日本を含め欧米諸国では、脱硫して硫黄分を少なくする様に規制しているのです。

 農林業で使用する軽油、内航運送や、遊覧船を除いた一般旅客定期航路に使用する軽油と重油には石油石炭税は免除されています。

軽油の販売価格=(本体価格✛軽油取引税✛石油石炭税✛環境税)✕消費税
❶ 軽油取引税 :32.1円/リットル
❷ 石油石炭税 :2.8円/リットル
❸ 地球温暖化対策のための税(環境税):0.25円/リットル
❹ 消費税 :10%

(注記 :燃料に関する関税と石油税)
 昔は原油や天然ガスに関税が掛かっていましたが、現在は廃止されています。
 『石油税』と言う税金が有りましたが、2003年に『石油石炭税』に変わりました。2012年から、『地球温暖化対策のための税(環境税)』が導入され、石油石炭税に加算される形で徴収されています。

《豆知識 :軽油の国際価格》
 日本では昔から、軽油の方がガソリンより安価の為に乗用車にディーゼル車が少し採用されて来ました。 然し、欧米諸国では価格差が少ないか、イギリスとアメリカでは逆にガソリンの方が安価です。その為に、欧米諸国ではディーゼルエンジンの乗用車が普及していないのです。

【プロパンガスの税金】
 プロパンガスは家庭で燃料として使用されますが、ガソリンエンジンとディーゼルエンジンを少し改造するとプロパンガスが使用出来ます。改造は違法では有りませんが、LPGガス・スタンドは全国に少ししか有りません。『LPGガス スタンドマップ』参照! 最初からプロパンガス車(LPG車)として製造された車も有ります。

 LPG車用として販売されるプロパンガスには石油ガス税が掛かりますが、ガソリンに掛かる税金よりも大幅に安い→→プロパンガスの販売価格が安い。その為にタクシーの多くはLPG車に改造された物を使用しているのです。

 前回、書いた様にガソリンの場合は❶ガソリン税(53.8円/リットル)、❷石油石炭税(2.8 円/リットル)、❸環境税(0.25円/リットル)が掛かり、更に消費税が掛かります。従って、税金の合計は『62.535円/リットル』になります。

 自動車用プロパンガスの税金の合計は『11.264円/リットル』にしかなりません。 ガソリンの方が『51.271円/リットル』も高いのです!

(私の邪推) 財務省は「自動車用プロパンガスからモット沢山税金を取り立てたい」と考えていると想像しますが、プロパンガスはクリ-ンエネルギーで、タクシーは人口の多いい所を走り回ります。都市部の衛生環境を悪化させない為に、「税金を安くして、タクシーにプロパンガスを使ってもらうべき」と言う考え方に、財務省は逆らえないのだと思います。

自動車用プロパンガスの販売価格=(本体価格✛石油ガス税✛環境税)✕消費税
家庭用プロパンガスの販売価格  =(本体価格✛環境税)✕消費税

❶ 石油ガス税 :17.50 円/kg(9.80 円/リットル) ・・・自動車用のみ
❷ 地球温暖化対策のための税(環境税):0.78円/kg(0.44 円/リットル)
❸ 消費税 :10%

【灯油の税金】
 私の故郷(田辺市龍神)で民家に電気が供給される様になったのは、1955年頃でした。それまでの照明は『石油ランプ』でした。石油ランプの燃料は『灯油(とうゆ=ともしびあぶら)』です。『ケロシン』とも呼ばれる事も有ります。 現在、灯油は石油ストーブなどの燃料として使用されています。ジェット機に使用されるジェット燃料は灯油と殆ど同じです。

灯油の販売価格=(本体価格✛石油石炭税✛環境税)✕消費税
❶ 石油石炭税 :2.8円/リットル
❷ 温暖化対策税 :0.76円/リットル・・・2012年から導入
❸ 消費税 :10%

【航空機用燃料の税金】
 航空機の燃料には『航空ガソリン』と『ジェット燃料』が有ります。 航空ガソリンは(自動車用)ガソリンと同じで、ジェット燃料(航空タービン燃料油)は灯油と同じと考えて良いです。

 航空機燃料税は非常にヤヤコシイです。 公共団体が使用する航空機には、航空機燃料税は掛かりません。 沖縄路線と特定離島路線の航空機の場合は、航空機燃料税を特別に安くしています。 以下に示す税額は、一般路線に適用される値です。

 航空機に給油する時、航空機燃料税の他にガソリンと灯油にとして販売する時に掛かる税金を含んだ金額が請求されます。然し、航空機に使用したと申請すると、ガソリンと灯油としての税金は返して貰える事になっています。

航空機用燃料の販売価格=(本体価格✛航空機燃料税)✕消費税
❶ 消費税 :10%
❷ 航空機燃料税 ・・・多分、海外からの観光客を呼び込む為だと思いますが、近年は減税されています。
★ 法律に規定された税金 :25円/リットル ・・・航空機燃料税法11条
★ 特例の税金 :18円/リットル ・・・2011年4月~21年3月
★ 特例の税金 : 9円/リットル ・・・2021年4月~22年3月
★ 特例の税金 :13円/リットル ・・・2022年4月~23年3月

【農業用などの重油に掛かる税金】
 農業、漁業、林業で使用する重油には、大昔から無税になっています。これを、『無税重油制度』と呼んでいます。 但し、消費税は掛かると思います。

【重油の税金】
 重油に掛かる税金には種々の特例が有る様なので、私には分かりません。ギブアップです! 特例が認められないケースでは➊~❸の税金が掛かると思われます。

❶ 石油石炭税 :2.8円/リットル
❷ 地球温暖化対策のための税(環境税):0.25円/リットル
❸ 消費税 :10%

【重油の種類】
 重油には大別するとA、B、Cの3種類有り、「重い油」と書きますが水よりも軽い液体です。 重油は英語では『fuel oil』が一般的です。

 JIS規格(K2205)では、A重油を『重油1種』、B重油を『重油2種』、C重油を『重油3種』と呼んでおり、A重油には硫黄分(サルファー)が(質量)0.5%以下の『1号』、2%以下の『2号』の2種類が有ります。B重油は硫黄分が3%以下で、C重油は3.5%以下と規定されています。C重油は『ねばり(動粘度)』によって3種類(1号~3号)に分類されます。

 B重油とC重油は商船で使用されます。商船の大気汚染物質『①硫黄酸化物(SOx)、②微粒子物質(PM)、③窒素酸化物(NOx) 』を規制する『MARPOL条約付属書VI』と言うのが有ります。規制海域(ESA)では、硫黄分が『0.1質量%』以下の燃料しか使用出来ません。

 更に、国際海事機関(IMO)が硫黄分『0.5質量%』以下を要求しているので、JIS規格(K2205)に規定されているB重油とC重油は商船に使用出来なくなっています。脱硫装置で硫黄分を除去したり、軽油を混合して硫黄含有率を小さくしています。

❶ A重油の用途 :ガスタービン、小~中型ディーゼルエンジン(農耕機、中小漁船、発電機)、都市部のボイラーの燃料等々として使用されます。
❷ B重油の用途 :大型ディーゼルエンジンや大規模ボイラーの燃料等々として使用されます。
❸ C重油 :用途はB重油と同じです。

《豆知識 :質量パーセント濃度》
 Eと言う物質とFと言う物質を混合した液体が有ったとします。Eのグラム数(質量)が『e』、Fのグラム数(質量)が『f』だとすると、物質Eの質量パーセント濃度は次式で求められます。

 物質Eの質量パーセント濃度=e✕100/(e+f)

 なお、質量パーセント濃度(質量%)を『%m/m』と表記しているケースが時々あります。

(余談 :軽トラと悪知恵) 軽トラのエンジンはガソリンエンジンですが、トラクターやコンバイン等はディーゼルエンジンです。ガソリンエンジンは軽量ですが効率が悪く、ディーゼルエンジンは重たいですが高効率です。 排気量の規制(660 cc以下)が有るので、軽自動車にはガソリンエンジンを採用していますが、現在の技術ではディーゼルエンジンの軽トラを作る事は可能ではと私は考えます。ディーゼルエンジンを搭載した軽トラを開発したら、農家はトラクター用に買ったA重油を軽トラにも使用すると想像します。(違法です!)

《豆知識 :A重油の販売店》
 軽油とA重油はほぼ同じ物です。ディーゼル車でA重油を使用する事は可能ですが、違法です。 その為に、A重油はガソリンスタンドでは取り扱っていないのだと思います。然し、今でも違法行為は絶えない様です。

 A重油には、軽油と区別出来る様に『クマリン』を混入する事が義務付けられています。(ブラックライトを当てると、蛍光するのがA重油です。)

 A重油は、JA(農協)や漁協の窓口、工業用潤滑油を取り扱うガソリンスタンドで入手出来ます。

(余談) 大昔、ガスタービン発電装置の設計を担当していた頃、工場内試運転用にA重油をドラム缶で沢山買っていました。車通勤の社員が多く、ディーゼル車に乗っている方が結構沢山いました。 彼らは私に無断で、抜き取るのです。 その中に知り合いの社員が数名いたので、私は目をつぶりましたが、年間にドラム缶が何本も空になってしまいました。






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