これ!どう思います?

マスコミがあまり報道しない様な問題を、私なりに考えてみます。

盆栽は誰のものか?

2018-06-29 17:40:37 | 園芸
 今回は、明光商会の創業者の故高木禮二さんに教えて頂いき、私の座右の銘にしてきた事を書きます。 (私のプログでは実名を使用しない事を原則としていますが、今回は敢えて禁を破る事にしました。)

 昔、明光商会は市ヶ谷にありました。田舎者の私は市ヶ谷を全く知らなかったので、最初に明光商会を訪問した時、一時間ほど早く着いてしまいました。(玄関に石像の有るビルと聞いていたので、迷わなかったのです。)
 受付の女性に「早く着きすぎたのでロビーで休ませて下さい」とお願いすると「盆栽を展示していますので、如何ですか?」と案内してくれました。

 それまでに見た盆栽とは全く異質な、芸術の域にあると言っても過言でない盆栽が展示されていました。木は人間とは逆で、歳月を重ねると堂々とした風格と威厳が出て来ます。
 樹齢800年と書いた札の付いた盆栽もありました。鎌倉時代から延々と受け継がれてきたわけです、毎日毎日、誰かが水をやり、手入れをして、病気を乗り越え今日まで生きて来たのか!

 その後は明光商会で打ち合わせがある時は、必ず1時間以上早くいって、盆栽を鑑賞しました。ある時、木の無い鉢が一つ展示されていました。見事な絵が描かれていて、見とれていると、後ろから「見事なものですね、国宝級だと思いますが、鉢には穴が開いているからか? 国宝にはならないのだと思います」と声を掛けられました。
 商談が進んで、社長を紹介して頂いたら、先日・鉢の説明をして頂いた方でした。

 「盆栽は育てられる人に引き継ぐ物で、後継者が育てられそうに無い時は、死ぬ前に育てられる人に譲るものです。」と最初にお会いした時に教えて頂きました。
 高木さんは盆栽だけでなく、会社も譲って亡くなられた様です。 オーナー社長がボンクラ息子に会社を継がせて、死んだ後も社員を苦しめる例が多いいですが!

 私は技術屋でしたが、仕事をするだけでなく、知識と経験を若い人に伝える事に時間と労力を掛けるべきだと考える様になりました。

 ある大手企業(A社)の開発をボランティアで手伝った時、お礼に盆栽を上げたいと言われ、案内されました。素晴らしい盆栽が木製の棚に二十数鉢置かれていました。高木さんの教えを思い出し、ちゃんと育てる自信が無かったので辞退しました。

 A社が吸収したB社のオーナー社長が持っておられた盆栽だった。B社が倒産した時、オーナー社長の家屋敷、骨董品等々すべて没収されたそうです。オーナー邸の庭に立派な盆栽が有った事を思い出した重役が、社員二人に見に行かせ、持ち帰らせたものでした。その後、その二人の社員が手入れしてきたのですが、二人とも定年が近づき困っていたのです。(簿外資産ですから処分が難しい!)

 高木さんが長い年月を掛けて収集された盆栽の一部は『さいたま市・大宮盆栽美術館』で見られます。盆栽に興味の無い方でも、一度是非とも見に行って下さい。考え方が変わると思いますよ!


余談(1) :高木禮二さんの恰幅の良い姿は舛田利雄監督の映画「大日本帝国」で見られます。

余談(2) :私が明光商会に行っていた頃、隣に新社屋を建設していました。ほぼ完成した新社長室を見せて頂いたのですが、床と壁に素晴らしい紋様の入った大理石が埋め込まれていました。もう一度是非見てみたいものです!


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