これ!どう思います?

マスコミがあまり報道しない様な問題を、私なりに考えてみます。

官僚について (その5)

2022-02-12 12:46:20 | 社会問題
【はじめに】
 今回と次回は、国民の目から見た『官僚の問題点』の続編です。 今回は特に、行政を行うベースになっている、法律や政令が多種多様の分野に跨っていて、数が多いい為に政治家が勉強する必要が有り、官僚の協力が不可欠だと言う事についても書きました。

【行政を行う規定は極めて多いい!】
 国は国会が決めた法律で国を治め、地方公共団体は法律と議会が決めた条令で、その地域を治めます。 然し、法律や条例で細部まで規定するのは難しく、また予想していなかった状況が発生したりするので、各省庁が、『技術基準』、『省令』等々を出しています。(これ等は、国会の承認は不要です。)

 他国と条約を結ぶ権限は内閣に有りますが、事前または事後に国会の承認が必要です。日本国憲法に反する条約は認められませんが、条約は法律に優先します。 法律と矛盾した条約を締結したら、法律を改正する必要が有ります。 

 国家間の合意文書のタイトルには、「協約」、「協定」、「規約」、「憲章」、「宣言」、「交換公文」、「議事録」、「議定書」、「覚書」、「取り決め」などが有りますが、『条約』と同じ扱いです。 ご存じの『国連憲章』も条約の一つです。

 法律や政令などは数も多く、工学、薬学、医学、農林学などの知識が必要な物も有り、政治家が手分けして勉強してもマスターする事は不可能です。従って、政治を行う為には官僚達の協力が不可欠なのです。 21世紀になって中国の台頭と覇権政策、米中貿易戦争等々の問題があり、一方では半導体分野、通信分野でのすさまじい開発競争が進行中です。日本は官民が一体になって取り組む必要が有ります。

 竹中平蔵氏は規制緩和を叫んでいますが、政治家達は官僚の協力を得て、「どの法律」の「どの箇所」を「どう改正」すべきか?具体的に検討する必要が有ります。「良きに計らえ!」のスタンスの政治家達や、スキャンダルの追及が専門の政治家には退場して貰う必要が有ります。 現在は、勉強する政治家が必要なのです。

(豆知識) 法律の名称が『規則』となっているのが3点有ります。通常・法律の制定/改正には両院の承認が必要ですが、『衆議院規則』は衆議院だけの採決で、『参議院規則』は参議院の採決で改正が出来ます。他に『最高裁判所規則』が有ります。

・・・ 国を統治する為の法令など ・・・
❶ 日本国憲法 :改正には国民の承認(投票)が必要です。
❷ 法律 :制定や改正には国会の承認が必要です。
❸ 国家間の条約等 :事前又は事後の国会承認が必要です。
★ 技術基準
★ 勅令 :天皇が直接出す命令や政令の事 ;『予算決算及び会計令』と『外国人登録令』は現行です。
★ 省令 :大臣名で出す命令
★ 告示 :『食品、添加物等の規格基準』など
★ 指針
★ 公共建築工事標準単価積算基準(物価基準)
★ 質疑応答集 :補足として説明しています。
★ 通達 :上級の機関が関係する下級機関に対して発行する命令書
★ 通知 :上級の機関が下級機関に対して事実、処分、意思を伝える文書。国の機関が地方公共団体に出す伝達文書も『通知』と呼びます。
★ 行政指導
★ 条例 :都道府県や市町村の議会が制定する。
★ 地方公共団体の規則 :地方公共団体の首長(くびちょう)が制定する成文法
◎ 規格 :日本産業規格(JIS)/ISOとIEC、日本農林規格(JAS)

(余談 :法令の数) ウイキペディアによると法律は2,280件も有る様です。その他に政令などが7,000点も有ります。
★ 憲法 :1
★ 法律 :2,280
★ 太政官布告・達 :9
★ 勅令 :157
★ 政令 :3,016
★ 府令・省令 :4,125
★ 閣令 :13
★ 規則 :393

(補足 :質疑応答集) 法律や、それに関連する基準などに関する質問を所轄の省庁に出す事が出来、省庁から回答書が送付されます。 過去に各社に出した回答書を外郭団体などが本に纏めて出版されるのが『質疑応答集』で、アマゾン等から入手出来ます。

 省庁に質問書を提出する事は可能ですが、法律や政令等に反しない内容で有れば回答が得られます。最近、慈恵病院(赤ちゃんポスト)が熊本市に内密出産について相談し→→熊本市から厚労省と法務省に出された『内密出産(親の氏名を匿名にした出産)』に対する回答は、「法例に抵触する可能性を否定することは困難」と言う内容でした。 換言すると、「違法と思われるが、違法か?否か?は裁判所が決めることだ!」と言う意味です。

 ドイツは内密出産を認めています。 日本では出産届けに親の氏名を書く事が要求されている為に、慈恵病院で出産した子供の出産届の「親の氏名欄」を空白にして、慈恵病院が提出したら、「違法だ!」と言うのが政府見解だと思います。ソクラテスでは無いですが、「悪法も法なり」なんです! 現在の法律に従うという意味では、政府見解は正しいと私は考えます。 「法律に違反する××をやってもいいですか?」と質問したら、前述の様な回答になります。

 『捨て子』のケースでは、発見者か警察が『棄児発見調書』を作成し→→市町村に届けると→→戸籍が作成されます。 慈恵病院の敷地内に捨てられた子供のケースでは、慈恵病院が棄児発見調書を提出する事は違法では有りません。 『捨て子』はどこの国でも有ります。コインロッカー、道端、他人の玄関先・・・等に放置される赤ちゃんは可哀そうですから、日本でも国会で内密出産について議論して欲しいです!

(補足 :規格) 御存じの『JIS』は経済産業省が所轄する『産業標準化法』に従った一種の政令です。JISの改定などは、日本産業標準調査会(JISC)が行っています。その他の規格も同様です。 30年ほど前に、JISの計算式が間違っていたので、JISの事務局に指摘したら、某国立大学の教授から懇切丁寧な手紙を頂き、「私の主張が正しい」と認めて頂いた事が有ります。然し、JISは修正されませんでした。現在・JISは、殆どISOの翻訳書の様になっているので、私が指摘した計算式は削除されていると思います。

【官僚の問題 :内密の相談】
 民間企業は、競合他社には秘密の事で、国の意向を聞きたいケースが有ります。 大手民間企業では、キャリア官僚担当部署(C室)を設けている所も有ります。C室の担当者は、人事移動が無く、定年までC室の所属が一般的の様です。

 C室の担当者の仕事は、❶夜・各省庁のキャリア官僚と高額で無い店で、飲み食いして親交を温め、❷法律や公序良俗に反しない件についての国の意向/考えを聞き出す事です。 (後ろ暗い事は、一般にはやりません。) 菅元総理の息子さんが、「総務省の官僚を接待した」と2021年に報じられましたが、この手の接待の席では、企業は法律に反する様な依頼はしません。 「東北新社には、ちゃんとしたキャリア官僚担当部署が無かったので、菅氏の息子さんを雇って総務省とのパイプを設けようとしただけっだのでは?」と私は思いました。

 法律や公序良俗に反する事を各省庁に依頼するのは、族議員経由です。 「日本は談合天国だ!」と言った方がいましたが、今でも、族議員ルートは健在では?と想像しています。

 国や地方公共団体と民間企業間で、情報や意見を交換する事は国や地方公共団体の運営で役に立つと私は考えています。 話の内容は、外部に漏れない様にする必要が有ります。 キャリア官僚は口が堅いですが、民間企業には吹聴してまわる輩がいます。C室には口の堅い社員を抜擢して、時々飲み食いしてお互いが信頼できる事を確認する必要が有るのです。

(余談 :ポーラス舗装) 1995年頃に私の所属していた開発チームと大手商社で、透水性舗装の一種の『ポーラス舗装』設備を開発しようとしていました。 既にヨーロッパでは、ポーラス舗装が採用され初めていました。現在・日本でも、高速道路や車の多く通る道路では、ポーラス舗装されています。

 ポーラス舗装には欠点も有りますが、種々の利点が有ります。①路面に水が溜まり難い、②滑り難い、③蓄熱性が低いのでヒートアイランド現象を緩和する、④騒音を小さくする。 技術や利点の詳細は、ウイキペディア『透水性舗装』で検索して見て下さい。

 大手商社が運輸省(現在の国土交通省)に考えを聞きに行ったところ、「開発を中断して欲しい!」と言われたそうです。当時、高速道路などで騒音問題が多数発生していました。「騒音が3~5デシベル(dB)程も低下するので、ポーラス舗装の効果が知られたら、全国一斉に施工する必要があるが、莫大な金を一度には用意出来ない。他の騒音対策も含めて、少しずつ工事したい」と言うのが国の考えだった様です。 (結局、私たちの開発は終わってしまいました。)

【官僚の問題 :官僚主義】
 民間企業では「官僚主義から脱却して会社を活性化しよう!」と努力しています。企業にとっては官僚主義は『悪玉菌』の様な物です。 然し、官僚主義の定義は非常に曖昧です。

 国民にとっての官僚主義の問題は、「上司の指示が法律や公序良俗に違反していても従う事だ」と思います。 上司から「公文書を改竄しろ!」、「公文書を破棄しろ!」・・・と言われたら従ってしまう体質を何とかする必要が有ります。

 日本が、「何故?こんな状態になったのか」、「何故?こんな状態を長く放置してきたのか」・・・根本的な原因は政権交代が非常に少なかった為だと思います。 アメリカや韓国の様に政権交代が当たり前の国では、時の政権を忖度して、法律や公序良俗に反する指示を出したら、次の政権の支持者が暴露して罰せられる事になります。

 官僚主義のもう一つの重大な問題は、組織間が縦に連なる事です。 社会が複雑になっているので、一つの問題を解決する為に、複数の省庁が協力し合う必要が有るケースが発生します。省庁間の縄張り意識が、問題への対応を遅らせたりするのです。

事例❶ :コロナのワクチン接種 ;厚生労働省だけでワクチン接種を進めていたら、トンデモナイ事になっていたでしょう! 外務省がアメリカ政府にワクチンの入手協力を依頼して、国土交通省がワクチンの輸送に協力する様に民間企業に働き掛け、防衛省が集団接種会場を設営し/軍医等を派遣しました。 他にも協力した省庁が有ったと思います。 政府は、「各省庁が本当に協力し合ってコロナ対策を進めてくれるか?」と疑ったので、コロナ対策大臣を設けたのでは?と私は思いました。

事例❷ :情報機関 ;世界の有名な情報機関には、CIA、MI6、Mossad(イスラエル)、GRU(ロシア)、MSS(中国)、NIS(韓国)等が有ります。最近注目されているのは、オランダのAIVDです。

 日本にも情報機関は有ります。最大の組織は内閣情報調査室(内調)ですが、公表されている要員数は『170名』しかおらず、要員の60%は各省庁からの出向者です。ほかの組織は、もっと少人数です。 そして、スパイ防止法が無いので、他国の情報機関から情報が貰えません。

 「国力に見合った情報機関を持つべきである!」と多くのコメンテーターが発言しています。実現しないのは、野党が反対している為では無く、省庁が縄張り根性で反対しているのが原因の様です。

 日本人が沢山海外で活躍していますから、各国に情報機関の要員を派遣して「日本人に危害が及ぶ可能性が無いか?」現地の情報を集める必要が有ります。 テロリストが日本に来て、破壊活動をしようと企てているとします。ちゃんとした情報機関を持てば、入国前に現地からの情報が入るか、他国の情報機関が教えてくれる可能性が有ります。

 私は少なくとも、青年海外協力隊(JOCV)を派遣している国には情報員を駐在させて、隊員の生命を守る義務が国家に有ると考えています。