08/01 ピアノ曲集 『四季』 から 8月 『刈り入れ』
~ チ(ャ)ィコーフスキィ
(1840/5/7~1893/11/6、ユリウス暦 4/25~10/25)
これまでの 『その他の音楽記事』
1885年に出版された曲集、12の風物描写 『四季』 から、
引き続きご紹介します。
各曲には次のような題名が付けられています。
1月 『炉端にて』 2月 『謝肉祭』 3月 『ひばりの歌』
4月 『松雪草』 5月 『五月の夜 (白夜)』 6月 『舟歌』
7月 『草刈り人の歌』 8月 『刈り入れ』 9月 『狩りの歌』
10月 『秋の歌』 11月 『トロイカ』 12月 『クリスマス』
一般には7月が『刈り入れの歌』と訳されていますが、これ
は原語では「草を刈る人の歌」です。
『刈り入れ (収穫)』は、正確には8月になります。 また、
"歌" という文字はここには記されていません。
曲の基となる詩を作ったカリツォーフ (コリツォフ、1809年10月
~1842年11月) は、ロシア西部のヴァローネシ (ヴォロネジ) に
生まれ、同地で亡くなった詩人です。
父は家畜商人で、息子のアレクセィはその家業に駆り出され、
幼少期の二年間しか、学校には行かせてもらえませんでした。
そんな中で父の目に触れぬよう、ひそかに詩作を始めました。
しかし父親は大変口うるさく、絶えず彼の創作活動を妨害し、
私生活にまで大きく干渉しました。 息子は抑うつ状態になり、
一年間結核を患ったすえ、33歳という若さで亡くなりました。
彼の才能を認め、作品の出版に力を貸すなどしてくれた詩人
には、ジュコーフスキィ、プーシキンらがいます。 またその詩
に基づく作品としては、バラーキレフ、ダルゴムィーシスキィ、
リームスキィ=コールサコフ、ラフマーニノフの歌曲が残され
ています。
カリツォーフは熱心に民謡を収集し、そこから大きな影響を
受け、農民の素朴な労働や日常生活を讃えました。 特に
女性の口を借りて歌う内容の作品を、数多く残しています。
ちなみに作曲者チ(ャ)ィコーフスキィは、広範な知識を持つ
読書家としても有名です。 7月『草刈り人の歌』、および8月
『刈り入れ』の素材として、この詩人の作品が選ばれたのは、
充分うなずけることです。
その膨大な蔵書には、多方面に亘る母国人の書籍のほか、
西欧の文学作品も数多く含まれていました。 この曲集『四季』
でも、各曲の題名はフランス語で記されています。
参考サイト
[PTNA ]より 『四季』について
音 源
6月 『舟歌』 7月 『草刈り人の歌』 8月 『刈り入れ』
[Konstantin IGUMNOV -
Tchaikovsky The Seasons (3/5)]
7月 『草刈り人の歌』 8月 『刈り入れ』 9月 『狩りの歌』
[Pletnev plays Tchaikovsky The Seasons (4/6)]
8月 『刈り入れ』
[VICTOR MERZHANOV]
[Dang Thai Son plays the harvest]
[Ghena Plays: Tchaikovsky: Seasons: August: Harvest]
[Lan Phien, 12 Years old]
[Arturo Del Bo]
[MaryRuth72]
[Vladimir Ashkenazy]
[PAVEL EGOROV]