MARU にひかれて ~ ある Violin 弾きの雑感

“まる” は、思い出をたくさん残してくれた駄犬の名です。

10月 『秋の歌』

2009-10-01 01:15:29 | その他の音楽記事

10/01  ピアノ曲集四季』 から 10月秋の歌

           ~ チ(ャ)ィコーフスキィ

      (1840/5/7~1893/11/6、ユリウス暦 4/25~10/25)




          これまでの 『その他の音楽記事』



 
 1885年に出版された曲集、12の風物描写四季』 から、

引き続きご紹介します。




 各曲には次のような題名が付けられています。

 1月 『炉端にて』    2月 『謝肉祭』    3月 『ひばりの歌』 

 4月 『松雪草』    5月 『五月の夜 (白夜)』   6月 『舟歌』

 7月 『草刈り人の歌』  8月 『刈り入れ』  9月 『狩りの歌』

10月 『秋の歌』    11月 『トロイカ』    12月 『クリスマス』




   参考サイト

     [PTNA ]より 『四季』について




   参考・音源サイト

     [Piano & Electone's World]より[10月 秋の歌




 この曲集の中で、もっとも「有名なものは何か」と訊かれたら、
6月『舟歌』、11月『トロイカ』と並んで、この10月『秋の歌』を外す
ことは出来ないでしょう。 私たちが秋に感じる憂いと、どこかで
通じるところがあります。



 ロシアの人たちが春を好むのは当然ですが、その春と
「同じぐらい秋が好きだ」と、作曲者は言ったそうです。

 残された手紙には、「空気が枯葉の薫りで一杯」、「田舎の
秋の色合いは他に見られないものだ」、「田舎の秋の静寂、
その魅力」…など、心から秋を愛する言葉が散りばめられて
います。 彼は朝の散歩が大好きでした。



 楽譜の冒頭には、"Andante doloroso e molto cantabile"
(ゆったり悲しく、歌うことこの上なく) と書かれています。




 多忙な(ャ)ィコーフスキィが楽しみにしていたのが、夏を
カメンカ村で過ごす習慣でした。 妹アレクサンドラが、ここの
ダヴィドフ家に嫁いでいたのです。 カメンカは、ウクライナ
のほぼ中央部に位置しています。

 先の手紙はここで書かれているので、束の間の避暑生活
をいとおしむ心持ちも、多少は込められているのでしょうか。
この『10月』は、1876年のちょうど秋を迎える頃に書かれた
ものと考えられます。



 このカメンカ村と関係のある作品が、数多く見られます。

 当地の人形職人が歌っていた民謡を基にして出来たのが、
アンダンテ・カンタービレ』です。 弦楽四重奏曲第1番
ニ長調 (Op.11、1871年) は、この第Ⅱ楽章があまりにも
有名になってしまいました。

 また弦楽セレナーデ ハ長調 (Op.48、1880年) は、ここ
の滞在中に一気に書き上げられたと言われています。

       関連記事 『ピョートル君の青りんご



 また先ほどの[カメンカ]のウェブサイトには、『四季』、ピアノ
協奏曲第2番、歌劇の『エヴゲーニ・オネーギン』、『可愛い靴』、
『マゼッパ』、『オルレアンの少女』、バレエ『白鳥の湖』がここで
"手がけられた" との記述もあります。



    現カメンカ市の画像

 [ダヴィドフ邸内の史跡公園

 [処刑された5名のデカブリストの像  

 [デカブリストの洞窟

 [プーシキン像  

 [プーシキンの洞窟

 [プーシキン(ャ)ィコーフスキィ記念館

 [市庁舎




 なおこの『四季』は、12月『クリスマス』に始まり、11月『トロイカ』
まで順に作られ、のちにまとめて出版されています。 




   音源サイト




 9月 『狩りの歌』 10月『秋の歌』

  [Konstantin Igumnov

  [Denis Matsuev







10月『秋の歌』

  [ABRSM

  [Alexander Sokolov

  [Alexei Sultanov

  [applefilms

  [BORIS FEINER

  [buchererpianos

  [Charlie Liu

  [Christina

  [Cubus

  [Damira Feldman

  [DATCAO

  [Dmytro Sukhovienko

  [Ghenady Meirson

  [James Kwong

  [Kandagarec81

  [Kelly zhang

  [Lev Oborin

  [Lorenzo TURCHI-FLORIS

  [Maria Metreveli

  [Mark Farago

  [MaryRuth72

  [Mikhail Pletnev, live in London, June 10th 2006

  [moerbstar

  [Nuno Gabriel

  [Oleg Maisenberg

  [thesilentgate

  [starhealer24

  [Thuc Nghi

  [VICTOR GOLDBERG

  [Vladimir Ashkenazy

  [wifi888



  [Duo "Russian Classic"

  [Sandro Sidamonidze, Cello.
   Tsotne Tsotskhalashvili, piano


  [弦楽合奏用の編曲版、画像はモスクワの修道院




 10月『秋の歌』 11月 『トロイカ』


  [Rolf-Peter Wille