マリヤンカ mariyanka

日常のつれづれ、身の回りの自然や風景写真。音楽や映画や読書日記。手づくり作品の展示など。

宇宙飛行士「秋山豊寛」の本

2012-02-18 | book
『来世は野の花に』 鍬と宇宙船Ⅱ   六曜社  2011,12

1955年TBSの社員だった秋山さんは、日本人として初めて宇宙へ行きました。
7日間と21時間54分の旅でした。
また世界で初めて宇宙へ行ったジャーナリストでした。
その後宇宙に飛んだ毛利さんと比べて帰還後の生き方に随分違いがあります。
アメリカのスペースシャトルではなく、ソ連のソユーズで宇宙へ行ったということが大きいのかもしれません。またマスコミの受け止め方などもそのせいで全然違いました。
(今では、宇宙ステーションの往復はロシアのロケットに頼るしか方法がないのですが。)
何より本人が宇宙へ行って出世とか権力とかお金の空しさをつくづく感じたことが大きいのではないかと思います。
秋山さんはその後退職して福島県の阿武隈山中で有機農業に従事しながら、執筆活動をしていました。
しかし、去年の原発の事故で心血注いで大切にしてきた農地や家を放射能に汚染されたのです。
友人を頼って群馬に避難し、農業の手伝いをしながら暮らしていたそうですが、
今年京都造形大の教授に迎えられることになり京都に移転する予定だそうです。

この本はやさしい文章で秋山さんの人柄が身近に感じられます。
お百姓をしながらつれづれに身の回りの自然や農業について考えたことを書いています。
まえがきに、事故以来、途方にくれながらも絶望しなかったのは東電と国に対する激しい怒りと憎しみだった、と書いています。
「あいつらに一矢むくいずして倒れることは出来ない。」という感情は生活の基盤を奪われた難民の共通の感情かも知れない、と書き、
世界中の難民や、核実験のモルモットにされたビキニ環礁の人々やそしてヒロシマナガサキの人々感情につながる思いがつづられています。

黒田征太郎のカット(表紙も)がとても良くて本の印象を深くしています。

同著者の『原発難民日記』(岩波ブックレット)も出ているようなのでこれから読もうと思っています。
  
  
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