うめと愉快な仲間達

うめから始まった、我が家の猫模様。
犬好きな私は、チワワの夢を見ながら、
今日も癖が強めの猫達に振り回される。

かずこさん、湿疹で初めての皮膚科へゆく

2021年09月09日 | カズコさんの事

昨日の午前は、

かずこさんと、また新しい場所へ行った。

 

おはようございます。

最近、私は今まで行ったことのない場所へ、よく行く。

母を助手席に乗せて、あっちかこっちかと

キョロキョロしながら、ハンドルを握る。

 

考えてみれば、私は脳卒中をやって以来、

行ったことのない場所へは行けなくなっていた。

自分の脳みそが、まったくもって信じられなくなったからだ。

いつか、また脳みそが爆発するのじゃないか、

爆発して、帰り道どころか自分のことさえ分からなくなるような、

そんな嫌な予感がして、それはとても怖くて考えたくなくて、

だから知らない道を、自分を信じて進むということが、

酷く無謀に感じるようになっていた。

 

けれど、そんなことは言ってられない。

かずこさんの透き通るような白い脛が、真っ赤になっているじゃないか。

さらに詳しく知るために、老眼鏡を掛けて見たら、

血豆みたいな赤いブツブツが、無数に表れた。

「かゆい?」

「痒もないし、痛もない。」

かずこは、そう言いながら、掻いている。

痒いんじゃないか。

「皮膚科、行こう」

さて、皮膚科ってどこにあるだろうか?

「皮膚科って、なんや?切ったり貼ったりされるんか?」

「されん、されん。クリーム塗ってくれる所だよ。」

かずこは、脳みそが爆発することを怖れる私なんかより、

はるかに、知らない場所への恐怖心を持っている。

ボケる前から、ずっと長い間、そうやって生きて来た人だ。

知らない場所を極端に好まない、まるで猫みたいな人間だ。

少々の体の不調は、隠して我慢してやる過ごす。

本当に、猫みたいだ。

けれど最近は、認知症が進んだおかげで、隠すことが下手になって、

父や私に病気がバレちゃうという訳だ。

 

それを踏まえて、私はグーグルマップで皮膚科を調べた。

雑な扱いをされず、極めて和やかな雰囲気で、医師は優しい感じが好ましい。

かずこさんが怖がらないような皮膚科。

私は、画面に出てくる複数の候補に対して、

持ってもいない第六感を研ぎ澄まし、

画面を睨みつけ、そして、最終的には、

適当に「これだ!」と選び抜いた。

 

そうして、私は手に汗を握りながら、

しかし、勘のいいかずこさんに、余裕のよっちゃんな表情で、

「さてと、行こうかね。母さん?」

と軽く声を掛け、かずこさんのお出かけのためのお洒落と、

心の準備そして覚悟、決心を待っていた。

「かずこさん、入れ歯も入れんとかんよ~」と、

私は私で、自分の不安をかき消す様に叫んでみた。

 

たかが、病院へいく。

ただ、それだけの話だ。

かずこさんも行ったことのない病院へ運ぶというだけのことで、

私とかずこさんは、それぞれド緊張しながら、カチンコチンになりながらも、

互いに、それを気付かれないように冗談を言いながら出かけるのだ。

まるで、幼子のはじめてのおつかいだ。

毎度なんだから、呆れちゃう母娘だ。

 

でも少なくとも私にとっては、刺激的で楽しい、ある種の成功経験だ。

かずこさんは、どう思っているのだろう。

この、ささやかな刺激的な成功体験を、楽しんでくれていればいいいなぁ。

 

さて、我が家にも、刺激的な光景だ。

なんか、刺激的じゃない?

なんでだろ?

 

うんこ「かずこさんは、大丈夫だったの、母さん?」

うん、乾燥で敏感になったせいでの湿疹だってさ。

塗り薬で、治るだろうってさ。

優しそうなイケメン医師で、大成功だった。