帯広に到着してすぐ抜き稽古を観た。
後味の悪い芝居だと思った。主人公シンジはもっとも嫌いな男だ。
どうしてこんな不愉快な男の芝居を作らなければいけないの?鐘下先生。
鐘下辰男といえば、その名前で検索すると数々の演出や脚本を手がける超売れっ子である。演研の代表の後輩という関係で昔から知ってはいたが、書き下ろしということにあまりに期待したため、裏切られた思いが支配したのである。
2日間を通して、抜き稽古・本番リハ・翌日本番リハ・本番 を観ていく内に、どうしようも無い男が、舞台の上で翻弄する姿に笑いが出る。観ていた観客も笑う。決して喜劇ではない。でものたうち回り、苦しむ姿になぜ笑いが起こるのか・・・。
不思議な感覚だった。不愉快極まる最低の人物も、第三者から俯瞰すると滑稽だった。最初はもう二度と見たくない芝居だと思っていたのに・・・
何度か再演するともっと面白くなるような気がした。
北海道の地方都市の劇団がなぜ30年も続けて来られたんだろう。今では北海道の各地から、東京からも見に来てくださる。
東京でなくてもやれることもあるんだ。
手前味噌だけど、演研はすごい劇団だと思う。本当に思う。