2年ほど前、Straight Playing Cardsさん主催のレクチャーマラソン最終日にマイケル・アマ―氏がレクチャーを行い、その時にはじめに行ったカップ&ボールについてブログに書きました。
そのとき「しかも、おそらく氏にとっても最近考えた手順だと思われる、観客にカップ&ボールをしてもらう手順です。」と書きましたが、これが大きな間違いであったことをお詫びするとともに、その手順について今回紹介させて頂きます。
この4 Minutes of Fameという作品の商品カバー(?)である観客が手を上げている絵はだいぶ前からアマ―氏のオフィシャルサイトや広告で見たことがあったのですが、カップ&ボールの手順だとは思っておらずスルーしておりました(;^ω^)。「Spectator Cups and Balls」と書いてあって、CUPS & BALLSのジャンルにあるのに(;^ω^)。
というわけで、改めて紹介させて頂きます。2012年に初版を出しているのでもう10年以上前の作品ですね。失礼しましたm(_ _)m。事の始めはDick Williamsという方がアマ―氏のカップ&ボールの本、Complete Cups and Ballsを読み、自分のルティーンを作り上げ、アマ―氏に送った事でした。それはこれまでの観客が単にマジシャンをアシストするというものではなく、観客がパフォーマーになりきるというコンセプトでした。アマ―氏はこれに惚れて、このコンセプトで自分の手順を作りたいとDick Williams氏に伝え、長い時間かけて少しずつ組み立てた手順のようです。観客が主役ということで「4 Minutes of Fame」というタイトルなんですね。
実演映像です。
また、アマ―氏がこの手順について簡単に紹介している動画です。賛否ありますが、Bill Palmerが最初にコメントして褒めているのでやはり凄いのでしょう。
どうでしょうか…観客がとてもいい表情してますよね(笑)。アマ―氏としては、あくまで主役は演じている観客なので、極力マジシャンはカップを触らないように考えたようです。アマ―氏ほど多くの知識を持っているといろいろ盛り込みたくなりそうな気もしますが流石です。そしてファイナルロードも重ねてから出すという手順を行う事で、マジシャンがロードしてからの時間を稼ぐとと共に、観客が最後にカップを操作して出すということを実現しています。2つ以上の大ボールの負荷は、無理やり感が出てしまうということで、トミー・ワンダー氏の袋を用い、最初と最後を繋いで、きれいにまとまります。そのために出すときも袋から出すところをさりげなく強調してます。個人的には大ボールのロードの仕方が参考になりました。
この商品は、先のアマ―氏のサイトにありますようにpdfのダウンロードですが、動画のリンクが6つほど付いてまして、写真も入っているので非常にわかりやすいです。ここまで動画使うなら動画コンテンツにすればよかったのでは?と思うほどです。最後にボーナスムーブとして、ボールがスタックされたカップを改めながらボールをスチールして、最後は元通りに入れるという動作が解説されています。演技には使われていませんが、これはあくまでこの手順がマジシャンがカップをあまり触らない方が良いという考えで作られているためで、氏は改めをしたいのを「我慢した」と書いてます(笑)。
今回、この手順を購入するに至ったのは、Lybrary.comを見てて、カップ&ボールでこの冊子が1位になっていたからです。あれ?これってカップの手順だっけ?と思ってダウンロードして見たところ、なんとこの前のレクチャーでの手順じゃないか…となったわけです(笑)。10年以上前のこの冊子が1位になっているのは、今Lybrary.comで5ドルほど安くなっているからだと思います(約10ドル)。たった10ドルでこの手順を手に入れられるのなら個人的にはお得だと思います。
正直なところ賛否両論あると思います。非常に魅力的なコンセプトと手順ですが、自分のカップ&ボールの手順を持っている人がそれをやめてこっちをするかというと、どうかな?という気もします。アマ―氏はレクチャーでこれをやった後に、自分の手順を行うことも提案していますが、やはり長くなってしまいますよね…また観客を選ぶ手順でもあると思います。アマ―氏も言ってますが、指示通りに動いてくれない可能性がある子供などは対象にしない方がいいかもしれません。とはいうものの、新たな可能性を持つ、価値のある手順だと思います。恐らくやってみたら想像以上にウケたりするのではないかなと…
日本語でこの手順のレクチャーを見たい方はStraight Magic Shopさんでこの手順を含むレクチャーコンテンツが購入できます。