今回は、Kent Gunn氏(アメリカのマジシャン)のカップ&ボールの手順「The Fun Shop Cups and Balls」の紹介です。まずは、実演動画からご覧ください。
The Fun Shop Cups and Balls(2009年)
いかがでしたでしょうか?ちょっと珍しい3色のボールを使った手順です。ビデオを見て頂いた通りですが、6段から成ります。
1段:3色のボールを別々のカップに入れますが、中央のカップに集まります
2段:白いボールを中央のカップの下に置き、両手に持った赤いボールと青いボールが消えて、中央のカップから現れます
3段:カップを2つに減らします。赤いと白いボールを別々のカップに入れますが、赤いボールが移動します。
4段:赤いボールをポケットにしまいます。空のカップに青いボールを入れますが、消えて別のカップから現れます。
5段:青いボールをポケットにしまいます。しかし、白いボール1個のはずが、3色のボールが現れます。
6段:3つのボールをポケットにしまいますが、3つのカップからは大きな3色のボールが出現します。
異なるボールの色を使ったカップ&ボールの手順はこれまでも本ブログで紹介しています。
色が異なるボールはより現象がわかりやすくなるのですがいろいろ制約がかかるので現象も限られ、構成も難しくなります。今回の手順は上記2つとは完全にアプローチが違います。消失と出現が非常にシンプルに行われるので、まるで魔法のように見えますよね。大ボールもいつの間に?と思いませんでした?一般的なカップ&ボールを知ってる人ほど「???」となるかもしれません(笑)。
実はこの手順ではいくつかの原理(道具)が使われています。これまでもこれらの道具を使ったカップ&ボールの手順はありましたが、これほどまでに、いろいろ投入している手順も珍しいです。素晴らしいのはそれらを1つの手順として成立させたところだと思います。手順では少し不自然な動き(なぜ一度渡したボールをもう一度とる?とか…)もありますが、それでも見事だと思います。
この手順を行おうとすると、少し道具を揃える、更に一部手作りする必要があります。まず、カップですが、氏と全く同じようにしようとすると、Sherwoodカップが必要です(;^ω^)。Sherwoodカップじゃないとできないかというとそういうわけではありません。しかしカップとボールにある条件が必要です。ちなみに解説書の中ではJohnson製のCカップでは付属のボールではできないが、Sherwoodのボールだとできる…と書かれていますので、その組み合わせでも良いらしいです。といっても、Johnsonカップも発売当時はそれほど高くなかったですが、今では入手困難ですし中古でも結構高価だったりします。
現在、確実にかつ、Sherwoodより大幅に安いカップで行おうとすると、以前ブログで紹介したRing-N-Things MagicのPaul Fox VSのコンボカップが使えます(このカップも決して安くはありませんが😅)。このカップに対してThe Fun Shop Cups and Ballsの手順用ボールセットが販売されています。
実は、本ブログのTOP写真のボールはこれです。Sherwoodのボールではありません。写真では雰囲気を出すためにKent Gunn氏が使っているSherwoodカップ(コンボカップではありません(^◇^;))にこのPaul Fox VS用のボールを置いてみました(;^ω^)。ちょっとボールが小さいですね。以下にSherwoodのボール(赤は近い大きさのボール)を置いてみた写真と、Paul Fox VSの上に専用ボールを置いた写真を示します。


確かにカップを使えば現象は起こせますが、ちょっとやってみた程度ではなかなかスムーズに全体を行うのは難しかったです。少し調整が必要かもしれません。個人的にはもうほんの少しボールが大きい方が良いかもとも思いました。
という感じで、カップとボール選びからまずは大変なのですが、Ring-N-Things MagicのボールはMの力を制約はありますが変化させる事ができるためカップによっては上手く動作するよう調整ができるような気はします(おそらく(^◇^;))。また、ご自身でCボールを作れる方はもちろんいい感じに作る事ができると思います。
次に、その他の道具ですが、これを書くとネタばらしになるので控えますが、プラス2つほど必要になります。さらにその1つでは、これ用に少しパーツの作成が必要です。この道具自体は昔からあり、私も持っていますが、最近新しい商品として発売されているのは見たことがありません(あったらごめんなさい)。ちなみに氏は机もこだわって購入しており、冊子ではおすすめのお店を紹介しています(といっても既にリンクは繋がらない…)
というわけで、非常に独特な手順である「The Fun Shop Cups and Balls」ですが、現在は、デジタル冊子がLybrary.comで30ドルで購入できます。
Brian Watson氏はこの冊子を£71.20で購入したと書いているので、昔より安くなったのかもしれません。
Cups and balls | Cups and balls magic - Fun Shop Cups and Balls
このように、この手順を実際行うとした場合、かなりの準備が必要ですし、氏のようになめらかに行うにはこれまたかなりの練習が必要でしょう。ですので、本を買えば誰でもできるとはとても言えませんが、考え方は非常に刺激的ですし、部分的にも参考になることも多いです。また、この本は様々なことが丁寧に書かれているので、わかりやすいです(クレジットについて明確に書いてあるのも好感が持てます)。
そういった意味で、カップ&ボール好きの方には、おすすめです。
関連情報として、Genii FORUMでこの手順が話し合われているページを示します。
The Fun Shop Cups and Balls by Kent Gunn - The Genii Forum
また、先の実演は2009年のものですが、その後、2013年、そして2023年の実演動画もありますので(現象は同じです、話すストーリーが違います)示します。残念ながら私の英語力ではこれらの話の「本当の面白さ」が理解できておらず、つい、現象ばかりを見ているので、その分完全に楽しめていないのだと思います…英語力…もう人生も残りそれほどないですが、ネイティブレベルで楽しめるようにはおそらくなれないだろうなぁ…と。でも最近の翻訳機のおかげでだいぶ楽に何を話してるかはわかるようになりました。有難いです(;^ω^)
2013年の演技
2023年の演技