世界遺産である春日山原始林。
そこを一回りできる『春日山遊歩道』を歩いてみよう、ってことになり最寄駅から電車に乗る。
そして、降り立った近鉄奈良駅から東へ2kmほどの、遊歩道北入り口を目指した。
なだらかな幅広の遊歩道は、とても歩きやすく出足は上々。
日常のウォーキングと思しき数人とすれ違った。
自分たちの足音だけが唯一の静寂の中で、人の気配に安堵する。
若草山山頂で、ちょうどいい頃合の小休止。
駅から歩きづめだった足を、ベンチで解す。
草を食む鹿の群が微笑ましく、屈託ない彼らの優しい眼差しに癒され腰を上げた。
山頂を後にし、若草山ドライブウェイから続く『春日奥山道路』に入る。
始点の鎌研交番所から芳山交番所のちょっと先の終点までをそう呼ぶ。
交番所といっても、警察の交番ではなく監視係員の詰所だ。
春日奥山道路は、ほんまにドライブウェイなのって疑いたくなるほどの未舗装道だった。
環境上、手を加えられないのか。
急カーブだけは部分舗装され、安全対策はなされている。
その日は、車の走行もなく安心しきっていたら。。。
水分補給で立ち止まった途端に、耳元をかすめた恐怖音。
1匹の大きな蜂(多分スズメバチだろう)に、のんびりムードは急変した。
静止すると、と言うより身体が固まって動けなかったのだが。
偵察が任務なのか、無抵抗とみてどこかへ消えた。
スズメバチに集団が襲われたニュースを見たばかりで、その懸念をしていた。
だから、鎌研交番所でわざわざ蜂の有無を確認した。
「大丈夫ですよ」の爽やか笑顔を信用して、全く不用心だったところに不意をつかれ驚いたのなんのって。
春日奥山 最大の山桜。
ひねり上げたような太い幹は、幾本にも分かれ、頭上にアーチをえがく。
春になれば、あたりは淡く霞むことだろう。
蝉の声が、明るい木立の間を透けてゆく。
その声は、彼女に届くかしら。
などと、蝉の心配をしている場合ではなかった。
世界遺産記念石碑をバックに写真を撮っていると、平穏は又してもやぶられた。
後をつけてきたのかもしれない巨大蜂の羽音におののく。
その場にうずくまって息をひそめると、スッといなくなったが、生きた心地がしなかった。
春日奥山道路は、『春日山遊歩道』と『東海自然歩道(旧柳生街道)』に分かれ、一旦『首切り地蔵休憩所』で合流し、再び分岐する。
近道だし、東海自然歩道を下りたい。
休憩所で昼休憩をするグループに問うたところ、キレイな道だと言われ気をよくした。
多少のぬかるみはあるが、大したことはない。
だが、半分以上が石畳で、雨上がりなど石面が濡れていると危険かも。
そうでなくても、下りに選んだのは間違いだったと歩き出してから思う。
かなりの急斜で、ただでも下りが苦手な私の膝は、チョット元気をなくしてしまった。
階段が無くとても歩きやすいので、9kmの距離もさほど気にならない。
駅からの距離を加えても、13kmほどだし。
次は、逆回りがいいな。
蜂のいない季節に。
頑張ったご褒美ランチに、『かめや』の暖簾をくぐる。
う~ん、美味い~疲れが吹っ飛ぶ~。
冷コーのサービスまであるんだよ。
お疲れさま~♪
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