青い花

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『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』を観に行きました。

2023-07-20 08:29:38 | 日記

三連休に『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』を観に行きました。
『岸辺露伴』の時にパンフレットを買えなかった反省を踏まえ、今回は早めに現地についてパンフレットを購入しました。




上映時間までスタバで桃のフラペチーノ。

テラスモールの109シネマズは何の作品でもそこまで混む印象が無いので、今回もそんな感じと思っていました。
ところが、上映時間間際に劇場に戻ったら、まさかの満席で驚きました。この劇場で満席を経験したのは初めて。早めにチケットを買っておいて良かったです。
観客の男女比率は男性が多目で、年齢層は中高年が多目でした。小中学生男子もそこそこいましたが、多分保護者がインディのファンなんだと思います。
うちも夫婦で観に行くつもりでいたら、娘コメガネが一緒に行くと言い出したので、家族全員で来館したのでした。

事前にネタバレ踏まないように注意していましたが、それでも賛否両論という情報は耳に入っていました。
タイムリープ作品という事も知って、その時点で若干萎えかけましたけども。
主人公に都合の良い歴史改変はやめて欲しいという思いと、インディの花道は晴れやかなものであって欲しいという両方の思いが渦巻き、純粋に楽しみというより、見守りの気持ちが強かったです。

見た後の感想ですが、賛否の賛の方に票を入れたいと思いました。
シリーズ最高傑作とは言えません。
でも、40年以上続いた超大作の終幕としては、温かい気持ちが残る良作だったと思います。

時は1944年、第二次世界大戦の只中。
この時もインディは、ナチスと古代遺物の奪い合いになっていました。
ナチスと遺物の取り合わせは、このシリーズの定番ですね。前作『クリスタル・スカルの王国』の敵はソ連でしたが、ソ連よりナチスの方が考古学との親和性が高いと思います。

インディは、ナチスに奪われたロンギヌスの槍の奪還と同僚バジル・ショーの救出のために単身奔走します。
捕らわれて絞首刑になりかけてからの、爆弾の落下と爆発、カーチェイス、列車内での攻防と、開幕早々アクションに次ぐアクション。シリーズで一番アクションシーンが多かったと思います。80歳過ぎのハリソン・フォードには過酷な撮影だったのでは無いでしょうか?
この冒頭シーン以外は、インディよりヒロインのヘレナのアクションシーンの方が多いのは、そこへの配慮かもしれません。
このシーンのインディの容姿は『レイダース』の頃くらいの若々しさですが、演じているのは現在のハリソン・フォードで、ルーカスフィルムが保管している膨大なハリソン・フォードのフイルムをAI技術でコンピューターに取り込み、今回撮影した映像に貼り付けているのだそうです。40年の時を経て変化した声質は、音域を高くして台詞を言うことでカバーしています。

ナチスの科学者フォラーの鑑定で、ロンギヌスの槍が偽物であることが判明しました。
列車にはナチスが各地から強奪した遺物が山と積まれていますが、フォラーはその中で、アルキメデスが作成したとされるアンティキティラのダイヤルが最も重要だと考えました。
このダイヤルこそが、タイトルの運命のダイヤルで、隠された暗号と2つのダイヤルを組み合わせることで、行きたい過去にタイムリープすることが出来るというのです。
インディはダイヤルを奪うとバジルを連れて逃走します。
しかし、立橋を走行中に追い詰められ、列車から川に飛び込みました。この時にダイヤルの1つは行方不明となったのです。

時は流れて1969年。
世間は、アポロ11号の月面着陸で大盛り上がりでした。
未来志向になった世情で、考古学は時代遅れの学問となり果てていました。
時代遅れなのは、インディ自身もでした。
一人息子のマットはベトナム戦争で戦死し、妻のマリオンは出て行きました。
今のインディは、輝きを失った不機嫌な独居老人です。
かつてはインディに熱い視線を送る女子大生で満席だった考古学教室も、今はやる気の無い学生が疎らに座っているだけ。
この日はインディの退任の日でしたが、彼の引退を惜しむ空気はまったくないのでした。
最後の講義のテーマはアルキメデスとシュラクサイ包囲戦でした。このテーマに熱心に受け答えをする学生が一人だけいました。

インディは、バーに寄ると一人侘しく酒を飲みます。
そんな彼に、ただ一人最後の講義を熱心に聴講していた女性が声をかけてきました。
彼女はバジル・ショーの娘ヘレナだったのです。
インディが彼女と会うのは実に18年振りのことでした。
ヘレナは晩年のバジルが、アンティキティラのダイヤルの研究に取り憑かれていた様子を語りました。

ヘレナとの再会からインディの止まっていた時が動き出します。
インディは、アンティキティラについて知りたがるヘレナを伴い、大学の研究室に向かいました。バジルに壊せと言われていたダイヤルの一つを大学で保管していたのです。
ちょうどその頃、大学で殺人事件が起きていました。
犯人グループはナチスの残党。その中にはあのフォラーの姿もありました。フォラーはナチス崩壊後に名を変えてアメリカに渡り、現在はNASAのエンジニアとしてアポロ計画に携わっていました。
彼もまた、アンティキティラを手に入れようとしていました。エンジニアとして最先端の事業に携わりながらも、ナチスの復活を諦めないフォラーは、アドルフ・ヒトラーが犯した間違いを修正するために1939年に戻りたいのです。
フォラーたちはインディの研究室を漁っているのを見咎めた職員たちを射殺し、そこに現れたインディの姿を見ると、彼を拘束しようとしました。
インディはヘレナと逃げますが、途中で彼女に裏切られ、アンティキティラを持ち去られます。
殺人容疑を掛けられた上に、ナチス残党とCIAに追われる身となったインディは、かつての仲間サラーに救われました。
ここから、モロッコ、エーゲ海、シチリア、そして、紀元前212年のシュラクサイと、陸海空をまたにかけ、時空をも超えるインディの最後の冒険が始まります。

インディがあの帽子と鞭を身につけ、お馴染みのテーマ曲が流れると、カッコいいアクションシーンが始まります。
でも、上でも書いたように、今作はインディよりもヘレナの活躍が目立っていたのです。
ヘレナの相棒テディは、『魔宮の伝説』のショーティを彷彿とさせる勇敢な子供ですが、そのせいか『運命のダイヤル』がインディではなく、ヘレナとテディの物語のように感じてとても寂しかったですね。
インディにはもう冒険物語を牽引する力が残っていないと宣告されたようでした。
このシリーズの精神が、ヘレナ達新しい世代に引き継がれるのは良いのですが、インディの物語はあくまでもインディにスポットライトを当てて完結して欲しかったし、アクションが厳しいなら、豊富な知識と経験で敵を圧倒するような展開にして欲しかったです。

それと、あんなに金の亡者で、名付け親のインディをあっさり裏切り、世話になった潜水士達が目の前で殺されても平然としていたヘレナが、後半急に改心してインディの救出に向かった理由がよく分かりませんでした。
彼女は今作が初登場のキャラなので、銭ゲバなのか人情家なのか、分かりやすい設定にして欲しかったです。

シリーズで一番アクションシーンが多かった割に、全体的にしんみりした印象だったと思います。
文句ばかり書いていますが、一本の物語としては、そう来たかとハッとする展開もあり、娯楽大作として良く出来ていたと思います。シュラクサイ包囲戦、鉄のドラゴン、アルキメデス、腕時計。この辺ですね。『インディ・ジョーンズ』シリーズをよく知らない高校生のコメガネでも楽しめる内容に仕上がっていました。

帰りたくないとアルキメデスに訴えるインディの姿は衝撃的でした。
でも、彼の寄る辺無さを思えば、敬愛するアルキメデスの元で人生を終えたいと思っても仕方ないかなとも。彼は現代には最早自分の居場所はないと考えているのです。
まさかインディに対して憐憫の感情を抱く羽目になるとはと困惑しました。
インディ・ジョーンズの物語はバッドエンドで終わるのかと本気で心配になりましたが、ここはヘレナの拳が良い仕事をしてくれました。

この後、映画を見る前に心配していたようなダイヤルを使った歴史改変は起きませんでした。
マットの戦死は変わりませんでしたし(途中でインディが「過去に戻ってマットが戦争に行くのを止めたい」とか言い出したので警戒していた)、インディが学者として再び脚光を浴びることもありませんでした(途中でヘレナが…以下略)。
それにも関わらず、『インディ・ジョーンズ』シリーズとインディの人生は、無理のないハッピーエンドで落ち着いたのです。
人生は一度きりだから、過ちや後悔も含めて尊いのです。都合の良いカードを引き当てるまでタイムリープで何度もやり直せたら、逆につまらないのではないですか。

時代遅れになったインディの人生は、マリオンとサラーという昔馴染みの存在に救われました。
シュラクサイから戻ったインディが目を覚ますと、別居していたマリオンが買い物袋を抱えて戻ってきたのです。そこには、ヘレナとテディ、サラー親子の姿もありました。
インディとマリオンの、あの『レイダース』の痛くないところにキスするシーンの再現で、インディの最後の冒険は終わります。
このままインディ・ジョーンズという男は、ノスタルジーに埋もれて人生を終えるのでしょう。
でも、それは悪い事では無いんじゃないかなぁと。無理に時代の流れにしがみつかなくても良いのではないですか。老妻と旧友に囲まれて穏やかな余生を送るのは、長い歳月を懸命に生きた人の特権でしょう。
売れば巨万の富を得られる秘宝をいくつも発掘してきたインディが、余生を安アパートで暮らすのも粋ですよ。彼は学術的に価値のある遺物は博物館で保管する姿勢を貫いていた、銭ゲバとは無縁の誇り高い学者でしたから。
兎に角、今はインディとハリソン・フォードにありがとうとお疲れ様を言いたい気分です。
あと、フォラーを演じたマッツ・ミケルセンがクールでした!

劇場を出てから、カルディと成城石井で昼食とお菓子を買い込んで、帰宅後すぐに『レイダース』から『インディ・ジョーンズ』シリーズを観返しました。
私が劇場で観たことがあるのは、今回の『運命のダイヤル』と四作目の『最後の聖戦』です。『レイダース』と『魔宮の伝説』は私自身が幼く、『クリスタル・スカル』は、コメガネが幼かったので、テレビ放映とかレンタルとかで観ました。今回、インディの最後の物語を劇場で見ることが出来て良かったです。
私はシリーズの中では、『魔宮の伝説』が一番好きです。
歴代ヒロインでも、ウィリーが一番好き。
彼女は学者でも無ければ、何らかの政治的信条を持っているわけでも無い、ただの巻き込まれ一般人です。
完全なるギャグキャラで、特別な知識も戦闘力も無く、終始一貫ギャーギャー騒いでいるだけのアホなところが好きです。インディとショーティとの相棒の絆も良かった。
そんな感じで、三連休はインディ・ジョーンズ三昧で終わりました。
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