２度目の入院

　夏の高校野球も、今日辺りから３回戦に入ったようです。
　
　我が家の勝手口のすぐ前にある柿の木で、ツクツクボーシが泣き始めました。
　透明な翅をこすり合わせながら、柿の木の細い枝を登って行きます。
　
　立秋は過ぎましたが、連日３４度を超す猛暑の中、秋の気配は見えません。
　
　その立秋の日、父は又入院をしました。
　かかりつけの病院から、直接救急車で、総合病院へ・・・。
　救急車に乗るのは初体験で、言葉は良くないのですが、チョットときめきましたが、
　何せ、運転が荒くて、・・・大きく上下に揺れて・・・。
　私も、同乗してくれた看護師さんも、一瞬小さく宙に浮きました。

　フラフラのはずの父が　「大丈夫か・・・・」　と、言ったのには、私も看護師さんも、
　含み笑いをしてしまいました。
　サイレンを鳴らしながら、道路を右へ左へ・・・と、病院へ、
　救急入り口には、先月お世話になった、担当医と看護師と病院の職員の方が待っていて下さいました。

　すぐにレントゲン、採血と検査が施され、夜に又輸血と言う事になりました。
　「大変なので、付き添いますよ」　と言ったのですが、
　今回は、安定剤を処方しますので、大丈夫ですよ・・・と、言われ、
　目の離せない父は、軽い安定剤を飲み、車いすに乗って、看護師さんと一緒に、
　病院の廊下をウロウロ。
　少し、ウトウトした所で、ベッドに移動。
　何やら、うわごとのようにブツブツ言ってましたが、
　環境が変わったせいで、完全に寝付いてはいません。
　輸血が始まった頃には、幾分お目覚め状態で、再度安定剤を・・・。
　私達は、担当の看護師に促され、帰る事に・・・幾分後ろ髪をひかれる思いでしたが・・・。

　案の定、興奮気味の父は全く安定する事はなくて、看護師さんは大変だったようです。
　結局、父は環境の変化で、丸二日間休む事が無くて、何かと戦い続けたようです。
　
　３日目、昼食後から睡魔に襲われました。
　午後、理学療法士が、リハビリのために肩をゆすって起したのですが、駄目だったそうです。
　夕食時間になって、私達で車いすに乗せて、食事をさせようと、何とか起そうと試したのですが、
　熟睡状態で、食事は一口も食べません。
　看護師が、薬だけは飲んで・・・と、言いながら、スプーンで薬を流し込みました。

　「昨夜は１２時過ぎまで、パジャマを脱いだり着たりしてました。
　二日間寝てないので、もう、無理でしょうね・・・」
　担当の看護師さんの言葉でした。

　そんな父でしたが、次の日には、なんて事はない、問題爺さんでした。
　看護師さんをキリキリ舞いさせた父は、４日目には、軽く退院を言い渡されました。
　
　夕方６時頃から、２００ｃｃ程、輸血を施され、夜８時過ぎに退院です。
　看護師さんの、ホッとした顔つきに、私達の疲れは極みでした。

　次の日から、父は何事もなかったように、日常に戻っていました。
　この暑さの中、病院生活の方が快適でしようにィ・・・なんて、思ってしまいますが、
　父には関係なさそうです。
　今のところ至極、快適な様子です。