旅のこと。４

　自分は、きみに何か出来ただろうか。何が、出来ただろうか。
　きみは何か感じてくれただろうか。何を、感じただろうか。
　それらを考えたとき、
「ひょっとして、ひょっとすると、何も出来なかったのではないか、悪いことをしてしまったのじゃないか？」
　というネガティブ思考が働く。
　もっと何か出来たはず（自分にはもっと何か出来る能力があったのでは？）。
　なんて。そこまで過大評価はしていないけれど。
　悔やまれる。
　もしかしたら最初で最期だったかも知れないのに……
　きみの満足できる時間を提供できた、という自信が無い。
　もっとやりたいことがあったのに、遠慮させてしまったかも知れない（金銭面で遠慮させたのはわかっている）。
　何しろ急に決まったことだったので準備が出来なかった。
　というか。
　きみの気持ちも性格も嗜好も何もわからなくて、対策が打てなかった。
　結局、自分の勝手な考えを押し付けただけだ。
　エゴだな。
　でもそれしかない。
　きみと話せる時間は限られていた。
　また、あまり根掘り葉掘り訊くと嫌われる気がした。
　ならば自分の考えを伝えるしか方策はない。
　と、馬鹿な私は思った。
　自分の考え、と称したけれど、ぶっちゃけていえばただの正論だ。
　子供(未成年)相手に正論を盾に盾突くなんて、あまりにも芸が無い。
　芸の無い芸無(ゲーム)。
　夢の無ぇ無夢(ネーム)。
　芸の無いGAME(遊び)なんて面白くない。
　夢の無いNAME(漫画)なんて面白くない。
　だが、人生というゲームにおいて、必ずしも遊び(余裕)が必要でない、とは、言えない。
　余裕(無駄)が無いなら、面白い・面白くないは、判断出来ない。
　つまらない、があるから、面白い、が、ある。
　ならば。
　もし万が一、あるいは一が一。
　今日が面白くなかったとしても、意味がなかったとしても、たとえ悪い出来事であったとしても。
　きみなら経験値に出来る！　と。
　オレは、想う。