京都よサラバ

　強い抗不安剤(精神安定剤)レキソタンを飲んで寮を出発した。
　ただいま、東京行き新幹線の中である。
　一人で新幹線に乗るのは初めてなので、いろいろ間違ったりした。
　まず、岡山から京都へ帰るおりに先輩や同輩がやっていたように自動きっぷ販売機の前に立った。
　最初は順調だったが、切符を「２枚にするか１枚にするか」というような選択問題がいきなり出題され、間違える可能性への恐怖心で、購入を断念。
　隣りに案内所があったのでそこで事情を話してきっぷを買った。
　やった、一人で新幹線に乗れるぞ!!
　私はその瞬間、勝利感に包まれた。
　しかしきっぷを買う際に、「自由席か指定席か？」という、これまた上級者レベルの質問をされて、少し戸惑った。
　だから私は、
「どっちなほうが安いですか」
　と問うた。
「安いのは自由席です、自由席にしますか？」
　という返答があり、私は安いほうがいいに決まっているではないかと思いながら、「はい」と答えて自由席きっぷを買った。
　ところで、「きっぷ」と「切符」ってどう違うんですか。
　上司から、「千円ていどの手土産を持っていけ」との命令を受けていたので、土産物屋を探した。
　あまりの人の多さにすぐにくじけて、たまたま近くにあった案内所の人に「お土産屋さんはどこですか」と聞いた。
「新幹線をご利用でしたら２階にございますよ」
　ということで、改札を通って２階へ行った（無論、名古屋行きはこのゲートでいいですかねと駅員にたずねてから通った）。
　２階で最初に見つけた店で最初に目についた菓子を買う。
　正直、私が食べたかった（試食コーナーが皆無だった。無念）。
　いくぶん急いで乗り場を探す。
　さっき見つけていたのに買い物をしているあいだにわからなくなっていた。
　しかたなくまた駅員に聞く。
「そこのエレベーターを上がればいいですよ」
　エレベーターを上がる。
　しかしホームの両側に線路があるしホームがながーいしで乗り場がサッパリわからない。
　人の列に並ぶが、なにか違うような気がして不安になり、駅員を探した。
　が、なかなか見つからず、さらに焦る。
　ようやく見つけて尋ねると、
「指定席ですか自由席ですか」
　という、またやっかいな質問を受けた。
　しかし私は自分が自由席を購入したことを覚えていたので、助かった。
「自由席は１～３号車になるので、向こうの端のほうですね」
　なんとこのながーいホームの逆方向らしかった（前回、新幹線に乗った際に、各車両のことを〇号車と表現することを知識として得ていたのでそれについては困らなかった）。
　小生、走った。
　その途中で（３号車は喫煙車両です）みたいなアナウンスが聞こえたので、２号車乗り場まで走った。
　そうしてなんとか新幹線に乗り込んだ。
　座席に座れて少しほっとした。
　と、書いているあいだに名古屋到着。