嘘日記 ６月２３日

　寮の自室の机にて、落書きを発見しました。
　それも、堂々とマジックで書かれているのです。
　それはかなり目立ちましたから、書かれたのはつい最近のことでしょう。
　文を読んでみると、それはどうやらボクに対する悪口のようでした。
『おぃおぃヒロセ、調子乗んなよ～♪』と書かれていました。
　ヒロセというのは、ボクのニックネームです。
　ボクは憤慨しました。
　もちろん、悪口に対する怒りではありません。
　問題は別のことでした。
　よく考えてみてください。
　これを書いた犯人はおふざけのつもりだったのでしょうが、これはちょっと問題です。
　なぜなら、この机は正確にいうとボクのものではありません。
　学校の所有物なのです。
　ボクの机であれば、いくら落書きしたって構いません。
　しかし、これは学校のものなのです。
　そういうものに対して落書きをするなんて、恥ずかしいと思わないのでしょうか。
　マジックで書かれているのですよ？　そう簡単に消えません。
　これは、国会議事堂に落書きすることと、根本的には同じことです。
　総理大臣の机に落書きすることとも同じです。
　この落書きを書いた犯人は、そのことを分かっていて書いたのでしょうか？
　違うでしょう。
　ヒロセが気にくわない。よし、ヒロセの机に落書きしてやろう。
　そういった短絡的思考の結果だとボクは思います。
　まったく。馬鹿なやつです。
　物事をよく考えずに行動してしまうアホです。
　サルよりも頭がひどいのではないでしょうか。
　このような人間が自分の周りにいるのかと思うと、反吐(ヘド)が出そうです。
　もっと頭を使ってほしいものです。