ぶっちぎり嘘日記（仮） １１月１７日

　最近、非常に寒い日がつづく。
　夜などは寒すぎて眠れないほどである。
　少し前から毎晩筋トレを行なっているので、もしかしたら脂肪が減ったせいかもしれない。
　それとも単に寒い季節になっただけなのだろうか。
　いやそれにしても眠れないほど寒いというのはおかしいんじゃないか。
　そう思いはじめてかれこれ一週間。
　あまりに寒いので部屋のどこかに穴があいているんじゃないかと思い、毎晩穴探しをしている。
　ときどきピュ～という隙間風のような音がして、窓を確認したりもする。
　しかしいくら探してみても一向に見つからない。
　もしかしたら幻聴ではないかと思ったりしてみるが、ならばこの寒さはいったいなんなんだ。
　穴と隙間を探すのはいつも皆が寝静まった深夜である。
　そうでなければ私のあまりの怪しい行動に、皆がおびえてしまうだろう。
　そういう配慮のできる好青年の私は、夜毎に穴やら隙間やらを探しているのだった。
　穴なんてどこにもあいてないじゃないか。
　隙間なんてどこにもないじゃないか。
　私は毎晩そのような結論にいたり、しかたなく就寝するのだった。
　しかし今朝、ようやく寒さの正体が判明した。
　やはり風が原因だった。
　ピュ～という音は決して幻聴などではなかったようである。
　穴はベッドと壁の隙間にあった。壁に穴があいており、それがベッドで隠れていたのである。
　なるほど、それは盲点だった。
　しかし。
　その壁の向こうにあるのはここと同じただの部屋である。
　すると風はいったいどこから吹いていたのだろうか……。