嘘日記 ６月１５日

　最近の若者は頭がおかしい。
　たとえば、今日学校で拾った紙切れには、こんなことが書かれていた。

『友人が教科書に「フタ」と書いていたので「ブタ」と読んだら、左腕に「うまい棒」という文字が浮かんできた。
　さらに言うと、その文字は赤かった。
　血だった。

　翌日、朝起きると左腕にうまい棒があった。
　あれ、水性ペンで書いたからスグ消えると思ったのに、と思いながら、そのうまい棒を食べた。
　うまかった。

　後になってよく考えてみると、この事件はヘンだった。
　そもそも、腕に突然、血文字が浮かんでくるはずがない。
　そんなことができるのはエスパーか呪術者だけだろう。
　きっと怒った友人がぼくに呪いをかけたのだ。
　そう、つまり友人は呪術者だったんである。
　左腕からうまい棒が生えたのもおかしい。
　でもそれもおそらく友人のかけた呪いに決まっている。
「血文字で驚かしてゴメン」という意味を込めた友人の芸だったのだろう。
　友人はゲイだった。（新事実発覚）』


　ツッコミどころ満載なのは、うまい。
　しかし、オチへのもっていき方がヘタである。
　そこらへんをもうちょっと工夫すれば良い作品になっただろうに。
　おしい。