覆水、盆に戻らずと言う言葉がある。
盆からこぼした水は元には戻らないというものだ。
また、コーヒーカップのコーヒーにミルクを一滴垂らし、
スプーンで右に１０回かき混ぜると、
ミルクはコーヒーに混ざる。ここでスプーンを止め、
左に１０回かき混ぜてもミルクは元の一滴には戻らない。
これらを不可逆性の原理という。
また、実際にはないが０度の水と１００度のお湯を
混ぜると５０度のぬるま湯になる。
しかし、５０度のぬるま湯は０度の水と１００度のお湯
にはならない。
これは熱力学第２法則とも呼ばれている。
ところで熱力学第１法則はよく知られている
エネルギー保存の法則だ。
ボールを落としたときに、位置エネルギーから
運動エネルギーに代わり、
地上に落下して、最後は熱エネルギーに代わる。
しかし、この逆はない。
熱エネルギーが自然に運動エネルギーとなり、
ボールを上昇させ位置エネルギーに代わる事はない。
つまり、熱力学第２法則はエネルギーの不可逆性を言っている。
逆に言うと不可逆性の原理とは、この熱力学第２法則なのだ。
この項続く。 
