2~3日前に、ブロ友さんが「布団の打ち直し」の記事をUPしていましたが、それを拝見して昔の事を想い出していました。
昔・・・。
そう、もう、半世紀近くも前のことです。
私が結婚するとき、母は自分の手で、夫婦用と客用二組の計四組の布団を仕立て上げ、嫁入り道具の一つとして持たせてくれました。
「最高級の、本当に良い綿を入れてあるから、キチンと手入れをしながら使えば一生使えるはずよ」・・・と言って。
結婚後、私は母の言葉を守り、定期的に打ち直しや洗浄に出し、大切に使ってきたつもりです。
でも、気が付けば、いつしか寝室にはベッドが入り、布団は綿から羊毛、そして羽毛にと変わっていました。
いつ、何をきっかけで変えたのかは忘れましたが、多分、時代の流れに沿ったものだったのでしょう。
それでも、私は母の持たせてくれた布団を処分することは出来ませんでした。
実際には、当時のものとは生地も変わっているし、足し綿もしているので、もう、全く別のものかも知れませんが、私にとっては母の布団ですから。
自分たちが使わなくなっても、時折、打ち直しや洗浄に出して手入れをしながら、来客用として残しておきました。
特に、外国からのお客様の場合は、和室に布団を敷いてあげると『Oh! futon! wonderful! 』などと言って喜んでくれましたから。
もっとも、彼らの場合は身長が高すぎて、足下に座布団を継ぎ足したりもしましたけれど。(*^_^*)
今もまだ、その客用の布団は和室の押し入れを占領しています。
でも、もう、夫も亡くなり、長年続けていたホストファミリーとしての留学生の受け入れもやめたために、今後は泊まりを伴う来客は、ほとんどなくなることでしょう。
仮にあったとしても、夫や息子が使っていたベッドが空いていますし、ひとりふたりの泊まり客なら何とかなるはずです。
と言うことで、思い切ってこれらの布団を処分することにしました。
布団をみていると、いろいろな想い出が蘇ってきます。
姉さんかぶりをして綿埃を避けながら、私の婚礼の日に間に合う様にと、背中を丸めて黙々と布団を仕立てていた遠い日の母の姿・・・。
息子の部活仲間が大勢泊まりに来たときには、敷き布団が足りず掛け布団まで部屋中に敷き詰めて雑魚寝をさせたこと・・・。
留学生のご家族が、畳と布団の日本文化に感激してくれたこと・・・。
そして、最後は、夫が亡くなり病院から帰ってきたときに、たった一晩だけでしたが、この客用の布団に寝かせたこと・・・。
想い出すとキリがなく、いずれの事柄にも胸がキュンとなります。
夫は、結婚したとき「いい布団だね!」と言ってくれました。
その夫があの世に旅立つ前に、この布団で寝かせられたことで、私の心に踏ん切りがつきました。
母も納得してくれることでしょう。
早速、市役所に電話をして引き取りに来てもらうつもりです。