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ギリシャへ そして ギリシャから From Greece & To Greece

ギリシャの時事ニュース、文学、映画、音楽がよくわかる
ギリシャの森林再生を支援する『百年の木の下で』の公式ブログです。

ギリシャ中/GONE GREECE

2009-06-30 | ギリシャへ
Λεσβοςレスボス島のモリボスΜολυβος市主催のサマー・フェスティバルに
招かれ 7月19日~26日 アート展を行います。

レスボスは『イリアッド』、『オデッセイア』の両方に登場する
歴史のある島です。

また 神話によると
イリオス(太陽)を父に持つマカレオスという名の王に
5人の美しい娘ミティリーニ、ミティムナ、イッサ、アンティッサ、
アリスベ、と4人の息子 エレソス、キドロラオス、ネアンドロス、
レウキッポスがいたそうですが、

レスボス島のおもな街や村に その9人のこどもたちの名前が残されています。

モリボスはレスボス島の北にあり紀元前はすでに人が住み、
集落はΜηθυμναミティムナと呼ばれていました。

わずか4キロの先にトルコの沿岸があり、オスマン時代のパシャの家々が
残る美しい街です。なだらかな丘に家々が築かれ、その頂上には中世の城がそびえています。



星の踊り 

2009-06-23 | ギリシャから
ELLI PASPALA - Ο χορός τών άστρων/星の踊り



来月は七夕や 皆既日食など
日本でも空を見上げる機会が増えそうですね。

ワイン色に濃いエーゲ海を渡る船から
夜空を見る(見上げなくても 回りぐるっと全部が空)と
古代ギリシャ人の気持ちがほんの少しわかる気がします。

地上のギリシャは古代から激変しましたが、
ギリシャの夜空の星たちは
同じリズムで 永遠という時の踊りを踊っています。

さて偶然ですが
「星の踊り」というステキなCDを見つけました。

演奏/歌は
ΕΥΑΝΘΙΑ ΡΕΜΠΟΥΤΣΙΚΑ エヴァンシア・レブウツィカ、
ΕΛΛΗ ΠΑΣΠΑΛΑ エリ・パスパラ、
ΕΛΕΝΗ ΖΙΩΓΑ エレニ・ジィオーガという女性のトリオ

特にギリシャ的というわけではありませんが
懐かしい感じの音楽です。

ところで
ギリシャの伝統的なダンスは踊り手が手をつなぎ
輪になってグルグル回るスタイルが多いのですが、

そもそも 輪踊りは 星への憧憬を形にしたもの
つまり
天体の運行を真似た太古の踊るカレンダーという説があります。

天の川のもと お星さまを追って
ギリシャの浜辺でステップを踏む・・・ 
夏の夜の極上の楽しみですね。




ギリシャふしぎ発見

2009-06-16 | ギリシャへ
6月20日土曜日21:00放送の『世界ふしぎ発見』第1104回で
ギリシャが取り上げられます。

『島をめぐれば見えてくる! エーゲ海流 人生の楽しみ方』
というタイトルでサントリーニ、ミコノス、クレタ島など
エーゲ海の島々の人々や暮らしが紹介されます。


7月~8月に企画されているチャーター便による
エーゲ海クルーズつきのギリシャ・ツアーが人気で
すでに満員に近いという話を関係の方から伺いました。

行かれる方も 行かない方も 
行きたいけれど 行かれない方も お見逃しなく。


新アクロポリス・ミュージアム

2009-06-13 | ギリシャから
PHOTO BY Google earth

6月21日いよいよ新アクロポリス・ミュージアムが公開されます。
21日から23日まではwebで申し込んだ人だけが入場できます。

ミュージアム入り口での当日券販売はありませんのでご注意。

24日からミュージアムの入り口でのチケット販売が始まりますが、
入場数制限があるかどうかオフィシャルサイトの告示_englishには書いてありませんでした。
webでの販売は続けて行われます。

いいニュースは6月21日の開館日から今年の12月31日までは
入場料1ユーロ(140円)ということです。
(怖いのは、その後いくらになるのかという案内がなかったことですが・・)
開館時間は8:00am-8:00pm 月曜休館


関連するもうひとつのニュースは
ギリシャが長年に渡って返還を要求しているパルテノン・マーブル
(パルテノン神殿にあった大理石の浮き彫り)についてです。

新ミュージアムの開館にあわせて
大英博物館は「大理石の合法的な所有権を放棄する」なら
3ヶ月間貸し出すという提案をしていたのですが、
ギリシャ政府はその申し出を断ったという記事がありました。
KATHIMERINI 2009/06/11_english

ちょっと待って下さい!

勝手に持ち去った物を 元の持ち主に3ヶ月だけ『貸してあげる』から
二度と返せとは 言わないでねってことですか・・

これは どう考えてもずるい駆け引きではないでしょうか?
断るのは当たり前だと思います。
 

追記:AFPにも同様の記事があります。
AFPBBNews 2009/06/12_日本語




ギリシャのランキング

2009-06-11 | ギリシャから
Μes tou Aigaiou ta nisia


毎日じめじめとした日が続くと
乾いたエーゲ海の風が懐かしくなります。
せめて目と耳だけでも 清々しさをお楽しみ下さい。

さて、
同じ日付の ギリシャに関係する二つの記事を読んで、
気になることがありました。

KATHIMERINI 2009/06/09 ENGLISH_____________________

ギリシャのビーチの水質はヨーロッパで3位だという報告が出た。
(97.7%の海岸がEUの基準に適応している)
1位はリトアニア(98.2%)だったが 検査したのはリトアニアの海岸の中で
18カ所だけで、それに比較してギリシャは2000カ所以上の
ビーチを検査した結果である。 2位はキプロス(98.2%)。

AFP BB News 2009/06/09 日本語____________________

アテネは西欧の都市で最も住みにくい街

英誌『エコノミスト(Economist)』の調査部門
「エコノミスト・インテリジェンス・ユニット
(Economist Intelligence Unit、EIU)」が実施した調査による
住みやすさのランキングが発表された。 

日本の都市では東京19位 大阪が13位
アテネは西欧の都市の中で最下位で、
全体では63位!

______________________________

トップ10位中の6都市をカナダとオーストラリアが占めています。
バンクーバー、メルボルン、アテネの中から住みたい都市を
選べといわれたら、迷わず「アテネ!」と答える私と
『エコノミスト』は考える価値観がぜ~んぜん違うってことなんでしょうね。



ギリシャの本 3

2009-06-08 | ギリシャを知る本

「ひとりの男」オリアーナ・ファラーチ:著 望月紀子:訳 講談社/1982年
Original title:Un Uomo

1984~85年 ニューヨークに住んでいた時 
フェタ・チーズやカラマタ・オリーブを買っていたなじみの
ギリシャ食料品店のオレガノやバジルの香りが充満した奥の隅っこに
ギリシャ音楽のコーナーがありました。

ダララスやアレクシウ、ヤニス・パリオスの新曲が出る度に
私はなけなしの給与をはたき、レコードやカセットテープを
その店で買いこんでいました。

そんな日本人客はきっと珍しかったのでしょう。
ある時、店主が一枚のパンフレットをくれました。
『ミキス・テオドラキス・イン・マディソン・スクエア・ガーデン』
と書いてありました。

当時の私には高額だったチケットを買って会場にいくと
端っこでしたが、一番前の席でした。

ニューヨークのクイーンズ地区には大きなギリシャ系移民の
コミュニティーがあり 小さなダイナーやピザの店を開き
年中無休で身を粉にして働いているギリシャ人がたくさん住んでいました。

マディソン・スクエア・ガーデンはそんな人たちで満員で
会場は熱気があふれていました。

マリア・ファランドゥーリが数曲唄ってから、テオドラキスが
小さな椅子を手に舞台に現れました。とても背が高い彼が運ぶ
質素な木の椅子はとても小さく見えました。

テオドラキスはその椅子を舞台の中心に置き、こういいました。
「この椅子を 今は亡きアレコス・パナグーリスの為に」
すると観客が皆 故人に敬意を払って立ち上がり、
軍事政権下で抵抗の歌として唄われた 
テオドラキスの曲ΑΡΝΗΣΗ:アルニシやΚΑΗΜΟΣ:カイモスを唄ったのでした。
今でもこれらの曲を聴くと、あのときの会場の雰囲気がありありと
想いだされます。


「ひとりの男」アレクサンドロス(アレコス)・パナグーリスを
いったいどう紹介すればいいのでしょうか。
wikipediaには詩人、政治家という肩書きがありますが、
ギリシャの独裁政権下では 彼は最も危険なテロリストでした。

他者を職業や思想、性別で規制のカテゴリ-に分けて認識し、
どれにも属さない者には危険人物というレッテルを貼るのが
世の中の常のようです。

独裁者パパドプーロスの暗殺をひとりで企てて失敗し、
囚われ、厳しい拷問を受けながらペンも紙もない獄中で、
インクの代わりに自分の血を使って抵抗の詩を書き続けた男。

メリナ・メルクーリやイレーネ・パパスの呼びかけにより
国際的な世論の圧力がかかり、パナグーリスは死刑を免れますが、
待っていたのは死ぬよりつらい終わることのない拷問でした。

軍事政権が倒れた後は、どの派閥とも相容れず
独自の政治活動を続けながら
1974年から2年間 国会議員を務めます。

最後は36歳の若さで不審な交通事故により亡くなりますが
軍事政権の保安軍に関する機密を証明するファイルを手にしていて
数日後には発表する予定であったことから
口封じのために暗殺されたと多くの人が信じ、
私もまたそう思っています。
彼の死によりファイルも真実も 闇に葬られてしまったのです。

すべてのカテゴリー分けを拒否して
自分の信念のみを希求して生きた彼の
伝記を Un Uomo「ひとりの男」という
これ以外考えられないタイトルを付けて書いたのは
アメリカのキッシンジャー長官、PLOのアラファト議長、
イランのホメイニ師など20世紀のリーダーたちへの
挑発的なインタビューで知られるイタリアのジャーナリスト、
Oriana Fallaci:オリアーナ・ファラーチです。

獄中から解放されたばかりのパナグーリスをインタビューするために
彼をアテネ郊外グリファダの自宅に訪ねたファラーチは
最初の出会いで孤独なこの男に強く惹かれます。

強烈な自我と個性を持つふたりの人間は男女として愛し合い、
同志として思想を磨きあい、蜜月を過ごし、激しい喧嘩で傷つけあい、
仲直りと別離を繰り返し、その関係は彼の突然の死で終わりを迎えます。

ファラーチはなにか不思議な力で彼の伝記を書くために選ばれ、
彼の前に現れ恋に落ちたのだ、と私には思えてなりません。
彼女の著作なしにパナグーリスがこれほど理解され、
早すぎる死の後も人々の記憶に残ったとは考えられないからです。

世界的なジャーナリストが個人として、女性として、
愛したひとりの男の生と喜び、苦悩と死を一番近くから
目撃しながら書いたこの本にはスピードと臨場感があり、
読者に一気に読み進ませる力を持っています。

彼の葬儀の場面から始まる二段組み536ページの大作を
読み終えた時、胸に響くのは、リアリスティックな政治的ジャーナリズム
という高音部の主旋律を 動かしていく愛と情熱のリズムです。

この本はギリシャの暗い時代を背景とした 数奇な運命をたどる
恋人たちの骨太のラブ・ストーリーとして読んでもらいたいと思います。
ただし 美しく哀しいメロドラマではありませんので、覚悟して・・・。

主な公共図書館で 見つかると思います。

関連する過去のブログ:
ギリシャの本 1 「ギリシャ わが愛」メリナ・メルクーリ著
ギリシャの本 2 「予兆の島」ロレンス・ダレル著

人物について:
Oriana Fallaci/英語
wikipedia:アレクサンドロス・パナグーリス/日本語



ピアフが唄うテオドラキス

2009-06-06 | ギリシャ音楽
les amants de teruel - piaf/theodorakis


歌声は エディット・ピアフです。
前ブログにも登場したΜίκης Θεοδωράκης/ミキス・テオドラキスが
1961年の映画「テルエルの恋人たち」のために作曲しました。

「テルエルの恋人たち」はスペインのアラゴン州にあるテルエル県で実際に
起こった悲劇的な恋の物語で、これに触発されたオペラや映画が作られています。

物語はスペイン版ロミオとジュリエットとでもいうのでしょうか
13世紀にテルエルの裕福な家の娘イサベルと、貧乏な男性ディエゴが
愛し合いますが、身分の違いを許さないイサベルの父親は、
ディエゴに5年の間に富と名誉を手に入れて戻ってきたら
娘を与えるという約束をします。

ディエゴが惨憺たる苦労をして財を成し、街に戻ると、まさに
イサベルは父親の選んだ名家の男との結婚式を終えたところでした。

ディエゴは苦しんで亡くなり、彼の葬儀後、姿を消したイサベルは
のち、その遺体に取りすがったまま、
息絶えていたところを発見されるのです。

サン・ペドロ教会に安置された棺の上には
ふたりの像が二度と離ればなれにならないように
手をつないで横たわっています。


どんな映画だったのか探してみましたが見つかりませんでした。


それにしても
テオドラキスの天才たる所以なのでしょうか?
ピアフだとシャンソンの香りなのに、
ギリシャ語で唄うブズーキとギター演奏のこちらを聴くと 
ギリシャ音楽の雰囲気です。不思議!

ΝταλαραςダララスとJothlyn Smithが唄う
ギリシャ語とちょっぴり英語のデュエット:Ομορφι Πολι/オモルフィ・ポリ(美しい街)