4月26日、ギリシャ籍の船はフェリーもクルーズも全て休航していました。
ギリシャ船員組合Greek Seamen Federation (GSF)が24時間ストライキをうったのです。政府がカボタージュを解除し、ギリシャの海を外国籍の船にも解放しようとしていることに反対しているのがその理由。 ERTの元の記事:英語
カボタージュcabotageとは他国業者の船や飛行機が国内運航はできない状態のことです。
ギリシャ船員組合(GSF)は カボタージュの解除が実行されると多くのギリシャ人船員が職を失い、失業率が一挙にあがると警告しています。
GSFは29日にも24時間ストを実行するといっています。それにしても、日本の連休に併せてストをすることはないんじゃないのと文句のひとつも言いたくなるのですが・・
私には複雑な思いがあります。
前政権のコスタス・カラマンリス首相のかけ声で、国内の船会社間でフェリーの就航権の規制が緩和されました。つまり、ギリシャの船会社はこぞって儲かる路線(ミコノス/サントリーニなど)に自社の船を集中させたのです。
そして、人口の少ない小さな(つまり私にとって魅力的な)島へいく便はどんどん少なくなって、不便になっていきました。旅行者には不便ですみますが、島の住民にとっては死活問題です。
ピレウスからレスボスのミティリーニへ就航していた高速船ケンデリスはもっと儲かるミコノス行きの路線に使われるようになりました。
あげくの果てに船が集中した人気路線では競争が激しくなり、現在ケンデリスはエジプトの紅海で観光クルーズに使われています。
そのあおりを受けて、レスボスに住む私の親友は、ケンデリスで働く夫に年3回ほどしか会えなくなったのです。ピレウス~レスボス航路なら一日おきに会えたのです。
給料は増えたけど、悲しいと彼女はいつも愚痴っています。配置願いをすれば、職を失うかもしれないと彼女は寂しさを我慢してきました。
定年退職後は旦那様とゆったり一緒に暮らせることだけを楽しみにしていたのに、今の国庫の状況ではあてにしていた年金もどれほど貰えるのか・・
これが庶民の感情です。会社は儲かるのかもしれませんが・・
昨年、ギリシャ最大のピレウス港の港湾は中国の会社が運営権を買い取りました。これにも反対する港湾労働者の長い闘争とストライキがありました。
そして、これからは、外国の旗を掲げたフェリーがエーゲ海を牛耳るようになるのでしょうか?
ギリシャは古代からの海運国。地中海は2000年以上も彼らの庭でした。
地中海だけでなく、コロンブスがアメリカ大陸を発見した航海の船員も多くはギリシャ人だったとも言われています。
ギリシャの産業から海運業が消える、そんな日を見ないですみますように・・