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ギリシャへ そして ギリシャから From Greece & To Greece

ギリシャの時事ニュース、文学、映画、音楽がよくわかる
ギリシャの森林再生を支援する『百年の木の下で』の公式ブログです。

カサリ・デフテーラ

2011-03-07 | ギリシャの伝統行事

Technicolour Flour War

 

カーニバルが終わった翌日はカサリ・デフテーラ Clean Monday.この日から復活祭まで肉を食べないのがギリシャ正教の伝統で、この日各家庭ではタコやタラモサラタなどを食べ凧揚げをするのが一般的な習慣です。

ただしΓΑΛΑΞΙΔΙガラクシーディというアテネから200kmほど北西の海辺の街ではちょっと事情が違っています。この街では有名な「粉戦争」が行われるのです。

東アジア一帯に「水かけ祭り」というのがありますが、こちらは「粉かけまつり」。しかし、英語でfestival:まつりでなくWa戦争と呼んでいるだけあって、とりどりの食用色素を入れた小麦粉を投げ合うグループ、逃れようとして海に落ちる人、町中が小麦粉爆弾でまさに戦闘状態。参加者にはにはガスマスクをしている人も。

去年の夏、デルフォイへ行った帰りにこの街に立ち寄って、映像に出ている港のタベルナで食事をしました。とてもかわいらしい町並みなのですが、この映像では粉煙が充満して散々なことになっていますね。

広場の周りの美しいネオクラシック建築の歴史的建物は粉爆弾の色から守るためにビニールシートで覆われているそうです。そこまでして、やるか?という気もするんですけれど・・

ギリシャ政府観光局によると、オスマントルコの占領下にあってカーニバルを祝えなかった頃、この村では暖炉の灰を塗顔に塗りつけ誰か分からないようにして集まり街の大通りを踊ったのが始まりだということです。

これがほんとうに楽しいのか、個人的にはちょっと疑問ですが・・・「楽しみで毎年参加している」と答えている人もいるので楽しいのでしょう。

すぐに雨が降らないとこの後街のお掃除が大変そうです。全くカサリ(清潔)でもcleanでもない行事ですね。

 

 


マルティス

2011-03-04 | ギリシャの伝統行事

赤と白の糸を寄り合わせたマルティス (または マルティア)

 

3月になるとギリシャでは手首にこんな紐を巻いている子供たちに出会います。2月の最後の日に母親が作って子どもの手首や足首などに付け、3月の間そのままにしておきます。

この時期から急に強くなる太陽光線からこどもたちのデリケートな肌を保護するためのお守りのようなものだそうです。

マルティス:マルティアをつけるのは人間だけではありません、美しい花をつけますようにと薔薇の枝につけたり、ポットに入れた水を太陽から守って冷たいままにしておくためとか、つばめがやって来て巣を作るようにとか、地域ごとにさまざまな意味を持っているのだそうです。

ギリシャだけでなくビザンチン時代にバルカン地方全体に広がったと考えられるマルティス:マルティアの風習の起源はきわめて古く、古代ギリシャにまでさかのぼるのではないかと考えられているようです。

そして、4月1日には子どもの手首に巻かれていたマルティスを外し、母親たちは役目を終えたマルティス:マルティアを薔薇の枝に飾ります。今度は子どもたちの頰が健康なバラ色に輝きますようにと祈りつつ・・・。

子どもの成長を見守る母親の愛情に満ちた風習なんですね。

元出/ΕΛΛΗΝΩΝ ΠΑΡΑΔΟΖΗ:ギリシャ語

 


クリスマスのカランダ

2010-12-26 | ギリシャの伝統行事

Κάλαντα Χριστουγέννων KALANTA Christmas

 

キリスト教圏では25日にクリスマスが始まりキリストが誕生した日から12夜目の1月6日までクリスマスのお祝いが続くのですけれど・・・・・・

日本ではクリスマスは25日に終わり!それまでの盛り上がりなどまるでなかったかのように、街もラジオから流れる音楽も和風のお正月ムード一辺倒になるのが残念です。

ギリシャから昨日アップされたばかりのクリスマス・カランダを聴いて、もうしばらくクリスマスの気分をお楽しみになっていただきましょうか.......

 

 

 


パスハ・ダイエット

2010-03-30 | ギリシャの伝統行事

Η δίαιτα του ΠΑΣΧΑ


パスハ(復活祭)を目の前にして、いよいよメガーリ・エヴドマータが始まりました。日本語では「聖週間」とでもいうのでしょうか、ギリシャ正教ではクリスマスよりも大切な宗教行事で、毎日聴いているギリシャのインターネットラジオも娯楽番組を減らして、祈祷や宗教的な内容が一挙に増えてきました。

ギリシャの友人たちは買い物に走りまわっています。以前は復活祭に洋服を新調したもので、日曜の教会は真新しい晴着の大人や子供でいっぱいになったものでした。日本のお正月も私の子供の頃まではそうでした。

今は日本でも、ギリシャでも、いつでも新しい服が買えるし、晴着のような装いをすることが少なくなっていますね。新しい晴着に手を通す時の、あのうきうきした気持ちがなくなったのはちょっと残念です。

ギリシャで大変なのは復活祭前の食事には制限がたくさんあることで、
とくに「聖週間」の間だけは戒律を守るという人も多くいます。

パスハ・ダイエットという映像があったので、見てみました。パスハ前の肉なしの食事メニューが次々紹介されていきます。豆、野菜、イカやタコなど、結構美味しそうです。

続いてパスハのお祝いの肉料理が登場!。マギリツァ、ココレッチ、羊の丸焼きアイスクリームとたらふく食べていると、あれ~お腹の周りがとんでもないことになり! 夏がきてビーチへ行く前に、「私にお電話ください」、という「ダイエット指導士?食事療法士?」さんのコマーシャルでした。

今日のギリシャ語 δίαιτα: ダイエット 
διαιτολόγος: 食事療法士







千年のカランダ

2009-12-16 | ギリシャの伝統行事

Διασπορά κάλαντα Βλάχικα 01


去年のクリスマスには街角のカランダを紹介したので
今年はなにか珍しいものを・・・と探していて
不思議なカランダが目にとまりました。

ギリシャ語の聞き取りには自信がある私ですが
何回聞いても歌詞が全くわかりません。

それもそのはず歌詞はギリシャ語ではなくブラキ語
(ギリシャ語ではΒλάχικα、英語ではVlachという)
だったのです。歌詞がギリシャ文字で紹介してありました。
読んでみると、イタリア語に似た音の単語が多くあるようです。

コメントの欄は想像どおり、 
ブラキはギリシャの一部とか、いや絶対にルーマニアの文化だとか
ナショナリストたちの議論が加熱していますが、
文化、音楽、言語などは国家や国境で縛れない、
縛ってはいけないものではないですか?

不勉強な私はVlachという言語の名前すらしりませんでしたが、
幸い、手近なところに言語学者がいるので尋ねてみたら
ブラキはラテン語の口語で、そのルーツは東ローマ帝国にまで
さかのぼるロマンス語族ということです。

詳しくは博士論文がいくつも書けるくらいの情報量だそうで
専門家でない私にもわかりやすく、ものすごくはしょっていうと

紀元2世紀頃 ローマ軍で戦って、手柄を上げた者は
帝国から年金代わりに領土を貰ったのだそうです。

有名な将軍などはきっと条件の良い場所を
そうでない兵士たちは 帝国の外れの方を貰ったのでしょう。

当時の帝国は広大ですから、ユーラシアや北アフリカに
ラテン語を話す人たちが一族郎党や従者を引き連れて
移住したということですね。

時はどんどん流れ、彼らはしだいに土地の文化や言語に
同化していきました。

最初は荘園を所有し、支配階級にいた人たちも 
徐々に農耕牧畜などに従事するようになります。

それでも 一部には独自の言語を失うことなく
伝えてきた人たちがいて、その子孫がフランス、
スペイン、ドナウ川流域、そして、
現在のギリシャ北部にも在するということらしいです。

もともと話し言葉だったブラキ語には文字がなかったので、
それぞれ住んでいる地域の文字を使っているようです。

分布地図を含む詳しい資料も見つけました。(英語のみ)
手近な(ごめんなさい)言語学者さんによると、
歴史言語学的に正しい資料だそうですので、
興味のある方は読んでみて下さい。
The Vlach Connection and Further Reflections on Roman History by Kelly L.Ross Ph.D


侵略、破壊、抵抗、和解、繁栄、戦争、殺戮、
衰退、全てが通り過ぎていった跡に残った「言葉」。

地上の平和を祈るクリスマスに
とてもふさわしいカランダかもしれません。


(歌詞はstixoisに移動しました)

音楽とダンスの分布や歴史に詳しい方の
ご意見も聞いてみたいものです。

それにしてもすごいなあ、こういうのがみつかるなんて。

Youtubeがあれば、もうテレビは要らないかもしれないと
最近思うようになりました。





Xios ヒオス島

2009-04-22 | ギリシャの伝統行事

Fireworks at Easter Midnight Service in Xios, Greece


Χίοςヒオス島で行われた今年の復活祭の真夜中のミサと
花火の映像が既にアップされていました。

この映像とは別にΧίοςヒオス島の谷間を隔てて向かい合う
村同士の有名な花火競争を
今年もBBCTVのニュースが取り上げていましたが、
その教会ではないかもしれません



7色のハイヒール

2009-03-13 | ギリシャの伝統行事



今朝 WebでKATHIMERINIを読んでいたら 
ちょっと気になる広告バナーが目にとまりました。

MISKOというのはどこのスーパーでも見かけるパスタのブランドです。

目を引いたのは この女性に足が7本あること!
7本の足は7色のハイヒールを履いています。

数日前にもkiyomulanさんのブログ『アテネより愛をこめて』で 
お嬢さんが幼稚園で作ってきた7本足のお人形についての
記事を読んだところでした。

肉や乳製品を節食するΚαθαρή Δεχυτέρα:カサリ・デフテーラから
Πάσχα:パスハ(復活祭)までの7週間(四旬節)を
7本の足でもって表しているのだそうです。

1週間ごとにお人形の足を1本ずつ切り取っていくというのは 
かわいそう・・・・な気もしますが そこは文化の違い。

ギリシャではきっと「ああ やっと、あと1本になったわ」
なんて思うのでしょうね。
お菓子の生地のΚιρα Σαρακοστι人形を作る人もいるようです。

MISKOのコマーシャルではこの女性はMissarakothiミス・サラコスティ。
ギリシャ語ではΚιρα Σαρακοστιで ややニュアンスが違いますけど・・

このバナーから入るHPでは肉やチーズを使わない
スパゲティーやパスタのレシピがたくさん紹介されています。


今夜 カーニバル中継!

2009-03-01 | ギリシャの伝統行事

Patrino Karnavali (Ela stin Patra!)


今日はカーニバル最終日。
ギリシャのカーニバルときたら
なんといっても有名なのがパトラ。

いつも訪問して下さるkyotakabaさんから教えていただきました。
本日3月1日 夜9:10~9:59 NHKBS『地球アゴラ』
パトラのアポクリエス:カーニバルが中継される予定だそうです!
お見逃しなく。


この映像は去年の3月1日にアップされたものです。
ギリシャでお相撲さんのでるコマーシャルが流行っていたので
力士の格好をしたグループ発見!

まだ寒いこの時期のギリシャですが
このコスチュームなら暖かいかも??
さあ今年はどんなコスチュームが観られるでしょう。


本日 お肉の日!

2009-02-19 | ギリシャの伝統行事



ギリシャは今日が今年のΤσικνοπεμπτη:チクノ・ペンプティ。
動物性の食物を避けるアポクリエスを前にして、
文字通りたらふくお肉を食べまくる木曜日です。

ギリシャの街には肉専門のレストランがたくさんありますが
その店先では今日は普段に増して
木炭が真っ赤に燃え その上で 
大量のお肉が 実に盛大にローストされます。

なんだか街中が肉を焼く煙で充満しているような感じがするくらい。
匂いに誘われるのは人間だけではありません。

ノラ犬たちもこの日は朝からそわそわ、
お店の回りをうろうろして
ごちそうのおこぼれを辛抱つよく待っています。

ナクソス島の真ん中にあるΦΙΛΟΤΙ:フィロティという村で行われる
チクノ・ペンプティのお祭りのポスターがwebにありました。
大きな画像を見たい方はこちら

ポスターには_______________________


たっぷりのロースト肉! 
伝統音楽の演奏! ダンス! すべて無料!

『忘れられない一日を過ごしに 
みんなフィロティへいらっしゃい!』 
_______________________________

バンドにはバグパイプ奏者もいるようです。

いいなあ・・・・楽しそう・・・・・・
今すぐ飛んで行きたくなりました。


ヒオス島の復活祭

2008-04-29 | ギリシャの伝統行事

PYRGI

ヒオス/Xios島はエーゲ海の東北に位置し,
私の第二の故郷レスボス/Lesvos島の南にあります。

天然のマスティハの産地として知られ
メスタ/Mestaやピルギ/Pyrgiといった
美しい中世の村がそのまま残されています。

上の写真はピルギです。白とグレーの
幾何学模様で装飾されたこの村の建物は
静寂と饒舌を同時に表現したような装飾美です。

 
この島の復活祭では谷間を挟んだ二つの集落がお互いの教会の鐘をめがけて
大量のロケット花火を打ち合い、より多く鐘を鳴らした方が勝ちという行事がとても有名で、多くの観光客も訪れます。

毎年ぼや騒ぎが起こりますが、住民は伝統の行事をやめるつもりはなく
今年もおおいに盛り上がったようです。
2008/4/28 FNNニュース映像はこちら
昨年の映像では威勢よく鐘が鳴り響いています。


寒中水泳?

2008-01-08 | ギリシャの伝統行事


1月6日のナフプリオンの気温は最低1℃、最高10℃。
この光景を最初に見たのは33年前のピレウス港だった。
寒さよりも、重油が浮いた港の水に飛び込む勇気(?)に驚いた。
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KATHIMERINI 2008/1/7

1月6日 ナフプリオン/Nafplionの港。
公現祭の儀式でArgolidaのIakovos 主教が投げ込んだ木の十字架を追って、今にも飛び込もうとしている若者たち。

祝日のこの日ギリシャでは、全土の川岸や海辺、湖畔などに人が集まり、ギリシャ正教の主教らが同じような儀式を執り行って12夜を祝う。

十字架を取った者が一年間の健康と幸運を約束される・・・・という。

全訳:かわまさ