Karpathos. "Monovasia"
これほど楽しそうなパーティーの映像を見たのは久しぶりのような気がします。テーブルを囲んだ男性が、女性たちの手拍子とかけ声にのって順番にウゾ(チプーラかも)やワインを一気飲みしながら唄い続けます。今すぐこの村に行って、一緒に手拍子したくなります。
最初古い時代に設定して撮った映画なのかと思いましたが、違いました。
日曜の正午に放送していた(今も放送中かもしれません)ドキュメンタリー番組-Ο ΤΟΠΟΣ ΚΑΙ ΤΟ ΤΡΑΓΟΥΔΙ ΤΟΥ-「ある場所とその歌」の一部です。
どうしてこんなに懐かしい感じがするんだろうと考えていて、ハッとしました。女性たちの髪がみんな黒い(濃い)のです。眉も濃くて美しい橋のようで、髪は黒々としています。
初めてギリシャに行った頃、ギリシャの女性はこんな感じだったように思い出します。北部へいくと実は金髪の人が沢山いるはずなのですが、あまり見かけることはありませんでした。
というのも、女性のほとんどがこの映像にもあるようにスカーフで髪を覆っていたからでした。今、街に金髪の人が増えた理由は、頭にスカーフを巻かなくなったことと、女性の多くが髪を染めるようになったということなのでしょう。
さて、皆さんはこの島が、海の真ん中にあるので(ロードスとクレタのちょうど中間くらい)外からの影響を受けないで、昔から伝統を守ってこられたのだろうと思うかもしれませんが、全くそうではありません。
カルパトスはホメロスのイリアッドにも登場する島で、紀元前5世紀にはスパルタ軍と戦い、隣のロードス島と戦い ローマ軍の手に堕ち、ビザンチン帝国の一部となり、都市国家ジェノバに支配され、そこへベネチアが取って代わり、16世紀にはオスマン帝国のものとなります。この時代に島の荒廃が進み、1948年にギリシャとなる頃には、産業もなく、多くの人たちが新天地アメリカに移住したのでした。
ところが現在は資産を持って帰郷する人が増え、島の教会も再建され、古いコミュニティーが復活しているのです。
彼らはかたくななほどに伝統を守ろうとしていることでギリシャでも有名です。ギリシャという国はこの半世紀で大きく姿を変えましたが、外の世界を知った人たちが、離島に回帰し伝統へ戻ろうとしているのは興味深いことだと思います。
O topos kai tragoudi tou (土地とその歌) 村の婚約式の一部始終を取り上げた番組全部を観られます。全体で24分あります。ナレーションはギリシャ語のみですが、画面で内容は理解できると思います。とてもいいドキュメンタリーです。