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ギリシャへ そして ギリシャから From Greece & To Greece

ギリシャの時事ニュース、文学、映画、音楽がよくわかる
ギリシャの森林再生を支援する『百年の木の下で』の公式ブログです。

黒髪

2011-01-31 | ギリシャから

Karpathos. "Monovasia"

 

これほど楽しそうなパーティーの映像を見たのは久しぶりのような気がします。テーブルを囲んだ男性が、女性たちの手拍子とかけ声にのって順番にウゾ(チプーラかも)やワインを一気飲みしながら唄い続けます。今すぐこの村に行って、一緒に手拍子したくなります。

最初古い時代に設定して撮った映画なのかと思いましたが、違いました。

日曜の正午に放送していた(今も放送中かもしれません)ドキュメンタリー番組-Ο ΤΟΠΟΣ ΚΑΙ ΤΟ ΤΡΑΓΟΥΔΙ ΤΟΥ-「ある場所とその歌」の一部です。

どうしてこんなに懐かしい感じがするんだろうと考えていて、ハッとしました。女性たちの髪がみんな黒い(濃い)のです。眉も濃くて美しい橋のようで、髪は黒々としています。

初めてギリシャに行った頃、ギリシャの女性はこんな感じだったように思い出します。北部へいくと実は金髪の人が沢山いるはずなのですが、あまり見かけることはありませんでした。

というのも、女性のほとんどがこの映像にもあるようにスカーフで髪を覆っていたからでした。今、街に金髪の人が増えた理由は、頭にスカーフを巻かなくなったことと、女性の多くが髪を染めるようになったということなのでしょう。

 

さて、皆さんはこの島が、海の真ん中にあるので(ロードスとクレタのちょうど中間くらい)外からの影響を受けないで、昔から伝統を守ってこられたのだろうと思うかもしれませんが、全くそうではありません。

カルパトスはホメロスのイリアッドにも登場する島で、紀元前5世紀にはスパルタ軍と戦い、隣のロードス島と戦い ローマ軍の手に堕ち、ビザンチン帝国の一部となり、都市国家ジェノバに支配され、そこへベネチアが取って代わり、16世紀にはオスマン帝国のものとなります。この時代に島の荒廃が進み、1948年にギリシャとなる頃には、産業もなく、多くの人たちが新天地アメリカに移住したのでした。

ところが現在は資産を持って帰郷する人が増え、島の教会も再建され、古いコミュニティーが復活しているのです。

彼らはかたくななほどに伝統を守ろうとしていることでギリシャでも有名です。ギリシャという国はこの半世紀で大きく姿を変えましたが、外の世界を知った人たちが、離島に回帰し伝統へ戻ろうとしているのは興味深いことだと思います。

 O topos kai tragoudi tou (土地とその歌)  村の婚約式の一部始終を取り上げた番組全部を観られます。全体で24分あります。ナレーションはギリシャ語のみですが、画面で内容は理解できると思います。とてもいいドキュメンタリーです。

 

 


ギリシャ経済と日本の経済

2011-01-28 | ギリシャから

スイスのダボスで   世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)に参加しているパパンドレウ首相はギリシャがデフォルト(債務不履行)に陥る可能性も、債務再編を迫られる可能性もないと言っています元の記事 : President Reuter:日本語

ところが、ブルームバーグの調べでは世界の投資家は、5年以内に少なくともひとつの国がEUから離脱し、アイルランドとギリシャはデフォルト(債務不履行)に陥ると予想しているそうです。元の記事bloomgergco.jp:日本語

ギリシャよ、大丈夫かと心配ですが

もうひとつ気になる記事を見つけました元の記事共同PRワイヤー:日本語

グラント・ソントン社が非上場企業を中心とする中堅企業経営者を対象に景況感、つまり自分の会社の経営は今年どうなると感じているかという調査を主要国でしたところ、表にある26カ国の中でギリシャは22位で景況感はマイナス44なのですが、日本はギリシャよりもアイルランドよりも悪く、最下位。マイナス71。

これはショックです。大丈夫ですか~私たち?

 

 


ウィーンでKavafis

2011-01-26 | ギリシャから

 

以前にこのブログの2010/2/25でもお知らせした 「カヴァフィス・プロジェクト2011」の日程が発表されました。

 

ギリシャの詩人カバフィスの詩にAlexandros Karozasが曲をつけダララスが唄います。そしれにしても、すごいサブタイトルがついています:Contemporary Classical Greek Music!!( 現代クラシック・ギリシャ音楽)!!!これを見ただけで、行きたくなってしまいました。

2011年11月26日オーストリア・ウィーンのコンサート・ホールKonzerthaus。公演はこの一回だけ。

このころヨーロッパにいる予定なので、もしかすると観に行ける......かも?実はウィーンには知り合いも住んでいる.....でもこういう席に着ていくドレスがないです....

 いっそ着物で行く??真剣に考えてみます。

詳しい案内はこちら 英語/ドイツ語 (チケットはまだ発売されていません)

カヴァフィスを読みたい方には

カヴァフィス全詩集 コンスタンディノス・ペトルゥ カヴァフィス著 中井 久夫氏訳

カヴァフィス 詩と生涯 ロバート・リデル氏著、茂木 政敏氏、 中井 久夫氏訳

をお薦めします。

 

 


値上げに対抗

2011-01-23 | ギリシャから

2月1日から公共交通機関 バス、メトロ、トロリーなどが40%の値上げになるという事「値上げの嵐」を先日書きました。その続報です。このままでは収まらないだろうとおもっていたら案の定、不払い運動が起っています。

金曜日からシンタグマとピレウスの駅前では、今回の値上げに反対する市民団体が、利用者に料金の不払い(切符に刻印しない)を呼びかけています。

photo by Athens news

しかしアテネ公共交通局はこの運動が広がると、さらなる値上げに繋がると警告しています。

それにはギリシャならではの事情があります。

ギリシャのメトロや電車の改札は切符を買って、構内にある刻印機で日時をスタンプするだけ。(バスは車内にあります)日本の自動改札のようにホームへの侵入を拒む物はありません。検札係が乗り込んで来て、切符を持っていなかったり、持っていてもスタンプを押していなかったりすると、罰金をとられるというシステム。

罰金は高額で60 ユーロでしたか。8000円くらいです。外国人だからとか、スタンプを押すシステムを知らなかったとかいっても、いっさい情状酌量はありません。

そして、今の切符にはアテネでは90分、テサロニキでは70分の有効期限が有り、その時間内なら何度乗っても構わないようになっています。

チケットを買った人が目的地に着くと、降りたところで待っている人にチケットをあげてしまうので、現在、バスの乗客のおよそ40%は無賃乗車なのだそうです!

これ以上チケットの不払い運動が進めば、交通局側は検札の人員を増やしたり、日本のような改札を設置するために巨額の資金を投資しなければならなくなり、また値上げせざるを得なくなるというのです。

さあ、どちらに理が有ると思いますか?

それにしても、身も知らぬ通りがかりの人にチケットをあげるなんて日本ではあまり考えられないですが、ギリシャなら充分ありえること。実は私も貰ったことがあるのです。良い人たちだな~と思いましたよ。


提案

2011-01-18 | ギリシャから

2011年03月12日(土)~2011年06月12日(日)  

神戸市立博物館で古代ギリシャ展が開かれます。

ポスターを見てお気づきのように『大英博物館』というのがついています。

つまり大英博物館に収蔵されているギリシャの美術品を公開する訳ですが、これらの中にはギリシャ政府が返還を要求している物がおそらく含まれているでしょう。

アクロポリス・マーブル(エルギン・マーブルという持ち去った人の名を付けた呼び方もギリシャは断固拒否しています)を筆頭に、大英博物館のギリシャ彫刻の多くはギリシャから許可なく持ち去られたものです。

 

またルーブル博物館にはミロのビーナス

photo by wikipedia

photo by wikipedia

サモトラケのニケなどがあり、ギリシャはそれらの返還も求めています。

美術品を借りて展示する場合にはそのレンタル料金が発生しているはずです。神戸市立博物館がいくら払うのか詳しいことはわかりませんが、、、、。その中からたったの1円もギリシャに還元されないのは、おかしなことだと思いませんか?

大英博物館もルーブル美術館も、自分たちに所有権が有ると主張してギリシャにレンタル料などを払っていません。

窮状にあるギリシャに、せめて、これまでのレンタル料だけでも払ってあげてはどうでしょう?100年経っていますので、年100万ユーロx100年としても、最低一億ユーロ位にはなるでしょう。ギリシャの美術館運営や遺跡の保全の費用に使えば良いと思います。

勝手に持ち帰って返さないというのなら、それくらいしても良いように思います。

そして、ゲーム市場に毎年のようにリリースされるギリシャ神話を元案にしたゲーム、「トロイ」など莫大な利益を上げたハリウッド映画の収益からも数%の使用料をギリシャに支払うというのはどうでしょう。ギリシャに対するリスペクトとして、それくらいの配慮があってもいいのではないかしら?


美しい橋と麗しい眉

2011-01-15 | ギリシャから


Photo by ANA-MPA

ギリシャというとエーゲ海ばかりが注目されますが、実は北部には美しい山間部があります。

そして、そういう山間の流れにかかっているのが古い石の橋です。ギリシャには石や大理石の建築物に長い伝統があり、優れた技術が受け継がれてきました。

 このような美しい石の橋が観られるエリアはΓΡΑΜΟΣ/グラモス山とΣΑΡΑΝΤΑΠΟΡΟΥΣ/サランダポロス川流域、ΤΖΟΥΜΕΡΙΚΑ/ズウメルカ、ΔΥΤΙΚΙ ΜΑΚΕΔΟΝΙΑ/マケドニア西部、ΑΡΚΑΔΙΑ/アルカディア、ΗΠΕΙΡΟΣ/イピロスなどです。
機会があればぜひ北部へも足をお運びください。思いがけないギリシャに出逢えますよ。

そしてもうひとつ忘れてならないこと、ギリシャでは美しい眉を「橋」に例える習慣があります。「橋のような眉」という歌詞は古い歌によく現れる表現です。

きっと、この写真のようになだらかな橋を意味しているのでしょうね。


値上げの嵐

2011-01-11 | ギリシャから

Photo by Kathmerini

2月1日から公共の交通機関メトロやバス、トロリーなどの料金が1ユーロから1.4ユーロに値上げされます。一度に40%の値上げというのはこの数年なかったことです。

経済危機に苦しむギリシャ。失業している人が増え、年金は減り、生活費が上がる。街に出ればストライキや、爆弾騒ぎ。楽しい訳はありません。

でも、ちょっと驚いたのは、Kathmeriniの国際電子版に出ていたこの写真です。テサロニキのバスの中で、値上げ反対をメガフォンで叫ぶ人という説明がついていました。

バスに乗り合わせた乗客がおとなしく席に座っているのは、新聞記者が写真を撮っていたからなのでしょうか?

日本でこんな人が乗車してきたら、車内でもめ事が起るのは必至、すぐに警察に通報されるのではないかしら???

 

公共交通で思い出したのは、昨年来日したギリシャ人の知人が、日本の電車バスの料金が高いのにびっくりしていたことです。彼が一週間分の交通費と思ってスイカにチャージした金額は日暮里、浅草、銀座、お台場、新宿と移動している間に、一日でなくなってしまったのです。

「日本の人が一生懸命長時間働くのは、交通費を払うためなんだね?」とまじめな顔でため息をついていた彼。それもそのはず、値上がりしても1.4ユーロなら150円くらいです。そして、最初に改札を通ってから90分以内なら何度でも、乗り換えることができるのですから。

日本の交通機関は確かに便利だけど、どこか間違っているなぁ

それにしても、この写真の後どうなったかとても気になります・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 


イリオスと太陽

2011-01-05 | 百年の木の下で

Σαμιωτισσα_Samiotissa

クリスマスのお祝いは、実は南から来たキリスト教が、光がうまれる(日照時間が長くなる)のをお祝いする北ヨーロッパの古い信仰と融合して、冬至の翌日になったのだという説をどこかで読んだ事があります。

その説をまるで裏付けるかのように、毎日陽射しが高く長くなっていくのを実感しています。太陽の光はなぜこんなに気分を浮き浮きさせるのでしょうか?今はまだ遠慮気味の太陽が空気を暖め、花のつぼみを膨らませ、人々の顔に微笑みをもたらす3月には大きなイベントが私たちを待っています。

「太陽」をギリシャ語では「イリオス」と言います。そして上の映像で演奏しているのが日本ではとても珍しいギリシャ音楽を演奏できる ”コンパニア・イリオス” です。(上の映像はオフタイムですし場所も個人宅ですので、ライブ会場での演奏とは比べられませんが..)

2008年2月の「第一回ギリシャ村の午後」、2008年10月の「第二回ギリシャ村の午後」で大活躍してくれて以来、めきめきと実力をつけて、近頃では大使館や観光局などのイベントにも何度も出演するようになりました。音楽を良く知るギリシャ人の友人からも現地のフィーリングがあるとほめていただきました。

 

そのコンパニア・イリオスから皆様へ本格的なライブのお知らせです。

 

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"ΗΛΙΟΣ日和(イリオスびより)"
- Bouzouki, Guitar, Clarinetに乗り歌い巡る、ギリシャ古今東西 -


日時:2011年3月13日(日)
12:30開場、13:00開演(15:30頃まで)

場所:アコースティックライブハウス
"Next Sunday(ネクストサンデー)"
東京都杉並区阿佐ヶ谷南1-25-23 第一横川ビルB1
http://nextsunday.jp/

料金:2000円(1ドリンク込み/森林保護寄付金込み)
※中学生以下は500円(寄付分のみ)


演奏:Kompania ILIOS
......mao(vocal, guitar) 藤田隆二(bouzouki) トコ(clarinet)
他、ゲスト予定

お問い合せ/ご予約:Kompania ILIOS(コンパニア・イリオス)
e-mail kompania_ilios@yahoo.co.jp

 

昨年まで、たくさんのギリシャ人やキプロス人と出会う機会に恵まれ
ギリシャ大使館からのご依頼もいただくようになり
レパートリーも少しずつ増えてまいりました。

しかしながら、なぜか非公開のイベントが多く
少々寂しさも感じていました。
今回は、日本にお住まいの、お友達になったギリシャ人、キプロス人
そしてギリシャやキプロスを愛する皆さん、関心をお持ちの皆さんに
たくさん集まっていただき、たっぷりと音楽に浸かり、
時には一緒に歌い踊っていただきたいと考え企画しました。

様々な地域の特徴ある民謡、伝統歌、また、
ギリシャ演歌といわれるレンベティカ等の名曲の数々を
ご紹介したいと思います。

さらに、ギリシャの山火事被災地を支援するプロジェクト
「百年の木の下で」とも連携できることになりました。
入場料のうち500円分を寄付とし、
今夏も支援した「EDASA」(森林保護ボランティアグループ)へ
「百年の木の下で」を通じて贈らせていただきます。

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入場できる人数には制限がありますので、ご予約をお薦めいたします。

唄って踊って楽しいギリシャ音楽の生演奏をぜひお見逃しなく。

ご予約/お問い合わせは「百年の木の下で」事務局でも受け付けております。

hyakunen-noki@hotmail.co.jp

 



フローニァ・ポラ!

2011-01-01 | 百年の木の下で



新年あけましておめでとうございます。

 

私の生まれ故郷は四国の松山です。

東京から飛行機で帰省する時は、できるだけ窓際の席になるようにお願いします。機体は広島のあたりから高度を降ろし、鏡のように穏やかな瀬戸内海の上にのんびりと浮かんでいる島々を見下ろしながら飛び、見覚えのある島影の愛島や鹿島、興居島それぞれにまるであいさつでもするかのように松山空港に近づいて行くのですが、その光景はエーゲ海の上を飛んでアテネやレスボス島に行く時に窓から見えるそれととても似ています。

小さな空港の建物から出るとすぐ目の前にみかん山があり、黄金の果実をたわわにつけています。高層ビルに遮られない広い空は乾いてどこまでも青く、朗らかな人たちがのんびり暮らしている街の中央には小高い山があります。街のどこからでも見える頂上のお城の天守閣に登ると瀬戸内の島々が見渡せます。

私のギリシャを愛する気持ちの底には、このふるさとがあるのではないかと年を追うごとに思うになってきました。

原点に戻って、もう一度ギリシャのことを考えてみたいと思っています。

今年もどうぞよろしくお願い申し上げます。