( 8½ )(39)VR奥儀皆伝 TP-VR Attract. 謎解き・テーマパークVR Web版

2021-11-01 | バーチャルリアリティ解説
Number39 / パーク VRアトラクションの実作 〈後編 ③-10〉
                          【( 8½ )総目次 】
 「桃山 / 江戸 / 日本人」そして「博士の勘違い」(10) VR之極意:③

 《( 8½ )の俯瞰図》

   現在、私たちは「Ⅴ.『VR起雲閣』を研究している意味」にいます。
   『VR 飛雲閣』の(26)では豊臣秀吉が 能を舞いました。 おそらく、
   秀吉は 信長の美意識(35)を かなり意識して真似て、治世方針を社会実装しています。

 Ⅰ.『バーチャルリアリティ学』の 7.2.4. +(1)CYBERSPACE (2)VRの定義 ((11)も参照のこと)
 Ⅱ. 優れた作品開発のための VR開発のヒント:
(3)~(11) (15)~(17)((27)(28)(29)からリンク )
 Ⅲ. テーマパークとは何か?:
(11)(16) (+ DL・TDL の謎(18)(19)(20)(21)(22)
 Ⅳ.『BODY WARS』の機構と建屋を使った『VR 飛雲閣』の実作:
(23)(24)(25)(26) そして、
 Ⅴ.『VR 飛雲閣』を研究している意味 へと
(30)から 続いています。

 Ⅵ. Ⅴと密接に関わりますが『薔薇十字団物語』を始めました。
(38)

 《 本Blogの 今回の頁は引用できます。本頁は近く鋳型化されます。2021.11.xx 鋳型化ここから 》

 〇 醍醐の花見 (1598年 旧暦 3月15日)

 1598年の8月に 秀吉が亡くなり、関ケ原の戦いが 1600年に起こります。ところで この秀吉最後の年 98年の(太陽暦に直すと) 4月下旬に、豊臣秀吉 最後の 一大イベント「醍醐の花見」が 京都で挙行されました。もともと 桜の名所の 醍醐寺には、この日のために追加して 700本の桜が 吉野などから移植され、ちょうど満開に咲いていたので それはそれは 見事な花盛り。秀吉は、大名の奥方など 1300人の女性を全国から この寺に招待して、参加者全員に 3枚の着物の用意(つまり、途中で 2度のお色直し)を命じました。
 このイベントは 大成功。この日の 秀吉たちの和歌が、今も「短冊帖」醍醐寺に残されています。

 この秀吉の花見が起源で「桜の下に毛氈を引いて 花見をする習慣」が 全国に広まりました。


 「醍醐の花見」 前田利家とまつ の待つ醍醐寺に、秀吉が、正室の 寧々、淀君(秀頼の母、側室)、松の丸(側室)、そして 1300人の女性たちを連れて到着したところ(想像図)です。桜の木の移植だけでなく、見事な庭園も このときまでに整備させました。((36)の挿図を再掲しました。) 

 招待された奥方の夫(大名)たちは、この日、家臣たちと道路の交通整理などの裏方にあたったとされています。それで、このパーティの男性客が 秀吉と前田利家の二人だけだった、というのは、おそらく 利家の妻「まつ」が、この日の イベントの細部や、料理を取り寄せる料亭の選択などの総てに「総監督」としてアイデアを提供していたからでは、ないでしょうか。私の想像ですが、もう「自分の寿命は 長く ない」と感じていた 晩年の秀吉は、豊臣家の家督の安泰(事業継承)に悩みました。相続人の 秀頼が、まだ 4歳(もうすぐ 5歳)という事が 一番の気がかりだったのです。

 この花見についてですが、もしも、大名たちを招待して酒宴を催せば、

 「子供が あんなに小さいのだから」自分が 戦争(いくさ)を仕掛けてやろうと考える 外様大名が出てくる、かも知れません。しかし、刀狩令などの 軍縮による平和を政策としてきた秀吉は、大名の奥方たちを招待しました。
   「子供が あんなに小さいのだから」自分たちで 豊臣家と秀頼様を 守ってあげよう
と考える母性に期待をしたのでしょう。

 奥方たちは、夫の京都出張のたびに「自分も 都に観光や 買い物のために連れて行け」と ねだっていたはずです。夫は「ばか、いくさだぞ」と断っていたでしょうから、「こんどの 太閤様主催の 醍醐寺のパーティに、着物 3着を用意して出て参れ、とのお達しぢゃ」と奥方に伝えた時には、狂喜乱舞されて さぞ面目を施した(秀吉の下にいて良かった と思った)ことでしょう。さて、今の太陽暦で 4月の この日の醍醐寺は、見事な花盛りでした。これを、和歌の用語では深雪山」みゆきやま と呼んでいて、雪が深く降り積もった山奥の景色のように 桜が重なりあって咲いている 様子を愛でたのだそうです。

 このパーティは 1300人の上流の女性が招待された「桜を観る会」でした。各藩から参加した上級武士の奥方たちの「着物姿」は、非常に あでやかだったと想像されます。東宝映画『細雪』(1983年)の 4人の和装だけでも十分に美しい場面でしたから、その日の醍醐寺の美しさは 例えようも無かったことでしょう。お茶も おいしく頂戴でき、想像ですが、京都の有名料亭の仕出し 弁当 も豪華だっただろうと思われます。
 この日の歌会から、二首を挙げておきます。

   あらためて 名を替えてみむ 深雪山 うずもる花も あらわれにけり
                        豊臣秀吉 (醍醐花見短冊帖)
   桜の名所として有名な醍醐寺だが、今日は満開で、まるで雪が降り積もった深山のようだ。
   気が付けば、普段は 城の奥深くや 遠国に咲いて、雪(夫たち)の陰にうずもれている
   見事な美しい花々が、はるばる京都の寺に集まってくれた。歓迎しているよ。

   ともなひて ながめにあかじ 深雪山 帰るさ惜しき 花のおもかげ
                        北政所 (醍醐花見短冊帖)
   (正室の 寧々さんです。あなたと一緒に 飽かず眺めている、本当に見事な満開の桜です。
   このままずっと ここにいて、帰りたくない と思っている今の 私の気持ちを、
   これから何度も 天下人 秀吉様の一日の良い思い出として、思い出していることでしょう。

 これを書いていて気が付きましたが、外様大名の奥方を「人質に預かる」と関白が言えば、その奥方は涙に暮れて 夫や子供と水盃 みずさかずき です。軟禁されて、戦争になれば 殺されます。しかし、醍醐の花見のような先例があれば、もし豊臣家が「奥方を人質に差し出せ」と言って来ても、
 奥方は水盃を交わしながら 旦那には「謀反をするな」と釘を刺し、
 釈放されて京都から帰る時には、お土産 に何を買おうかしら と考えます。 ともあれ、

 「醍醐の花見」は大成功。大名の奥方たちは、旦那にねだって京都土産をしこたま買い込んで、帰路につきました。彼女たちは、全国の藩に戻りました。それで、花見で毛氈を敷いて お弁当を食べたり野点をする習慣が、このときから一気に 全国に広まったのです。
 好景気になると、秀吉にとって心配になるのが、外様大名の秘密裏の武装増強です。しかし、奥方が新しい着物を旦那に ねだったり、庭をきれいにして欲しいと望めば、少なくとも 大名の戦費から 奥方が贅沢した分だけ削られることになったでしょう。

 大国の 現代国際政治においても、こうした感覚の政治家が出て来て欲しいものです。

 ※ 「VR 醍醐の花見」などの桃山文化の VR化で 一番 悩むのは 着物の柄と食べ物です。改めて記します。

 ◇ 「薔薇十字団物語」第2回

 前回の第1回(38)では、

   
・ ウィーナー博士が『サイバネティックス 第2版』の日本版前書きに書いた定義、

   ・ ディー博士の「数学への序説」から「航海術」

を、比較しました。違いが、分かりましたか ?

 ウィーナー博士は「一隻」、ディー博士は「船団」十分な船舶でした。

 ウィーナー博士『サイバネティックス』サイバネティックスは、与えられたコースに最も近い航路を進むようにするために、船が、風向や海の状態によって舵をうまくとることです。/ ディー博士「序説」から「航海術」「与えられた二地点間を、航行可能な最短のルートと最適な方角及び最短の時間で 十分な船舶でもって航海するための技術を ・・・。」(38)

 工学教育では、例えば 高橋安人著『システムと制御 第2版上巻  169頁くらいまでを 参照して 「工場の 1プラント、船なら タンカー 1隻」を例に フィードバック・システム が 教えられています。それは 説明を 理解しやすくするための、単純化です。

 一般システム理論の説明は、最初のページから フィードフォワード であるべきでした。ベルタランフィ著一般システム理論に書かれている「フィードバック」の説明は、最初から最後までフィードフォワードです。
 ( 例えば、ガンダムに乗った アムロ・レイと「仲間たち」のように )システムの開発者・スポンサー・操作者  共通の目標に向かって進む システムです。フィードフォワードの理論だから、 生体を数理モデルで解釈することや 機械とのサイバネティックな融合 が可能になるのです。

 一般システム理論は、設計者・運用者・操作者が 全員で 共感・共労できる 魔法でした

 ※ ジョブズ氏の IPhone では、システム開発者・Apple(運用者)・コンテンツ作者・ユーザーが 共感・共労できます。

   一般システム理論の「源流」は、
   貿易の 船団や  海戦の 艦隊、陸路を進む 隊商 のための(十分な船舶の)制御
   でした。
   船団には スポンサーがいて、各船ごとに船長がいました。
   提督が、隊長が、星を読んで 一行の行進を指揮しました。
   機構や プロセスは、最初から 複数(多変数)だったのです。

   ディー博士の「序説」での説明は、船団十分な船舶についてです。
   
荒海を超えた 船団が、仮に 途中で 離ればなれになっても、
   アストロラーべ(30)星を頼りに再集結を 試みます。

   ※ 北極星は、地球の自転軸にほぼ沿っているので、天空で動きません。
   精度の高い 星座の運行表 の用意で、アストロラーべが 船の正確な位置を教えてくれます。
   ディー博士は、荒海での 実戦時の艦隊の フィードフォワード(魔法)を講じました。


 『トラファルガーの海戦』 Turner (1806–08) 『美女ありき』That Hamilton Woman (1941) 

 高橋安人著『システムと制御』は、文献も索引も下巻なので、まさか上巻だけ(それも途中までだけ)読まれるとは出版社も思わなかったことでしょう。ベルタランフィの「フィードバック」がフィードフォワードの意味であることに気づいた後には、高橋先生の下巻が 一気に頭に入ります。ウィーナー博士の「フィードバック」については、「工場システムの 設計者」が それをフィードフォワードの意味だと気付かずに 奴隷労働の工場に使いました。工場労働者の多くが、神経衰弱になりました。

 ※ ベルタランフィ氏は、初等数学でフィードバックを解説しました。多変数の数式の説明が難しい からでした。 
 親切心から 先人が説明を簡単にしたのに 悪乗りして、利益の大きな 奴隷労働に これを活用する人が増えました。
 フィードバックは、自分の良識に(給料のために)蓋をして 奴隷労働に殉じる、創造力の墓場です。

 ※ (27)に載せた「フィードフォワード制御」の図を再掲しておきます。

 (上図は、坂本賢三氏の図の「有機体論=目的 と化生論が重なった 錬金術」の説明に当たります。そこに補強目的で「機械」を組み合わせると サイボーグです。従って、一般システム理論 = サイバネティックス = 観客が操作するVR であることが、ここの説明だけで 論証できた ことになります。)

 ですから、GAFAMの後追い研究は、間違ったフィードバックです。GAFAMの イノベーティブな目標から、一部の「交換部品」だけに着目して、AI・VRシステムの ごく一部の その修理・交換について、安い奴隷労働の下請けに運用を投げて 利益を稼ぐ「模倣研究」だ、と 世界から誤解されます。

   《 鋳型化ここまで 》
   フェロー武田 「『薔薇十字団物語』第2回 + 醍醐の花見」(VR奥儀皆伝(8½)(39)
   Blog TP-VR Attract.のトリビア 2021.11.xx

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 ※ 秀吉の「醍醐の花見」に、各藩から参加した上級武士の奥方たちの「着物姿」は、とても 美しかったと想像されます。例えば、秋田藩からは「佐々木希さん、藤あや子さん、加藤夏希さん、伊藤綾子さん、生駒里奈さんなど」に似た多数の美人が参加した筈です。福岡藩からは「田中麗奈さん、浜崎あゆみさん、山本美月さん、今田美桜さん、牧瀬里穂さんなど」に似た きもの美人が 上京してきたことでしょう。
 下左は和装美人の写真です。右の CMは、80年代の終わりに大きな話題になりました。


 お茶事 の 付け下げ (右)現代ビジネス _ 講談社
 いいなCM JR東海 X'mas Express】 1989年 歌は山下達郎さん。

 ※ 京都の 歴史ある一流 料亭のお弁当が、京都駅ビル 地下2階の お弁当売り場で買えます。文政の昔から続く老舗料亭『菱岩』 の お弁当(5400円 要予約)も売られていて、「大名主催の花見」などでは、このような お弁当が用意されていたのでしょう。
 ※ NHK『美の壺』では、菱岩のご当主が お弁当を詰めるときのコツを伝授して下さいました。(懐石料理で「迷い箸」は厳禁ですが、)お弁当では「迷い箸」を わざと起こして「さて、どれから食べようか」と選ぶ時間が楽しめるように詰めるそうです。
 

 画像借用元:『紫野和久傳』の 鯛ちらし (2700円)

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