VR奥儀皆伝( 8½ )謎解き・テーマパークVR Web版( 8½ )[6]

2020-08-29 | バーチャルリアリティ解説
「科学思想の源流をさぐる」第六回(坂本賢三講演記録 pp.72-77)
                          【( 8½ )総目次

p.72

p.73

p.74

p.75

p.76

p.77

第一回(pp.42-47)第二回(pp.48-53)第三回(pp.54-59)
第四回(pp.60-65)第五回(pp.66-71)

 ※ (故)坂本賢三氏(1931年-1991年)の膨大な文献資料(数千冊)は「坂本賢三蔵書目録」に整理されて、現在、桃山学院大学附属図書館に寄贈され配架されています。例えば、F・ベーコンを研究するのだったらベーコンが書いたラテン語などの書物を原文で読むべきだ というのが坂本先生の持論で、ネットが未発達の時代でしたので、海外の大学などで綿密に校訂された最良のテキストを多数、蔵書されていました。先生の研究室の書棚では、パスカルや F・ベーコン、ヘーゲルなどの原文テキスト刊本や、ドイツのヘーゲル学会の立派な印刷物なども目にしました。英独仏 ラテン語 アラビア語は、科学史の研究には必須なので 原文で文献を読めるまでに相当 勉強しておられました。(『創世記』冒頭のラテン語訳を坂本先生が解説して下さり、文科系の先生や学生数人が読めないラテン語のコピーを頂いて拝聴するという、ぜいたくな坂本研究室のゼミもありました。もう少し真剣に参加しておけば良かったです。)また、三枝博音訳『デ・レ・メタリカ』の豪華本や 三枝博音著作集をはじめ 日本古来の科学技術史の諸文献、それから、ご専門の物理学史の関連なども豊富にありました。1991年までに出版された書籍で、化生論・ヘルメス科学関連の この分野に欠かせない研究書は、桃山学院大学(坂本先生が図書館長をされていた大学です)まで出かけて探索するのも一つの方法かも知れません。

VR奥儀皆伝( 8½ ) 『謎解き・テーマパークVR』(8)「化生論という希望」はこちら。→ こちら

VR奥儀皆伝( 8½ )(9)「暫定総目次」は こちらです。→ こちら

VR奥儀皆伝( 8½ )謎解き・テーマパークVR Web版( 8½ )[5]

2020-08-29 | バーチャルリアリティ解説
「科学思想の源流をさぐる」第五回(坂本賢三講演記録 pp.66-71)
                          【( 8½ )総目次

p.66

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p.69

p.70

p.71


※ 僭越ではありますが、私の「VR構成要素図」があると もとの化生論が 3倍くらい良く分かると思いますので載せておきます。これは、I・サザランドが発明した「スケッチパッド」(1963年)についての構成図にも なっているのですが、表示装置がスクリーンだという場合は、一応、視野の3分の2以上を VR、以下を マルチメディアとして、私は講演で使ってきました。社外講演での使用は 1993年から、印刷物の初出は「日本機械学会誌」1995年、Vol.98 No.919 p.471です。
 ちなみに、入力装置を外すと「映画」ですし、映画の出力装置に搖動装置を付与すると「体感劇場」ですから、VRのことを DLにあった『スター・ツアーズ』の画面に向かってシューティング・ゲームができる装置だ、と言っても間違いではありません。なお、機械論で論じることができるのは、入力装置と出力装置自体のロバスト性だけです。CDプレーヤーや DVDプレイヤ―には早送りボタンがついていますが、コンテンツには影響しません。
 コンテンツのキャラクターの振舞いや背景に対して、観客が リアルタイムに影響を及ぼせるということが、インタラクティブ性です。化生論的な科学です。例えば、『バーチャファイター』の CGキャラクターに自意識があれば「自分は誰かにリアルタイムに魔法のように操られている」と思っていることでしょう。
 ここで 「バーチャルな世界」というのはイメージしにくいと思いますが、『プリント倶楽部』に一度、奥さんとか親戚の娘さんとかに連れて行って貰い入ってみて下さい。鏡の向こうがバーチャルな世界です。タッチペンで自分の顔に いたずら描きができます。(但し、VRの研究のためだと言って初対面の女子高校生に声を掛けると、一緒に映ったプリクラを他人に誤解されたり、冗談で勝手に SNSにあげられたりする可能性もあるので、メーカーの広報部などに取材申し込みをされるのが安全です。男子の学生さんは彼女に頼んで下さい。)

第六回(坂本賢三講演記録 pp.72-77)に続きます。→ こちら
第一回(pp.42-47)第二回(pp.48-53)第三回(pp.54-59)
第四回(pp.60-65)

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VR奥儀皆伝( 8½ )謎解き・テーマパークVR Web版( 8½ )[4]

2020-08-26 | バーチャルリアリティ解説
「科学思想の源流をさぐる」第四回(坂本賢三講演記録 pp.60-65)
                          【( 8½ )総目次 

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p.63

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p.65

※ 17世紀の「有機体論」「機械論」「化生論」は、今と少し違いますから注意して下さい。テーマパークの原型のひとつである17世紀の「プレジャーガーデン」の機械アトラクションが故障した場合、修理には 2、3ヵ月掛かることも ありました。通常一品生産ですし、開発した職人でなければ直せなかったからです。一方で「有機体論科学」は、通常 1年サイクルで ほぼ正確に循環していました。「お客さん、マツタケの土瓶蒸し、さっき出たので終わっちゃった。堪忍してよ。来年また食べに来てよ」ということです。有機体は、植物か魚、家畜ですね。今、会計報告を1年単位でやっていますが、それは会計制度ができたときの住民の職業が ほとんど農業だった時代の名残りです。起業会社の創業時の収益の安定は「扱う商品によってまちまち」なのですから、会計士が起業会社の監査を毎年やっているのは、会計士が自社の社員の給料を年俸で支払っている都合が主な理由です。IT企業の年単位の会計報告の数字には、あまり意味を持たせないほうが健全だと思います。従って、ハイテク企業の現在の株価は たいていが幻想です。
 1981年発売の IBM-PCの場合、責任者のドン・エストリッジ氏は、IBM-PCの発売。翌年の「ソフト開発ツール」のサードパーティからの発売。その翌年の開発ツールを使った「アプリ」の発売。そして、翌年の IBM-PCの上位互換機の発売と、3年ごとのハードウェアの進化を計画していた様子がありました。しかし、不慮の飛行機事故で彼が亡くなり、サードパーティを巻き込んでの開発サイクルの音頭を取れる人がいなくなりました。その 3年の循環サイクルが、もしも確立していれば、IBM社は IBM-PCを今も主力商品にしていた筈ですし、ITバブルも起きなかった可能性があると思います。ITバブルの崩壊は、証券会社の単年度会計と、IT会社の開発サイクルのミスマッチが原因だったと考えるべきではないでしょうか。
 話を元に戻すと、17世紀当時の化生論は、まだ 少ししか見るべき成果を上げていませんでした。それこそ、そんなことができたら良いね、の「魔法使いのお話」レベルが ほとんどです。(20世紀の石油化学では、化生論由来の化学で 儲かりましたが、環境汚染対策に ほとんどお金を使わずに利益を上げたことが今になって批判されています。)しかし 20世紀のスパコンなどの技術の進化で、21世紀のコロナ肺炎の流行では 統計学(主要部分が化生論の科学)が大変的確に事態の推移を把握できています。これは、社会シミュレーションの教科書を読んでみると、これまでの伝染病の伝播が、かなり精密に調査されてきたというデータ蓄積の成果だったようです。だから、面白い応用事例もあります。例えば「毎日 20分以上の運動を習慣づけていくと、運動不足で糖尿病などになる不健康な人たちと比べて、年単位で数万円もの医療費が不要になる」とか「禁煙は健康維持に確実に効果がある」といった健康情報があるのですが、この健康情報を「健康増進のボランティアの方々」が周囲に教えてあげると、その情報は「伝染病」と極めてよく似たパターンで拡散する、のだそうです。つまり、裏を返せば、伝染病の拡散経路が非常に良く調査されていることで、そのパターンと健康情報のパターンに類似のあることが直ぐに分かったわけです。だから、こんどは本物の「コロナウィルス」が来たときに、都民が外出を控えるとこれだけの効果が期待できる、と直ぐに発表できたのは そのためでした。
 19世紀以降の数学の急速な発達と 21世紀のテクノロジーで、ようやく化生論の科学にも正当に評価される活躍の場が用意された、ということなのかも知れません。


【参考写真】鱧松茸うどん (東京の美々卯閉店で「鱧松茸うどん」が食べられなくなったのが非常に悲しい。)
 画像借用元:https://ameblo.jp/lapiece/entry-10341387416.html

第五回(坂本賢三講演記録 pp.66-71)に続きます。→ こちら
第一回(pp.42-47)第二回(pp.48-53)第三回(pp.54-59)
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VR奥儀皆伝( 8½ )謎解き・テーマパークVR Web版( 8½ )[3]

2020-08-26 | バーチャルリアリティ解説
「科学思想の源流をさぐる」第三回(坂本賢三講演記録 pp.54-59
                          【( 8½ )総目次

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p.59

 坂本賢三先生は「これから主著に取り掛かる」59歳という年齢で 1991年に他界されました。
 坂本先生ご自身は、ディー博士よりも F・ベーコンのほうが(英国王立協会などの)後世の研究体制や 教育を通じての技術の実務への普及に及ぼした影響が ずっと大きいとお考えでした。それは当然です。ベーコンは、英国の科学顧問官、法務長官、貴族院議長だったのです。「産学官が有する研究施設・設備・機器は、あらゆる科学技術の原動力となる重要なインフラであり、科学技術が広く社会に貢献する上で不可欠なもの」だと考える考え方は、ベーコンが当時の魔術的なヘルメス主義を批判して、返す刀で当時の有機体論を同時に批判した結果として、「機械論的」な科学技術政策を国家が推進するようになったことから生まれた考え方でした。ただし、機械論は その後、ガリレオ・デカルト的な方向の公理体系を目指すようになって「安全係数を掛けたから安全」だとする誤解が いくつもの事故を生みました。ベーコンは、もっと職人さんに使ってもらえる科学教育を考えていましたから、そうした事故の全責任をベーコンの「科学の進歩」論に負わせるのは筋違いだと思います。
 坂本先生は 人類の知的遺産『ベーコン』(1981年)で、今日でも国家の進めている科学技術政策に直結する「機械論的な科学思想」を、ベーコンが著書の中で どのように慎重に事例を選びながら構築していったのかを細かく跡づけました。結果として、21世紀の科研費の振り分け方と、ほとんど違いのない配分が想定されています。4百年も昔に、国家の科研費の振り分け方を一人で考えて、それが 21世紀の文科省次官も納得させる方法だったって、すごくないですか。王立協会の研究姿勢、発表形式、そしてバンケットが世界の国際学会の標準になりました。ベーコンが決めたと言っても、間違いではないような気がします。
 ※ なお、第七回 の「ヘルメス科学」仄聞 に記した坂本賢三氏説の解説をご参照下さい。

第四回(坂本賢三講演記録 pp.60-65)に続きます。→ こちら
第一回(pp.42-47)第二回(pp.48-53)第五回(pp.66-71)
第六回(pp.72-77)

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VR奥儀皆伝( 8½ )謎解き・テーマパークVR Web版( 8½ )[2]

2020-08-26 | バーチャルリアリティ解説
「科学思想の源流をさぐる」第二回(坂本賢三講演記録 pp.48-53
                          【( 8½ )総目次

p.48

p.49

p.50

p.51

p.52

p.53

〇 「トート神」: 古代エジプトの知恵の神。「言葉」で宇宙に秩序を与え、宇宙の法則を生み出した。神々の書記。ヒエログリフを発明した。医療の神。楽器製作者。太陰暦を司る。妻(または妹)は、数学や計量を司る女神セシャト。
〇 「ヘルメス・トリスメギストス」: ギリシャ神話の神ヘルメスとエジプト神話の神トートが習合した神(神人)。モーセ
(1956年の映画『十戒』でチャールトン・ヘストンがやった役。紀元前16-13世紀)と同時代人だと当初は考えられていた。ギリシャのヘルメスも偉いけれど その3倍偉いと呼ばれた。彼の教えは『ヘルメス文書』と総称されていて、その中身は 新プラトン主義や 魔術、占星術、錬金術、ピタゴラス数学など。ルネッサンス期最大の流行思想。

   【プリスカ・テオロギア(古代の神学)】(坂本賢三講演記録 p.55)

      
ヘルメス・トリスメギストス
      
オルフェウス
      アルガオフェモス 
(アグラオバモス)
      
ピュタゴラス
      
フィロラウス
      
プラトン

第三回(坂本賢三講演記録 pp.54-59)に続きます。→ こちら
第一回(pp.42-47)第四回(pp.60-65)第五回(pp.66-71)
第六回(pp.72-77)

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