( 8½ )(68 ⅚)【注釈K】rev. VR奥儀皆伝 TP-VR Attract. 謎解き・テーマパークVR Web版

2024-01-27 | バーチャルリアリティ解説
Number68 ⅚ 【注釈K】rev.(【注釈J+】追記を含みます 
                          【( 8½ )総目次 
   【注釈J】 / 【注釈A】【注釈B】rev.  【注釈C】【注釈D】【注釈E
   注釈F】【注釈G】【注釈H注釈 I
   68⅚)3分de維摩経 / マニエリスム

   【維摩経「大乗仏典 付録22」対談68½ rev.)(68 ⅔ rev.)(68 ¾)(68 ⅘

 《 本Blogの 今回の頁は引用できます。本頁は近く鋳型化されます。2024.2.xx 鋳型化ここから 》

   「Xデー」対策室 構成案(私案)

   チームA:米ドル 0円化対策室

 VR奥儀皆伝は、トランプ候補の ”米連邦ドル 0円化案”に 再考を求めます。オバマ氏の案は 80円→ 0円→ 新ドル 80円で、前提が違っていたからです。

   米ドルの 0円化というのは、元は 他人(オバマ大統領)が  2011年に立てた 計画です。当時とは、経済環境も 全く 変わりました。トランプ次期大統領候補によれば、例えば イスラエルは 悪い「シオニスト」ユダヤ民族主義者 が 聖地から「イスラーム教徒」を 不当に かつ 非人道的に追い出した土地ですので(そのとき、律法「ユダヤ教徒」が 満州国の日本人農民のように入植させられたので)、その聖地は 律法ユダヤ教徒 とイスラーム教徒の 双方の権利を回復して、イスラーム教、ユダヤ教、キリスト教の 共通の聖地になるそうです。そして、米連邦が その悪人を支持していた悪い奴らだったので、米ドルを発行する FRBを解散させて、米連邦を解体する。と トランプ氏は 演説で 繰り返し 言っています。

   米 合衆「共和国」が 誕生するということでしたら、慶賀致しますが、その出発にあたり
   「米国債を 0円にして」借金を無くしてから 再出発、
   ・・・ というのは、頂けない計画です。

   日本の政治家は 偏った情報だけ 信じ、国を挙げて「バイデン大統領の」ウクライナ政策、イスラエル政策を支援しました。ところで、日本政府には、米連邦(トランプ氏の言う悪人)から購入した 自衛隊の武器や 装備に関して「もしも米国の法廷で審判された場合に 合法とは みなされない 政治家へのキックバックがあり、日本の政治家が喜んで受け取った」と噂されており、こうした裏金が、再選のための選挙対策に回されてきたので 日本の政治家は 自分が着服した訳ではないから と 罪悪感なく 受け取ってきた、と噂されています。でも、元々は「その政治家には 何の権利もない お金」でした。木こりが銅の斧を池に落として困ったときに、ヘルメス神が助けに出てきて、お前の落としたのは 金の斧か銀の斧か と聞かれたとしても、欧米では「ちがいます。銅の斧でした」という答え以外は「処罰」されて、場合によっては 収監されます。その政治家のとった 不用意な行動を理由に、日本製品は 間もなく 米国を追い払われて、

「米連邦の核の外を主要市場にする」と決めることになり「米国市場の販売代理店も撤廃することになる」だろう(そして、米国に居続けたときより はるかに 豊饒な製品を ユーラシア大陸に供給する)と 私は、考えているのですが、その日本の追い出しを促すための「0円化」を トランプ氏が 性急に進めると、米ドルが「140円→0円」になるのを見た 米国民は「新米ドルも 0円になるかもしれない(0円→0円)」という連想と不安を抱きます。岩井克人著『貨幣論』と【注釈Jを参照して下さい。従って、トランプ氏は「バイデン米連邦ドル 0円化」以外の 米国経済回復の可能性(BCP)を、友好国 日本の研究者などと共に 立案するべきです。「0円 → 80円」などで為替の変化したことは、歴史上に ありません。

   (三菱の係わった「戦闘機」が 世界の平和に貢献する、ので 日本の武器輸出を認めようという議論が 岸田内閣で出ていますが、米FRBドル建ての契約だった場合には、契約書の条件しだいで ① 半額 ② 取引中止 ③ 無料で納品 となる可能性があります。万国博のパビリオンも、米国マクドの BigMac価格の連動などにしておくと 安心でした。03.28)

   チームB:海のシルクロード構築室 (今回は、略)

   チームC:世界から歓迎される日本製品の仕様、立案室(製品の特徴開発室)

   [『光る君へ』のマニエラ ]

   「米国市場のための部品製造会社」であることを止めた(21世紀の)日本のビジネスモデルでは「四書五経と源氏」というマニエラに「日本製品だから信頼できる」と 一瞬で 外国を納得させる力 があります。そして、NHKの大河ドラマでは 聡明な「紫式部」が、2024年1月7日に 登場しました。
   シナリオが、見事です。紫式部が 代書屋のアルバイトをしていた、という設定に、なるほどと納得しました! そして『光る君へ』第三回 で、藤原道長たち「高級官僚の卵」が集まって暗唱していたのは 孟子の「人に忍びざるの心(不忍人之心)」でした。


 『真夏の方程式』(2013年)フジテレビジョン アミューズ 文藝春秋 FNS27社 ガリレオシリーズを柴咲コウさんから引き継いだ吉高由里子さん。『平成細雪』(2017年)柄本佑 えもとたすく さん。

    『孟子』「人に忍びざるの心」

   「孟子は こうおっしゃった。人には、誰でも、人の不幸を見過ごすことができない気持ちがある。古代の聖王は、慈悲の心を持っていたので、人民に 仁政を行なった。 人の不幸を見過ごせない気持ちで 政治を行えば、天下を治めることは 手のひらで 玉をころがすようにたやすい。・・・ 自分の不善を恥じ、他人の不善を憎む心のないものは 人ではない。 人の不幸を見過ごせない心は、の芽生えである。 自分の不善を恥じ、他人の不善を憎む心は、の芽生えである。・・・」
   為政者の心構えを説いた文章です。他人の不善を見過ごすものは、人ではない。そうです。

   字幕なら意味が分かるので、『光る君へ』は 海外に配信されて 人気が出るかも知れません。

   十七条憲法』にも、官僚が 仁徳を欠けば 世が乱れる とあります。(Punish the vicious and reward the virtuous. This is the excellent rule of antiquity. Do not, therefore, let the good deeds of any person go concealed, nor the bad deeds of any go uncorrected when you see them. Flatterers and deceivers are like a fatal missile which will overthrow the state, or a sharp sword which will destroy the people. Likewise, sycophants are fond of dilating to their superiors on the errors of the inferiors ; to their inferiors, they censure the faults of the superiors. Such men are never loyal to their lord, nor benevolent toward the people. All this is the source whence breed grave civil disturbances.「第六条 惡を懲し善を勸むるは 古の良き典なり」 中村元氏による英語訳)

   米国のジャパンハンドラーたちが、日本の政治家や官僚を「核」で 平気で脅していたのは、
   日本を、米国の対等の「同盟国」だと考えていなかったからです。「カモ」? とにかく、
   平安時代の官僚は 全員が『光る君へ』のように「不忍人之心」を 暗唱できました。(第三回

   「ひとの 親の こころは」

   ところで、『光る君へ』第二回の冒頭で、紫式部が筆にしたためていたのは「人(ひと)の親(おや)の心は闇にあらねども 子(こ)を思ふ道に まどひぬるかな」です。作者は 藤原兼輔、彼女の ひい おじいさんで 百人一首「みかの原」の歌人でした。
   この歌は彼女のお気にいりで「引き歌」が何度も『源氏物語』に出てきます。 
   実は、SDGs科学の「文理融合」を 最近、調べてみたのですが、

   日本で 理系科学者に 今 求められている「文系科学」は、歴史をたどると 武士 寺子屋で 子供に学ばせた四書五経の教養 のことでした。欧州では「歴史 / 倫理」の科目で、当たり前に 高校で 生徒の全員が学んでいます。(私は フランスの高校の「倫理」教科書の日本語訳を持っています。また紹介します。)SGGs・1999年の科学宣言 に書いてあったのは、理系の科学者が 高校で学んだ 歴史や倫理の授業を思い出して下さい。それを 理系の知識と組み合わせ 社会実装して下さい、という促しでした。
   そこ(SDGs)では、人文科学の教科書・参考書として、フェルナン・ブローデル著『文明の文法』(高校生向け)や「四書五経」の口語訳、聖徳太子の『十七条憲法』レベルが 想定されていました。ところが日本では、明治維新(征韓論)で(軍隊の海外派兵を正当化する目的で)四書五経を捨てています。1945年の敗戦で「法華経」も宗教(仏教)だからという理由で(政教分離で)学べません。「当用漢字」も(英語を日本の公用語にしようとする官僚が 現在も いて)強く制限され、日本人が江戸時代に馴染んでいた「人文科学」は 文明開化政策で「封じられて」います。(今、校正していて気づきましたが、明治時代に「廃仏毀釈」で仏教を捨てたことで 国宝級のお宝が大量に 海外へ出て 高値で販売されました。戦後の政教分離で 一番 喜んだのは、実は 外国の美術商かも知れません。03.28追記) 

   実は、この時代の人文科学は 江戸時代の二百数十年という 徳川家康が造り上げた「江戸で戦争がなかった時代」に、子供の成長を願う親が 子供に託した 持続可能な平和な社会の礎でした。家康は、御成敗式目を厳格に適用して「武力で滅ぼす」以外の正義の実現をルールと定めました。しかし、本音を示した(大岡裁きのような)公平な判断も 求め、『源氏物語』を 武士に学ばせました。どうして「源氏」だったかといえば、信長Who?として京都に入内した織田信長が 公家に武士の品格を「茶器の評価眼と 幸若舞」で示します。そして 信長は 上杉謙信へのプレゼントに「源氏物語」の金屏風を贈り 世の中を(武力に変えて)文化を規範に 安定させようとしていたからでした。また お話ししますが、小説『大菩薩峠』では 観音経が、『源氏物語』では 法華経が 根底を支えています。

   ともあれ、本Blog では、

   トランプ大統領候補に 日本製品は米国から出行け と言われたことを契機に、私は 日本の科学技術の新しい仕向け地を考えてみたことから、 ”そういえば、理系の科学者にとっては SDGsの 文理融合に欠けている知識があった” と、気付くことができました。(校正時の追記ですが、トランプ氏が そんな発言を 日本にした時に たまたま『光る君へ』が始まったのは 日本の強運でした。仏教は 戦後の政教分離で 再度 日本政府から排斥されようとしましたが、ナショナリズムの対極が 仏教です。その最高峰の「法華経」が「源氏物語」には描写されているからです。03.29追記) (第二回)

   『蒙求』

   ついでですから『光る君へ』第一回 冒頭で、岸谷五朗さんのお父さんが息子に教えていた『蒙求』徐注本標題 の 王戎簡要 / 裵楷清通 (王戎 おうじゅう は、かんよう 人の考えをよく理解する、/ 裴楷 はいかい  せいとう イケメンで 博識) を、シナリオで引用されたところまで 挙げておきます。

   王戎簡要 裴楷清通 / 孔明臥龍 呂望非熊 / 楊震關西 丁寛易東 /  ・・・。(おうじゅう かんよう・はいかい せいとう / こうめい がりょう・りょぼう ひゆう / ようしん かんせい・ていかん えきとう / ・・・。)『光る君へ』は 日本語字幕で観るのが正解です。字幕には、読み仮名付きで出ました。

   孔明は、がりょう 地に伏した竜のような人物です / 周の文王が狩の獲物を占わせると熊に非ず
   政治を行なう際の師、指南役が見つかる という 卦が得られます。狩りに行くと 実際に 魚を
   釣っていた 太公望に出会いました。宮廷に迎えて、長く 指南を受けることができました。
   つまり、太公望 = 呂望 りょぼう は 非熊 ひゆう 獲物の熊では無く、天子の諮問に対して 天下を
   講じて答えてくれる師であった、という意味でした。

   博識の楊震 ようしん は 関西 かんせい の孔子 / 丁寛 ていかんは、易経を極め東へ えきとう 帰った 。

   (『蒙求』は ”おうじゅう かんよう・はいかい せいとう” と 2句を一対にして読みます。)
   
   江戸時代には、7歳児が 暗唱しました。

   そうした教養から、14歳の徳川昭武 あきたけ さんは パリ万国博に 将軍 慶喜 よしのぶ の名代として出かけ、臆せず「次の国主」として 堂々と、ナポレオン3世に 日本の国書を読み上げました。1867年の万国博では日本の展示品が口コミで話題になり、ジャポニズムの大流行が パリから生まれました。
   万国博の 絹製品・陶器・漆器・和紙の品質は どれも、西欧の最高級品を越えていました。江戸文化の粋でした。同時に、パリに出向いた武士たちの 立ち居振る舞いは「礼」にかない、古典文明の品格を身に備えていたのです。日本からの留学生たちは、敬意を持って遇されました。

   『蒙求』は 現代人が学ぶべき古人の逸話、宋代の初学者の教科書。これを 姉の紫式部が先に暗唱してしまい「お前が男だったら良かったのに」と 父親から言われるエピソードは、後に 徳川家康が『源氏物語』を武家の推薦図書にしたことから、江戸時代には ”寺子屋で子供が『蒙求』を唱える” という文系の教養につながりました。
   明治政府が 江戸文化を全否定した理由は、対外政策の意思決定の場に 慶喜氏をまぜると、彼の方が海外事情に通じているので主導権を奪われるのが怖かったからです。西郷隆盛も正論を唱えたので、じつは 征韓論を唱えたのは明治政府のほうで 西郷は韓国の言い分を聞いて 両者を調停しようと出かけたのですけれど、ぬれぎぬで 殺されました。

   明治政府が 四書五経を封じたのは、韓国へ 戦争を仕掛ける国に 日本をつくり変えるためでした。(以上、第一回

   ※ なお、第一回には「秦の丞相、趙高」の 馬鹿 の逸話も 重要なエピソードで 紹介されました。【注釈J】参照。

   上宮法皇のおられた 九州王朝 は、713年から 唐に忖度した 大和朝廷(藤原不比等)によって、なかった ことにされました。(「白村江」では 対「唐・新羅」強硬路線だった九州王朝でしたが 中臣鎌足が裏切ったことで、九州王朝の 400艘は 唐の170艘に大敗・全滅・水兵もろとも水没して、大君は捕虜となり 8年間 唐に抑留されました。その大君(天智天皇)が【注釈O 執筆後の追記】釈放後に 九州で崩御され、大宰府の「壬申の乱」で息子の天武天皇が 大和軍に包囲されたまま崩御されたことから、藤原不比等の提言で 文武天皇が 大和朝廷の第42代天皇として即位され、同時に 大和朝廷は 唐に刃向った九州王朝とは一切無関係でございます と 歴史が潤色された結果、九州王朝の存在自体が 日本史 の上で 隠ぺいされました。)その 日本の上古の歴史と同様に、現代史でも、原爆の(米国のための)後遺症患者隠しに協力した研究者の存在などを隠すために 日本史では 現代史を ほとんど教わらない授業が行なわれてきました。すると、

   (官僚が)気まずい思いをせず子供に 日本文化の品格を授業できる 文系教材として、

   源氏物語万葉集、古今和歌集、日本アニメの源流としての絵巻物、四書五経の一部と 十七条憲法、江戸時代の人工物(工芸品など) が残ります。しかし、これだけの人文科学の「マニエラ」があれば、ある意味では 充分ではないでしょうか。
   理系の知識と組み合わせ 国際展示などで「日本製品の品格」として公示できます。
   それらの製品は、
   日本が SDGsの仕様で バックキャストで開発した、世界から歓迎される日本製品です。

   そこに含まれる VRは、65歳から 74歳の「そこそこ元気な 普通の老人」を 生産可能人口
   に組み込むことができる「VR製品」を含みます。 そうなれば、
   高齢化率で 世界のトップを走る 日本製の VRは、世界から 大歓迎されるでしょう。なお、
   GAFAMの後追い研究については、ステルス特許の標的になるので 、万国博などでの国際
   展示には ”不向き”であることも 以前に述べました。

   私は、ともあれ 今は NHK の 紫式部を応援しようと考えています。

   □■□■□■□■□■□■□■□■

   源氏物語の いわゆる「第一部」は、光源氏が 幼いころに亡くなった 母親の顔をよく覚えていなかったのが原因で いろんなことが起こります。ラカン派だったら、どう分析するでしょう。 この長い物語は、母の 桐壺更衣の 亡くなる場面で 始まりました。でも、赤子だったので 母の姿が記憶にない光は 女房たちから「(光の義母の)藤壺中宮 が 母親に瓜二つだ」と聞かされると、ついつい忍んで行って 不義密通をしました。光にそっくりの子供 が生まれます。そして 藤壺には ほとんど 会える機会がありません。藤壺の姪の幼女が 藤壺そっくりなのに目を留めると、もてあまされていた その幼女 若紫を 誘拐同然に連れて帰り(でも周囲は、若紫様、良かったですね の絶賛状態。よい子は 真似をしないように)そして 自分好みの 教養のある女性 紫の上 に育て上げました。なんという思いがけない展開でしょう。『光る君へ』の第一回では、教科書に載っている 若紫の雀の子を犬君(いぬき)が逃がしつる」が 引用されました。初々しい 紫式部です。そして 紫の上は、光の愛妻(婚儀のない正妻格)になって 仲良く暮らしました。しかし、彼女は 子供を 授かりません。

   □■□■□■□■□■□■□■□■

   [15-16世紀のマニエリスム]

   ここには、若桑みどり氏が ユリイカ 特集「マニエリスム」1979年6月号に執筆された年表を転載させて頂きます。以下に Part.2を 載せました。Part.3の公開時に 1-2-3を続けて掲載します。なお、VR奥儀皆伝では ⑤ 世界から歓迎される日本製品の仕様 は「織田信長 が愛したマニエラ」だった(35)と日本固有の美意識について 以前から考察しています。だからこそ、市民権を最初に得た15-16世紀の マニエリスム」が何かを究めることが、非常に重要である、と思うのです。

   マニエリスム関連年表 若桑みどり編

      ( ユリイカ 特集「マニエリスム」より。)

   【Part.1】→ 注釈J、注釈L に掲載しています。



   【Part.2】
   (当初、本Blog【注釈K】に 1541-1569年 を掲載していました。しかし、分載すると
   使いづらいことが分かり、全部(1500-1599年)を【注釈L】に まとめました。)

   若桑氏の年表は、一五〇〇 - 一五九九年までの間です。

   ※ この年表は、読んでいて 飽きることがありません。ルネサンスが、芸術家たちの 創意 = マニエラの実験場であったことが、良く分かります。Part.3 では いよいよ 後期ルネサンスの画家カラヴァッジオが誕生してバロックへの道を予告します。
   美人のユーディットには、そんなに嫌だったなら首を切るのは お止めなさい と言いたいです。

 ウェイリー訳『源氏物語』(1925-33年)つづき

 「世界の小説の潮流」に重大な変化をもたらした 20世紀の作品は、次の 3つであると
 言われています。
   プルーストの『失われた時を求めて』(1913-27年、19年にゴンクール賞)
   ジョイスの 『ユリシーズ』(1922年)
   ウェイリー訳『The Tale of Genji』(1925-33年)

   19世紀末のベル・エポックの余韻が 第一次大戦で、欧州の戦勝国も戦火にさらされ「名誉とか生きがい」が吹き飛んで 貴族制が崩れました。新しい時代(共和制の時代)の価値感を模索していたのが、この時代の文学作品です。

   「失われた時」は 第一篇から読み始めて 挫折する人が多いのですが、武田レモンさんに 効率の良い読み方を教えて貰いました。『ブラームスは お好き』を書いたサガンが、小説の ”途中のアルベルチーヌが登場するあたりから読み始めて 終わってから最初に戻ったので、スラスラ読めた” と書いているそうです。じつは、仏文学者の中条省平氏も 東京大学の大学院で(第一篇から)「歯を食いしばって」「義務感で」日本語訳を 読み通した、のだそうです。しかし 併せて、第一篇に この小説のエッセンスと 人生の総て が詰まっているとも 評されました。ところで、中条氏はフランスのマンガ版を翻訳しておられます。なんと、フランス人にも挫折者が非常に多いことから マンガ版を授業に使う大学があるそうです。ちなみに、与謝野源氏も「和歌」を解釈なく そのまま載せていて 挫折する人が多いのですが(私も 河出カラー版全集 与謝野源氏と 井上究一郎氏訳で 挫折を経験しました)、大学では『あさきゆめみし』をテキストにするのも良いかもしれません。「失われた時」についても マンガ版が第一編から挑戦しようとする方の 選択肢です。 (また 吉川一義氏訳が評判も良く、注釈も親切です。)



   ちなみに、ノーベル文学賞作家のサミュエル・ベケットは「プルーストの方程式」を分析した修士論文を、”時間・習慣・記憶・救済” から書き始めており、とても参考になります。それから、大谷崎(おおたにざき)も、戦中・戦後に「戦前の ”失われた時”」を小説に書きました。『細雪』です。

   日本製品が、海外から歓迎されるヒントが、そこに書かれています。

   《 鋳型化ここまで 》
   Fellow 武田 ( VR奥儀皆伝(8½)(68 ⅚)【注釈 K】)
   Blog TP-VR Attract.のトリビア 2024.1.xx

   【おまけ】外山雄三「管弦楽のためのラプソディーN響初の海外公演のアンコール曲として作曲

   岩井氏の『貨幣論』、そして 電磁波のタブー は、次回以降に。

   暫定総目次」           

( 8½ )(68 ⅚)【注釈J】 VR奥儀皆伝 TP-VR Attract. 謎解き・テーマパークVR Web版

2024-01-06 | バーチャルリアリティ解説
Number68 ⅚ 【注釈J】 2024.01.20 rev. 03.29校正
                          【( 8½ )総目次 

   【注釈 I】 / 【注釈A】【注釈B】rev.  【注釈C】【注釈D】【注釈E
   注釈F】【注釈G】【注釈H
   68⅚)3分de維摩経
   【維摩経「大乗仏典 付録22」対談68½ rev.)(68 ⅔ rev.)(68 ¾)(68 ⅘
   本年もどうぞ宜しく。

 《 本Blogの 今回の頁は引用できます。本頁は近く鋳型化されます。2024.1.xx 鋳型化ここから 》

   「Xデー」対策室 構成案(私案)

チームA:米ドル 0円化対策室

   オバマ米連邦大統領は、2011年に 野田佳彦総理に電話を掛けてきたそうです。以下の言葉づかいは 想像ですが「実は、米国(2004年から)ずっと景気が悪いので、現在の米ドル価値を 0円にして、ゆうちょ銀行の対米投資などの債務を一旦 ちゃらにするので よろしく。それで、米日の金融市場は 大混乱すると思うけど "夜露死苦"ね。(米国の)預金者の取り付け騒ぎは、米国の地方銀行で予行演習をやったから心配しないでね。新米ドルを発行して 収束させるから。(何が起きるか分からないので、日本も予行演習をやっといてね。)」云々。。。この話は 野田首相の側近から漏らされて、映画『相棒シリーズ X DAY』を 2013年に公開し、架空映画のシナリオですが、とされました。映画評論家の小林信彦氏は「日本円が崩壊すると思うと、楽しんでは観られなかった」と評していますが、円ではなく 米ドル崩壊の話です。円高・円高と 日本の対米市場の縮小を はやして 危機感をあおる評論家 は、為替操作で 一儲けをたくらむ 悪人です。"米軍を世界に派兵して 米国の武器で稼ぐ " 販売戦略が、2004年以降に機能しなくなったので 仕方なく 米ドルの切り下げを 決めた ”経済 弥縫策”でした。

   ところで、トランプ大統領候補が 2023年から 同じ計画を 繰り返して 演説しています。

   ちなみに、本日(2024.1.6)の 1ドルは 144.64 円ですが 野田内閣の 2011年のレートでは 1ドル 80円前後でした。140円→0円→80円、というレートで米国の借金を ちゃらに誘導して経済を安定させようというのが(他国の通貨政策を慮外視した)米国の計画です。別述しますが、オバマ氏案では 80円→0円→新ドル 80円 でしたから、トランプ氏案では失敗する可能性のほうが高いのです。140円→旧ドル 0円→新米ドル 0円になるはずだからで、スパコンの試算でも 同じ結果が出ていると思います。

   さて、日本円の安定のたに、私の試案を【注釈B】に書きました。0円にされる米国債については「みなし有価証券」という案を書きましたが、例えば FRBでも、提供している銀行債務パッケージの「損失」(赤字)について同じ方法で、ある期間「有価証券だと見做す」という方法で解決していました。誰の考えも同じです。注意して頂きたいのは、円高ではなく、ドルの切り下げ です。実態と乖離していた米ドルの粉飾が、ウクライナの敗戦で はげました。テレビ局は、経済評論家の選択に注意をするべきでしょう。岩井氏の『貨幣論』で説明をして貰って下さい。

   話は ここから 少し変わります。

   「事業継続計画」
(BCP)という言葉は、ご存知ですね?
   この言葉は、2011年の東日本大震災のときから 注目されるようになりました。「事業継続計画」とは、危機や災害が起きることを前提とした危機管理の手法で、非常に限られた経営資源で最低限の事業活動を継続する、あるいは、事業を目標復旧時間以内に再開できるようにするために、事前に策定される行動計画のことです。どこの組織でも、復旧までの「許容限界」の時間を予め定めておくことや、それに適合した「事業継続計画」を持つことが、絶対に必要だとされています。
   ここでは「許容限界」についての説明を、略します。
   関心のある方は、分かり易い資料を見つけましたので参照して下さい。


 【許容限界時間の資料】 東京海上日動リスクコンサルティング社作成資料より引用

   ここでは余談ですが、東日本大震災が金曜日でしたので、土日に普通に休業した会社が「震災で連絡がつかない」と誤解され 知らないうちに下請けから 外されたところが多かったそうです。被災の可能性のある会社は、復旧のプランを事前に作っておくことが肝要です。また、コダック社は映画撮影からフィルムがなくなる未来を想定していなかったので、倒産しました。富士フィルムは それを想定して、倒産をまぬがれました。日本銀行は、どちらになるでしょう。

   日本の金融機関は、米ドルの 0円化で 自殺者の出ないように準備をして下さい。米ドルは、円・ユーロに同時に切り下げる筈だからです。日本には、円ドルレートが 80円になって 米国市場を失う日本製品が、世界の別の地域の 新しい市場から歓迎される SDGs製品に変容できる戦略を BCPで「創発」できるプランが必要です。間違いがあるのは、米国が「他国を踏み台に」米ドルの信頼を取り戻すつもりだったら 踏み台(円)を 固定させる必要がある点です。FRBが解散すれば 崩壊するのは 米国経済なのですから、日本製品は 米国から離れて 新しい販売先を選び直せば良い、だけのことです。

   1945年に日本政府は米連邦に協力して、原爆で後遺症に苦しむ日本人など 一人もいません 全員死にました と言って、米連邦の冷戦構造の確立に協力しました。このときの関係者が、関東軍731部隊の「生物兵器」を廃棄しないで そのまま 米国に引き渡しました。恥ずべき誤りです。トランプ候補によれば「悪人だらけ」の 米連邦政府は、この兵器を 武漢に持ち込んだり、ウクライナにモスクワを奇襲攻撃するために持ち込んだのだそうです。無所属になったケネディ候補が、武漢の研究所から漏れ出たコロナ菌は 731部隊が起源だった、と本に書きました。なぜ、新聞が大きく報じないのでしょう。日本政府が BCPで、それは 米連邦に脅されて 日本国民を守めに仕方なくやった と説明できなければ、日本政府と米連邦が同時に 世界からコロナの 巨額の損害賠償を請求されるかも知れません。

   チームB:海のシルクロード構築室 (今回は、略)

   チームC:世界から歓迎される日本製品の仕様、立案室(製品の特徴開発室)

   [15-16世紀のマニエリスム]

   【イタリア語の Maniera マニエーラの発音
     (美術史では慣例で、マニエラと表記します。マニュアル、マナーという意味。マナー
      が 社交の基本であるように、マニエラは その美術工房の 作風・お家芸のことです。)

   ここでは、若桑みどり氏、種村季弘氏、矢川澄子氏らの研究者が 苦労して「市民権」を勝ち取った 15-16世紀の マニエリスムについての「マニエラの定説」を整理しておきます。(「公務員試験」の答案として書いても丸が貰える内容です。) どうして この整理が必要かと言えば、ルネサンスという美術史の時代区分が 19世紀に定説となり、続いて バロックなどが「異論のない時代区分」とされた後で、ルネサンスとバロックの間の「マニエリスム」という時代(15-16世紀)が考察され始めたからでした。ここで、私たちは 従来の時代区分では説明がつかないことに気が付きます。
   先ず、① ルネサンスという時代区分は、イスラーム圏で大切に保存・研究されたギリシャ哲学が 欧州に回帰した時代でしたので、その始まりを調べてみると 通説よりずっと早く、12世紀まで 翻訳・学習・体系化(キリスト教への習合)を さかのぼれることが分かりました(現在の「大ルネサンス」は、12世紀末から17世紀の初めまでです。) 。また ② それを 逆に考えて、通説の 14-16世紀 ルネサンスは むしろ「陰鬱かつ陰惨ですらあった中世」の「秋」だったので美しかった、という研究も 定説になりました。こうした議論は、③  ルネサンス・マニエリスム・バロックの時代区分が「それぞれ どんなマニエラの時代だったのか」を考え直す契機となり、研究者には ④ 「19世紀マニエリスム」という時代区分で研究する人も おられます。そして VR奥儀皆伝では ⑤ 世界から歓迎される日本製品の仕様 は「織田信長 が愛したマニエラ」(35)だった、と日本固有の美意識について考察しています。だからこそ、市民権を最初に得た15-16世紀の マニエリスム」が何だったのかを「見極めておく」ことが、極めて重要である、というのが 私の考えです。

   そこで、今回は ユリイカ 特集「マニエリスム」1979年6月号に掲載された年表を転載させて頂くことにしました。引用のルールに従って 1/3 ずつ、3回にわたって転載します。(と するつもりでしたが、【注釈L】に 全部を まとめました。)非常に 内容の整理された 労作です。
   マニエリスム関連年表 若桑みどり編
   ( ユリイカ 特集「マニエリスム」より。ここでは pp.230 - 231。太字は 本Blog )

一五〇〇 べンヴェヌート・チェリーニ、生まれる(~一五七一)
  〇一 レオナルド「聖アンナと聖母子」カルトン(注:カルトン=下絵で公開され 大評判に)
     ミケランジェロ「ダヴィデ」(~〇四)
  〇三 レオナルド「モナ・リザ」(~〇六)、「アンギアリの戦い」(~〇五)
     「
トンド・ドーニ」「カッシナの戦い」下絵。この(ミケランジェロの)両作が
      マニエリストに大いなる影響を及ぼす
  〇五 デューラー、イタリア滞在(~〇七)
  〇六 プラマンテ、サン・ピエトロ大聖堂の再建計画。
  〇八 ミケランジェロ、「システィーナ礼拝堂」天井画に着手(~一二)
一五一〇 ラファエロ「署名の間」(~一二)
  一一 ジォルジオ・ヴァザーリ生れる。(~一五七四)
     ラファエロ「エリオドーロの肉」(~一四)
     「ボルゴの火事」に古典様式の変質を示す。
  一五 この頃、ティツィアーノ「天上の愛と地上の愛」
     ミケランジェロ「モーセ」に着手。
  一七 レオナルド、フランスへ行く。
     ラファエㇽロ「
キリストの変容」に着手。この作者のもっともマニエリスム的作品
  一八 ティントレット、生れる。(~一五九四)
     ポントルモ「ヴィスドミニ」の祭壇画にマニエリスムの特色を出す
  一九 レオナルド死す。(一四五二~)
一五二〇 ラファエロ死す。(一四八三~)このころをもって盛期ルネサンスの終りとみなす。
  二一 口ッソ「キリストの降架」代表作となる。
  ニ三 パミルジアニーノ「
凸面鏡に映る自画像」(~二四)
     ロッソ・フィオレンティーノ「エテロの娘を救うモーセ」(~二四)
     いずれもマニエリスム第一世代の代表作となる
  ニ五 ポントルモ「エマウスの食事」にデューラーの影響を示す。
  ニ六 ミケランジェロ「メディチ家の廟」
     コレッジオ、バルマ大聖堂の天井画に、イリュージョニスティックな天井を描き、
     遠くバロックを予告。(~三〇)
     ポントルモ、この頃、「キリストの降架」(~二八)
     ジゥリオ・ロマーノ、マントヴァのパラッツオ・デルテに着手。(~三四)
  ニ八 この頃、ポントルモ「マリアの訪問」
     デューラー「人体比例論」
一五三〇 フランソワ一世、フォンテヌプロー宮にロッソ、プリマティッチオを招き、
     第一次フォンテヌプロー派(フランス・マニエリスム)を形成。
  三一 ポントルモ、ロッソの師、サルト死す(一四八六~)
  三三 この頃、ロッソ、フランソワ一世ギャルリー装飾(~四〇)
  三四 ジリオ・ロマーノ、パラッツオ・デル・テに「巨人族の没落」を描く(三二~)
  三五 ミケランジェロ「最後の審判」に着手(~四一)
     バルミジアニーノ、この頃「
長い首のマドンナ
     ベルッツィ、ファルネーゼ宮(カプラローラ)開始(ヴィニョーラにより一五五九年完成)
     ホルバイン(子)、ヘンリー八世の宮廷画家となる。
  三八 アルトドルファー死す(一四七五~)
一五四〇 プロンズィーノ、エレオノーラ・ダ・トレド礼拝堂の天井(~四一)、「ルクレチア・
     パンチァティキの像」
     チェリーニ「フランソワ一世の塩入れ」
     マニエリスト第二世代の活躍
     この頃フェデリコ・ツッカロ生れる(~一六〇九)。
     ロッソ、パリで自殺。(一四九五~)

   このあと、若桑氏の年表は、一五九九年(p.234)まで続きます。

 ウェイリー訳『源氏物語』(1925-33年)
 「世界の小説の潮流」に重大な変化をもたらした 20世紀の作品は、次の 3つであると
 言われます。
   プルーストの『失われた時を求めて』(1913-27年、19年にゴンクール賞)
   ジョイスの 『ユリシーズ』(1922年)
   ウェイリー訳『The Tale of Genji』(1925-33年)

   ※ プルーストは、C・K・スコット=モンクリフが英訳して、その刊行が 1922年から 始まりましたが ウェイリー訳の「源氏」と並んで「名訳」と評されました。プルーストも 訳者に 感謝の手紙を送っています。
   いずれも、Between the Wars の時代です。

   19世紀末のベル・エポックの余韻が 第一次大戦で、欧州の戦勝国も戦火にさらされ「名誉とか生きがい」が吹き飛んで 貴族制が崩れました。新しい時代(共和制の時代)の価値感を模索していたのが、この時代の文学作品です。この頃の日本は「戦勝景気」で成金が跋扈して エログロナンセンスの極みでしたが 1923年の関東大震災で冷や水をあびせられ、29年の世界恐慌に巻き込まれて 37年に日中事変を起こし、39年の第二次大戦には 40年から(必ず戦勝できるつもりで)参戦しました。官僚が「半年くらいで、有利に講和条約を結んで停戦できる」と全く読み違いをしたからです。日本の Between the Warsの お金持ちの生活は、谷崎の『細雪』に(41年春の開戦前夜までが)描かれていますので読んでみて下さい。面白いですし、読めば 日本文学専攻のフランス美人に 必ずモテます。

   ※ ヴィスコンティ監督も『失われた時を求めて』の映画化を準備していました。

   谷崎潤一郎は、大正の終わり頃に、最初の奥さんの妹(メアリー・ピックフォードに似ていた)と結婚して 最初の奥さんとは離縁しよう としたのですが うまく行きません。それで離婚を取りやめにして、奥さんと義妹に生活費を二重に渡し始めたことで 三度目の夫人の松子さんと一緒になる頃には 財布が苦しくなりました。仮に、義妹と結婚していたら、を書いたのが『痴人の愛』です。それで、前借りのために中央公論社に行ったところ、社長から ”欧州で『The Tale of Genji』が話題だから” と勧められて 金策で書き始めたのが「谷崎源氏」でした。初めは 全くやる気が出て来なくて 国文学者の下訳を そのまま印刷していましたが(「谷崎新源氏」で改訳)、1939年の その初版がベストセラーになり、がぜんやる気が出たので 自分の代表作にしようと芦屋の住居の独立した 2階の書斎(3Dビューの展示棟 2階)で執筆しました。ここは、現在 
富田砕花旧居 として公開されています。富田氏は 敬愛する谷崎の住居だった ので 大切に住みました。なお「谷崎源氏」が売れた理由は「日本文化の波動」説で 1927-47年頃が「外来文化の国風化」に当たっていたことにも おそらく関係があるでしょう。欧州では 英語訳「源氏物語」が、ベル・エポックの記憶を 鮮烈に よみがえらせました。光源氏と彼の愛した「黒髪の」女性たちは、欧州に 19世紀世紀末の栄光(ジャポニズム)を再び強烈に印象づけました。

   ※ 従って、谷崎が もう少し長生きしていれば、日本最初のノーベル文学賞は彼でした。『細雪』の仏語訳も、ロングセラーです。谷崎愛用の机、硯、筆、美術品は、芦屋市立谷崎潤一郎記念館にあります。『細雪』を書いた 魚崎の倚松庵(いしょうあん)も公開されていて、私は『細雪』の刊行された当時の大評判を 倚松庵の本棚で読みました。

   「源氏」の速読は、源氏物語 上下(21世紀版・少年少女古典文学館 第5-6巻)がベストです。
     訳者は 瀬戸内寂聴 さん。編集部の注釈 も充実しています。
   ところで、「窯変・源氏」でも それが 非常に残念なのですが、紫式部が高度な「和歌のマニエラ」を駆使したことが、現代語訳では 良く分かりません。「源氏」の 和歌の とてつもない魅力については、俵万智著『愛する源氏物語』(文春文庫)を必ず読んでみて下さい。なお、
   VR奥儀皆伝 で これまでに取り上げた「源氏」のエピソードを 鋳型化欄外に挙げました。

   また、プルーストの『失われた時を求めて』は、ベル・エポックに 両親に 溺愛されて育った上流階級の主人公が「黒髪の」アルベルチーヌに愛されたいと願ったところ、彼女が女性と快楽にふけるので悩んだ、という私小説です。この主人公の「失われた時」も、ベル・エポックでした。谷崎も、戦中・戦後に「戦前の ”失われた時”」を小説に書いています。『細雪』です。四姉妹は 雪子のお見合いの帰りに 神戸の繁華街で『コンドル』(ハワード・ホークス監督、1939年)を観ています。その映画の日本公開は 翌 昭和15年。初版の読者は 必ず、皇紀2600年11月の大祝典の 提灯行列 を思い出しました。

   最後に、ジェイムズ・ジョイスの『ユリシーズ』は、第一次大戦を経て 欧州の国土・社会が「古代の戦争の、まるで 出来損ないのパロディ」のように変わり果てた現実を描いた作品です。かつて「ルネサンス」(ギリシャ古典の 再発見)の時代に 原典の『ユリシーズ』(長編叙事詩「オデュッセイア」)は「古代の栄光」を印象付けました。その子孫たちの戦争は、栄光から えらく離れていたのです。(カーク・ダグラスと シルヴァーナ・マンガーノ[二役]のイタリア製 冒険アクション映画『ユリシーズ』1954年を観れば、トロイを陥落させた国主ユリシーズの苦難や 美女「ナウシカア」との出会い、才女ペネロペが昼に織ったタペストリーを夜にほどいて求婚者たちへの返事を引き延ばしたエピソードなどが 100分で分かります。そもそもトロイ戦争が「パリスの審判」から壮大に「神様総出演」で始まったことに注意。第1次大戦以降の「戦場」が殺戮兵器の実演場であるのとは、どえらい違いです。ジョイスの企てた古典のパロディを、ベケットは『フィネガンズ・ウェイク』を論拠に「ダンテ」「ブルーノ」「ヴィーコ」に続く「創発」のための既存の権威の破壊だ と見破りました。つまり、例えば SDGsのための新しい医学の創発は、既存の「権威」ある西洋医学研究からパロディだ と誤解されている 漢方や鍼灸、アーユルヴェーダを「そちらが宇宙の根理に近い」と ひっくり返す視点から生まれるでしょう と、ジョイスは[新しい時代のマニエラを]小説の形で予告して見せたのです。)そして、『失われた時・・・』新しい『ユリシーズ』『Genji』の話題になった Between the Wars は、もう一つの「マニエリスム」、現代のマニエリスムが注目される始まり でもありました。。。日本製品が、海外から歓迎されるヒントが、そこに あります。

   《 鋳型化ここまで 》
   Fellow 武田 ( VR奥儀皆伝(8½)(68 ⅚)【注釈 J】)
   Blog TP-VR Attract.のトリビア 2024.1.xx

   【おまけ】オペラ『中国のニクソン』(Nixon in China)1987
   (About the visit of Richard Nixon to China in 1972)
   Act I Scene 1 - News(Produced by Peter Sellars)
   高画質 Nixon in China: "News" -- James Maddalena (Met Opera)
   ニクソン大統領は 漢方・針治療の効果を調べるように 米国公的機関に指示しました。

   アルノルト・シェーンベルクらの「十二音技法」の創始を「マニエリスム音楽」として分析しようとする試みがあります。更に さかのぼって「クラシック音楽」以前の「ルネサンス・バロック音楽」も同じ視点で「マニエリスム」を含みます。ルネサンス・マニエリスム・バロックは「別種のマニエラ」の時代区分なのでしょうか(③)。後期ミケランジェロも 古典ギリシャ「ラオコーン」像の蛇状のマニエラに 多くを学びました。G・R・ホッケは ルネサンス・マニエリスム・バロック夫々の特長を正しく理解しようと訴えました。

   そしてまた、例えば ホワイトカラーの「サラリーマン」という 今では当たり前の「新しい職業」も、Between the Wars のドイツ、ワイマール文化(の14年間)に、新しく登場した業態でした。このホワイトカラー「会社員」も(ビジネスモデルの)新しい「マニエリスム」です。

   つまり、通産省・経産省の官僚が推進してきた 日本産業に対する行政指導は、今日まで「日本の会社員」を前提として、ひたすら「アメリカの金持ち市場」に向けて 日本の会社員が優秀な日本製品を開発して・そして売(り納税す)ることを ”当たり前”としたものでした。しかし、 これは 全くの読み違いです。「サラリーマン」は、1920年代の ドイツの発明品でした。別の選択肢が あったのです。それが、日本製品を「AKB48」のCDと同じに考えて、海外に自発的なファン・グループが組織され、彼ら外国人が オンデマンドで日本に製品を発注し、日本が受注生産をする、という生産形態でした。

   「AKB48」の『恋するフォーチュンクッキー』【注釈E】では、その可能性が見えました。

   【おまけ】((49)より転載 )
   白川静先生によれば、万葉歌人が多く本歌取りした 中国の『詩経』は、本来 声に出して詠まれています。歌には、相手を動かす力が秘められているからです(43)。実際に、この見事な女三宮の本歌取りで、光は つい 寝所に引きとめられました。そして、
   翌朝、光は 柏木の手紙を見つけてしまいます。
   (『源氏物語 あさきゆめみしII』2007年 花組公演「嫉妬の歌」春野寿美礼 桜一花)

   『源氏物語図屏風』(32)(33)(35)
   「空蝉」(34)
   「桐壺・若菜」(36)「若菜」(49)。。。VR奥儀皆伝で取り上げた「Genji」エピソード

   通産省・経産省の官僚が推進してきた 日本産業の ”当たり前”に対しては、トランプ大統領
   候補から「米国の核の傘から出て行け」「米国市場も日本製品の市場としては あきらめろ」
   と 強く否定をされています。
   私は、ここでは、”新トランプ・ドルを使って 米国社会の 2024年の混乱を収める方法は、
   本来、日本などの友好国の国民の協力があって成し遂げられるもので、しかし、トランプ氏
   が日本などからの借金を ちゃらにすることで 一人でも 混乱が収められる、と考えておられる
   のでしたら、ひとりで勝手にやって下さい” と考えるように なりました。日本は 20世紀の
   マニエリスムを使いこなして、米国市場が無くても、なんとかなるからです。これが 
   本Blog【注釈J】を書いている 現在の私の立場です。ちなみに、
   新しい日本のビジネスモデルのマニエラでは「四書五経と源氏」が 最有力です。
   NHKの大河ドラマにも、聡明な「紫式部」が 2024年1月7日から 登場しました。

   ※ NHK『光る君へ』第一話で、紫式部が『史記』にある秦の丞相(じょうしょう)趙高(ちょうこう)の逸話を解説して「三郎(藤原道長)のバカ バカ バカ」に行った展開は、非常に秀逸です。もとの話は、趙高が宮中で「鹿」を馬ですと呼び、趙高に忖度せず「私は鹿だと思います」と正しく言った官僚を死刑にした、という逸話から。このあとに起きる悲劇の伏線でした。それから、岸谷五朗さんのお父さんが息子に教えていた『蒙求』徐注本標題 の 王戎簡要 / 裵楷清通・・・(王戎 おうじゅう は、かんよう 人の考えをよく理解する、/ 裴楷 はいかい は せいとう イケメンで 博識・・・については、【注釈K】を参照して下さい。実は(江戸時代の)寺子屋の品格・文系の教養が、欧州で1867年に ジャポニズムを巻き起こしていたのです。

   ※ 岩井克人氏の『貨幣論』の説明(【注釈N】に予定)と、電磁波のタブー も 次回以降に 。

 「暫定総目次」